LIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく! PARTⅡ 秀華祭 9/16公演 ライブレポート

2024年9月18日

※このブログは、完全なるネタバレでしかないので、これから参加をされる方は、観劇後に読んでいただければ幸いである。
ネタバレというのもそうだが、この日の公演はこんなことがあった、という回顧録としても読んでいただければ、書いた自分としても嬉しく思う。※

 

 

 

 

 

 

 

では、ここから本編に入っていく。

以前、自分はこんなブログを書いた。

LIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく! レビュー

 

この記事の〆として、今年、結束バンドのライブが見たいと書いたが、幸運なことに、その機会に恵まれることになった。

 

詳細については上記リンクにある程度は書いているため省略するが、本来、この記事を書いている1週間前に、昨年の公演の再演(一部変更有とのこと)が行われる予定だったが、公演関係者の体調不良により、本来行われる予定だった3日間・計5公演の再演は全てキャンセルとなり、続編となるPARTⅡ 秀華祭より、今年の幕が上がることになった。
(念の為お伝えをすると、最後の3日間に再演も各日1公演ずつ行われる予定であるので、決して再演が無くなったわけではないとだけお伝えをさせていただく。)

 

このLIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく!は、舞台の芝居に加え、最大の見どころは何と言っても、キャストによるライブ・生演奏だ。

加えて、この続編では、結束バンドだけでなく、もう1つの見どころとして、廣井きくり擁するSICK HACKによるライブもある。
故に、SICK HACKのライブがついに見れる、ということで、この公演に足を運んだ方も多いだろう。

 

これまで、舞台でもアニメの声優陣でもそうだが、結束バンドがフェスやワンマンライブでライブをすることはあっても、SICK HACKのライブや、廣井きくりの声を担当した千本木彩花(以下、人物については全て敬称略とさせていただきます。)がステージに立って、ワタシダケユウレイを披露したことは、一度もない。

つまり、この舞台が、いやこの舞台しか、SICK HACKのライブを見れる機会は、現段階ではない、ということだ。

 

今年は昨年の舞台の人気や話題性もあり、期待値も昨年よりはるかに高く、その人気を裏づけるように、なんと千秋楽のチケットが、Blu-Ray/DVDに付属されている最速先行で申し込んだにも関わらず、落選者がかなり出たほどの人気となっていた。

 

これはおそらく、というより間違いないのかもしれないが、現在ぼっち・ざ・ろっく!のアニメは総集編という形での映画化や、新作EPのリリースなどはされているものの、アニメの新作というものは、一度ストップしている。
そのため、アニメを下地にした本舞台も、おそらくこの先の続編というのは、現実問題、今の段階では難しいと言えるだろう。

故に、この機会がおそらく、この舞台での結束バンド、並びにSICK HACKのライブを見れる最後の機会であり、かつ、このメンバーでの舞台というところも、最後の機会なはずだ。
(もちろん、続いてくれるなら嬉しいに決まってるため、続いてー!!!という心の声はここに置いておく。)

 

というわけで、前置きが長くなったが、ここから本公演のライブレポートをしていく。

尚、本文内でキャラの呼び方が変わる部分が多くあると思うが、その文書内で最も適切な呼び方を考え、その時々に応じて書いているため、その点についてはご了承いただきたい。

 

まず、開演前の影ナレなのだが、これはおそらく、というよりほぼそうだと思うが、本公演で伊地知星歌を務めた河内美里が影ナレをしており、それはまるで、STARRYの店長の務めを果たしているかのようでもあった。

そして開演になったと同時に、まだ客演が点いている状態で、後藤ふたりが1階席の最後方から、なっつやっすみ~と言いながら、陽気なテンションでスキップしながら登場するという、誰も想像していなかったスタートに、観客の目も思わず釘付けになる。
(この日はWキャストのうち、岡菜々美の出演回であった。)

途中途中でなんか見られてるというメタ的な発言をしながらも、舞台まで上がったふたりが、ここは海だと言うと、海ならざぶーんざぶーんって聞こえてくる!と、要はこちら側にざぶーんざぶーんというコールを求め、客席側もそれに応える。
尚、声が小さい大人は次々舞台上のふたりから指名されるという、早速の客席イジリ(人によってはご褒美なのかもしれない)に、最初は声が小さかった客席側の声も、2回3回と重ねるうちに大きくなっていく。

 

そんな中慌てて後藤ふたりの両親である後藤直樹・後藤美智代夫妻が登場し何やってるの!?と尋ねると、前説!と元気にふたりが答える。

そう、これは、前説だったのだ。

 

