ICE GRILL$ & The BONEZ presents NO PRESSURE with REGULATE JAPAN TOUR 横浜ベイホール ライブレポート
まず、前提になるが、筆者はThe BONEZのファン・通称BONERである、ということをお伝えした上で、今回のライブレポートに入っていく。
今年の4月6日、The BONEZの10周年記念・47都道府県ツアーのグランドフィナーレとして行われた幕張メッセイベントホールのワンマンライブのアンコールのMCで、ベースのT$UYO$HI(以下、人物名については全て敬称略とさせていただきます。)が、今年もちょっとパンチの効いたことをやろうと企んでいると口にしていた。
その当時、この言葉を直接聞いていた時には、そのパンチのあること、というと、何かしらの形の新音源のリリースやツアー、あるいは、過去行っていた対バン企画である【Blood In Blood Out】や【LIVE TONIGHT】 が開催されるのか、あるいは全く新しい何か面白いことをやるのか、という想像をしていた。
しかし、蓋を開けてみたら、その想像以上のサプライズが待っていた。
それが、T$UYO$HIが在籍しているもう1つのバンド、Dragon Ashとの全国ツアー、並びに、Dragon AshのフロントマンであるKjを迎えた新曲、Straight Upのリリースだった。
現在、T$UYO$HIはThe BONEZ・Dragon Ashの2つのバンドを掛け持ちしている。ということは、当たり前な話だが、それだけ体力も消費する。
故に、The BONEZ・Dragon Ashの2バンドがフェスで同じ日に出演するということもよくあるのだが、その際、必ず、何アーティストかライブを行った後に、どちらかが出るということをしていたため、運営側も気を遣っているのは見て取れ、かつ、見ているこちら側も、2連続なんてありえない、と思うのが当たり前だった。
しかしそんな中で、このツアーはむしろ、そのT$UYO$HIが筆頭でやろうと発案した企画であり、多少無理をしてでも面白いことをしていくことや、この世代が下の