でも前説らしい前説ではなかったなと思っていた矢先、これで終わりじゃないよ!というと、後ろに引かれていた幕が迫り上がると、主演の守野まも演じる後藤ひとりが登場したかと思っていたら、それを差し置き、この舞台で生み出された後藤ひとり・ぼっちちゃんのイマジナリーフレンドこと、ぼっちーずも全員登場し、突然ミュージカルが始まったと思っていると、結束バンドメンバーまで登場するという、度肝を抜く振り返りでスタートする。

そうしてミュージカルが一段落し、再び幕が降ろされ、PART1のライブ映像をメインにした振り返り映像が流れ、私達の夏はこれで終わっ・・・てなかった!というぼっちちゃんの振り返りで、これでいよいよスタートするかと思っていた。

 

だが、あっさりその予定調和を、この舞台は叩き割ってきた。

 

なんと、再びのミュージカル、というより、ミュージカルに近い、パレードがスタートした。

しかも今度は、結束バンドだけでなく、オールメンバーで。加えて、ポンポンまで持っているという。

・・・何を言っているのかわからないかもしれないが、これが冒頭の冒頭で目の前で繰り広げられていたのだ。

 

ぼっち・ざ・ろっく!とポンポンという、ウェイとはまた違った意味で相容れない、陽キャ的なアイテムの登場と目の前で繰り広げられるハチャメチャ具合に、笑いと驚きがいっぺんに襲ってくると同時に、この演出を考えついた脚本・演出の山崎彬の凄さに脱帽であるが、ただ、こんな演出をしても許してしまえるのが、この舞台ならではなのかもしれない。

 

と思っていると、後々これがひとりが見ていた夢だという、つまり夢オチということだったので、それならこんな演出も納得である。
と言いつつ、そもそもぼっちちゃんが見る夢をミュージカルのようなパレードにしよう。そしたら皆出しちゃおう!なんて、おそらくこの脚本を書いている時の山崎彬はどこかで高熱を出してその時に見た変な悪夢をこれ入れたら面白くなるんじゃないかな?となって脚本に入れ込んだのだと思う。そうでなければこんなの正気で書けるわけがない。うん。そう信じたい。

 

そうしてここから9話の江ノ島に遊びに行く回にスムーズにスライドしていき、一部割愛はあったものの、ほぼそのままに描かれることとなった。

あのリアルウェイも、リアルウェイに破裂するぼっちちゃんも、たこせんも、ソフトクリームを取られた後にとんびにボコボコにされ、ヤムチャしやがって・・・となるぼっちちゃんも、ちゃんと再現されている。
特に最後のヤムチャしやがって・・・となるぼっちちゃんは、まさにあのままであり、初見であっても何度見ても大爆笑すること間違いなしだ。

しかしまさか、この舞台で下北沢から江ノ島までの小田急線の停車駅を見ることになるとは思わなかったが。

 

加えて、あの階段を登る時にキターンとなって陽キャラオーラ全開になる喜多ちゃんが、この舞台では、というより、このPART2では特になのだが、テンションが上がると歌っちゃう子、という設定が顕著に追加され、ぼっちーずを我がものとし、いきなりミュージカルを始める様は、喜多郁代役を務めている大森未来衣がミュージカルの舞台でも活躍しているということもあるが、とはいえこのミュージカル喜多郁代はここでしか見れないため、大森未来衣の歌の上手さ含め、必見である。
ちなみにこのPART2では、喜多ちゃんの下の名前いじりがPART1より大幅に増えているため、前回これがなくて物足りないと思っていた(?)方でも安心していい。

 

そのままの流れでいよいよ今回のメインパートの秀華祭パートに入っていくのだが、10話の冒頭のぼっちちゃんの夢(というより、気絶?)の中でのお前が人間国宝、という部分が、かなり長く取られており、モブの女子高生(この日の出演者の兼役)が数人登場し、出演バンドがキャンセルになったということで、この客席の中で楽器をやってる人・バンドをやってる人!と挙手制で手を挙げさせていく。
なので、その流れを断ち切って、ひとりが出てくるかと思っていたら、なんとその女子高生の内の1人が客席まで降りてきただけでなく、客席にいる1人のお客さんを立たせたうえに、舞台に上げさせようとするが、舞台の上にいる別の女子高生から、カリスマ性が足りない!ということで却下され、ここまでやってようやく、ぼっちが登場してくるのだ。

もはや、客席いじりを通り越し、演者・スタッフ・観客関係なく、ここにいる全員、LIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく!の世界の人間に強制的にさせられたというのが、この瞬間に証明させられたと言ってもいいが、とはいえ間違いなく言えることだが、今日この日当たったのは男性の方だったが、最後まで気が気では無かっただろう。

 

10話の詳細は割愛するが、ここで舞台は下北沢STARRYから新宿FOLTに移り、いよいよきくりだけではない、SICK HACKのメンバー、そしてFOLTの店長の銀ちゃんこと、吉田銀次郎も登場する。

吉田銀次郎は今回のPART2からの参加となる初の男性キャストである野田裕貴が務めており、イカついけれど心が乙女のおっさんの銀ちゃんを見事に演じている。

ちなみに、当然と言えばそうだが、ぼっちちゃんのお父さんである後藤直樹との兼役であるが、それ以外でも兼役で登場しており、中でも、とある映像に登場するぼっちちゃんを担当しているのだが、格好もなのだが、その時に流れるなんだか妙に似ていそうでいやこれ違うな・・・となる、何とは言わないが、YO!SAY!的な、あの曲のパロ含め、必見である。
これはぜひとも、会場で見ていただきたい。
(もうネタバレしているようなものですけどね(猛爆))

 

そしていよいよ、待望のきくり以外のSICK HACKメンバーが登場する。

ドラムの岩下志麻を務めるのは、今回のPART2から参加となる未結奈。
普段は、ASADLIONというバンドでドラムをしているため、月川玲演じるきくりと同じく、本業がミュージシャンであるため、これが初舞台となるが、全くそうとは見えなかった。
加えて、この舞台特有の兼役も多いのだが、初舞台の不安をものともしない演技をしていた。

 

そして、ギターの清水イライザを務めたのは、なんとPART1からぼっちちゃんのお母さんこと、後藤美智代として出演をしていた斉藤瑞季が、兼役としてイライザのキャストを務め、同時に、SICK HACKのギターを務めることになった。

このキャスト発表がされた当初、イライザをまさかPART1から出演していた斉藤瑞季が務めることにとても驚いたが、まさかこの方までもが、ギター経験があるとは思わなかった。

だが、PART1では演奏しているシーンは当然なかったのだが、実は斉藤瑞季もギター経験者であり、パンフレットで自身の口で語っていたが、高校の頃はバンドを組んでおり、それこそ、喜多ちゃんのように、ギターボーカルだったのだという。
その経験や下地もあってか、他2人に引けを取らない、イライザ顔負けの、圧巻のギターテクを見せることになった。

 

観客席側を新宿FOLTのフロアに見立て、結束バンド4人もまた、同じく客席の端の方で我々と同様に見るという、完全にライブハウスのフロアとステージにこのTHEATER MILANO-Zaが化した中、いよいよSICK HACKのライブが始まる。
曲はもちろん、DVD限定収録となったSICK HACKの楽曲、ワタシダケユウレイだ。

 

そこでまず筆者は驚いたことなのだが・・・これはあくまで私見になるが、舞台だから音響が違うというわけでなく、冗談抜きで、音が完全に、ライブハウスで聞くバンドサウンドそのものなのだ。

これは、音響面で音楽監督に月蝕會議の楠瀬拓哉や、音楽コーディネートに元TOTALFAT・現MONGOL800のサポートギター等を務めるKubotyがいるため、バンドサウンドやライブハウスの音作りや環境作りにこだわったという理由もあるとは思うが、とはいえ冗談抜きで、ライブハウスとは全く作りが異なる舞台で、こんなにもライブハウスで聞くような、ガツンとしたバンドサウンドが聞けるとは、少なくともDVDを見ていた頃には思いもしなかった。

 

そんな衝撃をまず食らってすぐ、テクニカルなイライザのギターサウンド・志麻のパワフルなドラミング。ベースボーカル廣井きくりの、ガッシリとしたベースに気だるそうな雰囲気からドンドンギアがかかっていくボイス。これまでの舞台では見えてこなかった、きくりのバンドのフロントマンとしてのカリスマ性。おそらくこれは、誰もが一目見るだけで、何かオーラを纏っていると察するはずだ。

それら全てが絡まりあった結果、作品通り、バラバラの個性の集まりなのに、演奏している時には、とんでもない無敵のバンドになっているのだ。

ここに、ぼっち・ざ・ろっく!のファンが見たいと切望しても見ることの出来なかった、SICK HACKのライブが、遂に現実の世界に現れた。

 

その後には、あの楽屋裏のシーンがあるのだが、ここで個人的に注目したのは、アニメではひとりときくりの会話がメインで、そこに映像の重点が置かれていたが、そこではなく、その脇で、他のSICK HACKのメンバーと結束バンドのメンバーがどういうことをしていたのかというのが、この舞台では描かれている。

特に、この日だけだったのかもしれないが、元々ファンを公言しているリョウが、最初はちょっと遠慮しているような素振りをしており、これは結束バンドのメンバーといる時やSTARRYにいる時の振る舞いとは違う、わかりやすく言えば、推しに会った時のファンそのものという立ち振る舞いをしているため、これはこの舞台でしか見れない、山田リョウの新たな一面だと言える。

 

尚、この10話の展開を語っている中で最後に言っておきたいことなのだが、やっぱりヨヨコはハブられた。

 

そしていよいよ、秀華祭に舞台は移るのだが、ここでぼっちちゃんこと、守野まものメイド服姿が見れる・・・という喜びの前に、疾走したぼっちちゃんを探すために、喜多ちゃんがぼっちちゃんの居そうな場所をわかりやすく教える、ダーウィンが来た、ならぬ、ダーウィンが喜多、をアニメでもやっていたが、ここでも当然やる。

の・だ・が、ここでまさかの、喜多ちゃんミュージカルが再演となり、ダーウィンが喜多・ミュージカルバージョンという、情報量が文字だけでも多い1シーンとなっていた。

ちなみに、この時のダーウィンが喜多にもアニメ同様実写的映像が挟まれていたが、これはアニメとは違う、この舞台の新規映像となっている。

 

そうしてぼっちちゃんを見つけた後、教室に戻り、オムライスのくだりがあってから、本編ではその後に全員がお手伝いでメイド服・リョウは燕尾服に着替えるのだが、アニメでは当然、ワンカットで着替えは完了するが、当然、舞台ではそうはいかない。着替えるのには時間が必要だ。

ではどうするか?となった際、喜多ちゃんがぼっちちゃんにこう依頼したのだ。

 

歌って時間を繋いで、と。

 

そうして始まった、この世界で唯一の楽曲、着替えの間を埋めるための曲を、メイド服・シフトが終わって制服に着替えていた同じクラスメイトや、そこに居合わせた、PART1にも出てきた、お昼休みはウキウキウォッチングしていたあの人に似たような人など、色々な人が歌い、踊り、着替えの時間を埋めていく。
そうして歌い終え、着替え終わったのか確認すると、まだーという喜多ちゃんの声に応じ、まさかのもう一回アンコールが行われる。

ちなみにこの時、演者もバタバタだったが、何故か裏のスタッフさんもそれまではキレよく動いていたのだが、この時だけは何故か演者同様バタバタであった。
おそらく、そういった演出なのだとは思うが、とはいえ、ここまでバタバタのドタバタコメディをせんでも・・・とは、言わずもがな思った。

 

ちなみにこの後、アニメ同様体育館を事前に下見するシーンがあるのだが、当然また着替えが発生するのだが、この時はスクリーンが降りてきて、ジミヘン・・・ではなく、誰の犬なのかわからない柴犬の画像やら間違い探しやら完熟マンゴーを探せ!やら何やらがスクリーンに次々映し出され、それで時間を繋ごうとしたが、終いには、すみませんもう限界ですとスクリーンに文字が映し出されるなど、もはやメタを通り越し、なんでもあり・反則級の手段。というより、すみませんもう限界ですと、諦めて白旗を振ってしまう2.5次元舞台、この世にあるだろうか?

 

と、ここまで書けばわかるが、このPART2は、PART1を大幅に越えるほど、メタ的な要素が多くなっており、これを許容出来るかどうかで、この作品を楽しめるかどうかが変わってくるのかもしれないが、ただ、おそらくこれを見た方のほとんどは、きっとこのメタ的な部分も好意的には受け止められるはずだろう。

と同時に、これが2.5次元舞台の当たり前と思ってはいけないとも肝に銘じておきたい。

 

そしてついに2日目、いよいよ秀華祭の体育館でのライブの幕が上がるが、その前に、この時ライブに来ていたひとりの家族・星歌・きくり、ファン1号2号に加え、原作やアニメでは描かれていなかったPAさんも参加していた。だが、よくよく考えればそうなのかもしれないが、あの最前には映っていないだけで、一緒に来ていて、後ろの方で見ていたかもしれないと、当たり前なことをここではたと気付かされた。

 

というよりも、その面々は、当然な話だが、秀華祭の門をくぐって入ってきたわけだが、原作やアニメではそこは描かれていなかった。

けれど、そこでもしその時、この人とこの人が会っていたら?という、IF、ではないが、実はこんなことが起きていたかもしれないという、かもしれない部分が挟まっており、特に、ふたりときくりという、色々な意味で会わせたらいけない2人の絡みが見れるのは、この舞台でしかない。

 

と、入ってきた後、いよいよ秀華祭の体育館に場面が切り替わると、度々使われていたスクリーンがまたもや上から降りてくる。
おそらく、体育館の幕をこれでカバーしようという魂胆かと思っていると、そこになんと、舞台袖にいる結束バンド4人の姿が映し出される!

確かに、11話のラストで、ライブ前に体育館の袖、人からは見えないところでのシーンはあった。が、とはいえまさか、本来ならば舞台で決して使われることのない舞台袖を、体育館の袖に見立て、そことリアルタイムで中継を繋ぐことで、そこにいる4人の姿と、その部分を再現するという、袖をその通りに使う発想にその手があったかと、膝を打った。

 

そうして繋ぎ、他の3人には見えていないのだが、何故か喜多ちゃんだけがこちらを認識出来ている、というまたもやメタ的視点での呼びかけ、並びにアジテーションをし、観客席の気合いと興奮、ボルテージを高めた後、カメラが動き、下から手を重ねた状態を映す。

アニメでは、上から手を重ねた状態だったを見せていたが、この舞台では、下から手を映すというのが舞台ならではの違いになっている。
それは勿論、そのような普段の舞台ではない舞台袖でカメラを回しており、かつ、結束バンドの4人もいるため、決して広くはないであろう場所で中継しているということもあり、スペース的な問題はあるのかもしれない。

だが、それこそがこの舞台の良さであり、決して再現だけにならず、アニメでは映っていなかった部分を見るだけでなく、違った角度から見れるというのは、2.5次元という狭間の作品だからこその良さなのだろう。

 

そんな導入から、いよいよアニメ最終話のスタートである、体育館ライブが始まる。
1曲目は同様に、忘れてやらないからのスタートだ。

喜多ちゃんは導入から手拍子を煽るという、アニメそのままの動きから、前作以上に難度が上がった楽曲であるが、この1年、結束バンドの4人も、より強固に繋がり、本当にバンドになっていた。
それは、気持ちの面、だけでなく、演奏面でもはるかにレベルアップしており、中でも喜多郁代役の大森未来衣の技術がはるかに向上しているのが、素人目からもすぐに見て取れた。
本当に作中同様、喜多郁代のギターがこの体育館でのライブの時に前よりも上手くなっていたように、現実の役者もまた、それにシンクロするかのように、上手くなっている。

もはや、ここに役者と役の壁はなく、その2つが合わさることで、目の前であの4人が、ライブをしているという現実を叩きつけてくる。
この瞬間だけは、舞台ではない。ライブハウス、いや秀華高校の体育館で、あの4人がライブをしている。

今だけは、完全に、結束バンドのライブだ。

 

アニメでは一部だけだった忘れてやらないのライブも、ここでは完全にフルで演奏した後、作中同様、ひとりのギターのチューニングがずっと合わないまま、いよいよ2曲目の星座になれたらに入る。

 

そして、起きた。1弦が、切れたのだ。

 

これはもちろん、事故的なものではなく、何かしらの方法を使い弦を切ったのだとは思うが、ただ、それがあまりにもスムーズ、かつ自然的であり、いったいどう切ったのか、自分が座っていた席からは全く見えなかった。

 

それに全員が気付き、目配せをする。それもまた、劇中さながらであり、この演奏をしながら目配せするだけでも十分凄いのだが、そこからの喜多ちゃんの即興ギターソロ、からのあの例のボトルネック奏法が披露される。

ここまで書いてきたが、星座になれたらが始まってから弦が切れ、ボトルネック奏法が披露されるまで、演奏が止まることは一度もなかった。
曲の中で、それら全てが起こり、かつ、ひとりの心の声も無いため、よりリアルタイム性・緊張感といったものがひしひしと伝わり、1曲の中で起きるドラマ・事件がより顕著に表現されており、現実でこれら全てが起きるとした際の、100点を叩き出したと、間違いなく言える。

 

そんな感動的なライブの後、飛んだ。ぼっちちゃん、ダイブした。ぼっちちゃん、ダイブした。

二度言ったが、もう一度お伝えする。

ぼっちちゃん、ダイブした。

 

正直、ここをどうするかが一番わからなかったのだが、ただ、この記事はネタバレ有で書いているため話すが、舞台に登るミニ階段の2段目から、客席と客席の間の廊下に、ひとり、もとい守野まもがダイブするという仕組みになっていたのだが、とはいえ、廊下にそのまま飛び込むとは思わず、最後までケガをしないことを願うばかりだが、と同時に、もしこの公演がコロナが5類以降になる前であれば、絶対出来ない仕様だったはずだ。

 

そんなあのダイブで終わったライブから、家族にギターヒーローだということが身バレしていたというのがわかった後、広告収入を貰い、新しいギターを買いに行く前のSTARRYでの一悶着から、時間の都合で新しいギターは出てこなかったが、イシバシ楽器でギターを買い終わった場面で、本編の公演は終了となった。

最後に、出演者が全員登壇し、挨拶をした後、最後に残ったひとりが、行ってきますと言ったすぐ後に、アニメ版の最後のセリフである、今日もバイトか・・・というセリフと共に袖にはけていったのだが、個人的に、なのだが、そのセリフの間がすぐであったのが、アニメ版とはまた違ったリアリティがあったと感じている。
家のドアを出る前でも出てすぐでも、行きたくなくて思わずはぁ、とため息をついてしまいそうになる/なった経験が誰しもあると思うが、そうした身近で、親近感を覚えるリアリティを、最後のこの二言で自分は感じ、ここをすぐ繋げて言うことにしたのは、間違いなくいい判断だったと拍手を送りたい。

 

そして、公演前の生放送番組でキャストの口からも語っていたように、公演終了後、結束バンドによるミニライブがスタートする。

 

その1曲目として選ばれたのは、劇場総集編でも使われた、小さな海だった。

これまで披露してきた他の楽曲とも違う始まりであり、かつ、この音響的なものもあるが、より喜多郁代のボーカルが際立ち、曲を知っていても少し緊張感を覚えるが、1番を終えたタイミングで表情が晴れ、結束バンドです!と挨拶をすると、バンドとしてのギアがググッと上がり、ステージに明るさや熱量など、プラスの感情が一気に溢れ出していく。

 

1曲目が終わると、喜多ちゃんからリョウに、このミニライブの楽しみ方・お約束を伝えるためにということで、MCのバトンをリョウにパスすると、リョウの口から、このミニライブでは特別に、2階席3階席の1列目・並びに左右に設置されている席は安全の都合で立つことは出来ないが、それ以外のお客さんは立ってOK・手を上げる時はこのくらいの高さで周りの人に当たらないようになど、諸々のルールを説明した後、該当の席にいるお客さんほとんどが立ち上がると、一気に椅子があるライブハウス、というより、小さなホールでのライブのように様相が様変わりする。

 

そうしてほぼ全員立ったからには、本当にライブハウスさながらに盛り上がれるよね!と言わんばかりに、代表曲の青春コンプレックスからライブを再開させると、一気にフロアの熱がぐぐっと高まる。
手を上げればサビでは歌う人もいる。この一体感や熱量、なんでもありと言わんばかりの空気感。ルールはあるけれど後はマナーと思いやり、結束バンドと結束バンドの音楽が好きな人達と共にあるこの空間は、もはや完全にライブハウスだ。

 

一度客電が落ち、全員が水を飲んでいる間、スタッフがセッティングをすると、後藤ひとりの前にマイクスタンドが設置される。
客席がザワつく中、ゆっくり後藤ひとりがギターを弾き出すと同時に、意外な楽曲が披露された。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバーであり、アルバム【結束バンド】の最後を飾る曲、転がる岩、君に朝が降るだ。

 

言わずもがな、この曲は、喜多郁代ではなく、後藤ひとりがメインボーカルだ。
だから、当たり前なのだが、後藤ひとりが、マイクの前に立ち、歌っている。それに合わせ、喜多郁代がコーラスをする。
それは、アニメでも漫画でも見ることが決してなかった、ここでしか見ることが出来ないライブだ。

加えて、先程触れなかったのだが、本編終了時のBGMだったのが、後藤ひとり、いや守野まもが歌うこの曲だったのだ。
だからこそ、そこで使ったから、ライブでやることはないと、自然とそう思っていた中で、サプライズ的にこの曲が演奏され、これまでありえなかった、けれど今目の前にある、喜多ちゃんとぼっちちゃんの2人が歌い紡ぐ光景が美しく、この日一番、胸に込み上げるものがあった。

 

そして最後の曲の前のMCにて、前に文化祭でやった時はトラブルが起きたけど、今日は起きないはずと口にしていたが、そこであぁ、と納得をした。

これはミニライブではあるが、と同時に、この秀華祭の後、どこかで行われたSTARRYのライブであるため、ともすれば、ミニライブ、という体でライブが行われても、辻褄が合い、パラレル的な設定ではないため、そういった点を気にする人にもちゃんとした説明がつく。
加えて、この舞台で唯一、アニメより先を描いた光景でもあるので、ある意味では、今後の展開もやろうと思えば出来る、という可能性を見せてくれた。

 

そんなことを思っていると、ラストにはその説明の通り、秀華祭でトラブルがあった星座になれたら、の完全版が披露された。勿論、原曲同様に、フルサイズ、かつ、チューニングも合った完全版の星座になれたらで、この日のミニライブは終了した。

 

そして最後、全キャスト陣が再びステージに上がり、カーテンコールが行われる。

そして、待っていた人も多いであろう、後藤ひとりこと、本公演の座長、守野まものオンステージが始まる。

だが、もう言葉であの挙動と言動を説明出来る自信が、文字を書いている身でありながら言うが、無理だ、と断言する。
あれはもう、映像があって成立するものであるため、この日はどうだったのか、ざっくりどんな感じだったか、という点で説明をしていきたい。

 

挨拶の後、足元の悪い(ちなみにこの日、おそらくそこまで降っていなかった)中来てくれてありがとうございますと感謝を伝えた後、観客からの歓声に応えようとするものの、何を言っているのかわからず、隣にいた虹夏役の大竹美希が、半分通訳的な形で何を言っていたかを伝えていた。ちなみにこれは、2回目のカーテンコールが終わるまでずっとそうだった。

その後一度定位置から離れると、ふたり役の岡菜々美のところまで行き、楽しかったですか?と聞くと、うん!と元気よく返すふたりに、かわいい…と言い残し、また元の位置へと戻っていき、ありがとうございましたと挨拶をし、1度目のカーテンコールを終えた。

 

すぐさま2度目のカーテンコールで呼ばれた後、帰るまで気をつけてください歩いてても何が落ちてくるかわからないから、私もそういうことを考えながら普段歩いてますと、今日来てくれた観客全員が、無事に家に帰れることを願いつつも、家に帰るまで何が起こるかわからないからこそ、危機感は常に持っておいてください・・・ということを言いたいのだと、筆者は感じた。

隣にいる喜多役の大森未来衣に楽しかったかを聞いた後、またもや立ち位置を離れると、向かったのは一番右端の、銀ちゃん/後藤家パパを演じ、カーテンコールでは銀ちゃんの姿で登場をした野田裕貴のところへ。

楽しかったですか?と聞くと、銀ちゃん同様楽しかったー!と言った後、どうだった?と逆に尋ね返されると、ふひっ、という、いわゆる、オタクが出す気持ち悪い声が漏れ、慌てて持ち場へと帰っていく。
というより、正直、あそこまで100点のふひっ、はないと思うし、あれを今後オタクは参考にした方がいいレベル。

 

そんなドタバタな2度目のカーテンコールだったが、ありがとうございました、と再び挨拶をし、全員再び袖にはけていくが、最後の最後まで、後藤ひとり、というより、守野まも節ともいえる挙動のまま、ステージを去っていった。

 

正直、自分はこれが初の2.5次元舞台を生で鑑賞したのだが、もうこれだけ書いているからわかると思うが、とにかく面白く、大満足な内容であり、PART1を見た人ならば、全員もれなく見ていただきたい、そんな公演となっている。
が、それと同時に、こんなにメタ全開な舞台は、間違いなくここだけであり、これを他の2.5次元舞台に求めてはいけない、これと同じような舞台はそうそうないぞ、ということも、肝に銘じたい。

 

話は変わるが、冒頭で紹介した昨年の公演のDVDのレビューの際、この舞台は、ぼっち・ざ・ろっく!そのものの解像度が上がる作品だと書いた。

今回もまた同様であり、先程書いたリョウの普段は見れない一面だけでなく、文化祭の時の他のクラスメイトの動きや表情。加えて、体育館でのライブの、同じく観客席から見ている、キャストの表情や挙動も、作中では見られなかった姿だ。

まさにそれが顕著に出ていたシーンがあり、この日自分は左手側の1階席の座席だったのだが、体育館ライブの時には、その左手側のドアの前に、ファン1号2号、並びにクラスメイトのキャストがいた。
この時、席の位置から、最も顔が見やすかったのが、ファン1号2号の2人だったのだが、中でもやはり、星座になれたらのところでの弦が切れた時は不安そうだったが、ボトルネック奏法で、一気に表情がパッと晴れやかになっていた。
それはまるで、さすがはひとりちゃん!と言わんばかりの表情でもあった。

確かに、ひとりのギタープレイに惹かれてファンになった2人だからこそ、この時のボトルネック奏法を見たらこんな表情をするだろうな、というのが一瞬で見て取れ、これを見れただけでも、世界観が一気に広がったと言ってもいい。

 

が、もし、もう少し席が後ろだったら、同じ高校の女子の表情も見れたかもしれない。あるいは、右手側の席であれば、そちらにいた、星歌やPAさん、きくりや後藤家全員の表情がもっとよく見れたかもしれない。と考えると、何度でも足を運びたいと思うのは当たり前だろう。
それだけでなく、そもそもの演奏をしっかり見たいという方もいれば、2階席3階席で見て、どうやって弦を切ったのかというカラクリを知りたい方もいるはずだろう。

 

そんな方々向けに、リピーターチケット、という、残席がまだある公演のみ、追加のチケット販売が行われており、かつ、ここでしか手に入らないポストカードも付いてくるが、確かに1回見ただけでは、この公演を全て楽しめたとはとても言えない。無論、1回だけでもとても楽しいというのは言うまでもない。

ただ、当初リピーターチケットなんて、そんなそんな、と思っていたが、この日観劇したことで、冗談抜きで、リピーターチケット、というより、もっと見たい!もっとやってくれ!近くに住んでいたかった!という欲望と悔しさが湧いたのは、言うまでもないが、これはおそらく、観劇した全員、思っていることであろう。
今となっては、リピーターチケットなんていうおかわりチケットを、公演前から出す理由もよくわかった。これは本当に、見たら間違いなく、リピートしたくなる。

 

長々と書いてきたが、改めて、本公演の続編のGOを認めてくれた、アニプレックスの偉い方には感謝しかない。
そして、このPART1よりも無理難題が多く、越えるべきハードルが高いPART2の脚本・演出を担当した山崎彬、前作から続投・今作から参加した役者の皆様、音響面の方々、照明の方々、ファッションを担当されたメイクの方々、舞台転換に携わったスタッフの方々、THEATER MILANO-Zaのスタッフの方々etc…..、この舞台の全てに関わってくれた方々に、心からの感謝を申し上げたい。

このような素晴らしい舞台が存在していたからこそ、自分のような、普段はそれこそライブハウスにしかいない人間であっても、2.5次元舞台の生を見に、会場まで足を運ぶことになった。
そのくらい、この舞台にはパワーがあり、ライブハウスの住人をも惹きつけるパワーがある。

なので、2.5次元舞台に疎い・興味が無い人間であっても、ひいてはぼっち・ざ・ろっく!を全く知らない人間であっても、間違いなく楽しめる舞台であり、知っている人はもちろん、自分のようなライブハウスが住所のような人間・ロックが好きな人間・バンドサウンドが好きな人間であれば、必ず大満足出来る舞台になっていると、心の底から断言する。

 

そして、これは以前のDVDのレビューの時にも書いたが、改めて書きたい。

 

やはり、この結束バンド、ならびにSICK HACKを、ライブハウスで見たい。
これは、以前は願望に近い形で書いたが、もう確信というか、心の底からの渇望なのだ。

ライブハウスで、見たいのだ。

 

というのも、PART2の体育館ライブのMCで、虹夏が、興味を持ったらライブハウスに来てくださーい!とMCをしていたが、本当にそうで、バンドの主戦場・根城であるライブハウスで、このバンドを見たいと、多くの方が前から思っていただろうが、今回で皆、確信に変わったはずだ。

それに、何と言っても、今回の舞台の公演にあたって、結束バンド・SICK HACKのメンバーは、何ヶ月も前から、公演を行うに当たって、血のにじむような練習を積み重ね、かつ、本当にバンドになろうと、冗談抜きで四苦八苦を重ねてきたはずだろう。

そんな長い間練習を積み重ね、バンドになったこの2つのバンドが、この公演期間が終わったら、自然解散になってしまうのは、心の底からもったいない。
というより、何としてでも食い止めたいと、1ファンとして思っている。

 

故に、MCのように、ライブハウスで今度は会う機会を作ってほしい。
次のライブはまだ決まってないとも作中で言っていたが、実際問題本当にそうなのだろう。

 

だからこそ、本当に心の底から、ライブハウスで見る機会を作ってほしいと、心の底から切望している。

そもそも、今回のPART2も、昨年の公演の最終日の時でさえ、まだ次回公演があるのかどうかすら、決まっていなかった。

続編が決まった理由の一つに、この公演を楽しんだファンの声があったからこそ、GOが出たのだ。

声にするのは大事、ではないが、とはいえ、たかが1つの意見なのかもしれない。
だが、そういった声が集まれば、また次舞台ぼっちが好きな方々と、このバンドが集まる機会が、万が一かもしれないが、生まれるかもしれない。

だからこそ、改めて最後に言いたい。

 

この公演が終わった後、ライブハウスで、SICK HACKに、結束バンドに会えることを、心の底から願っている。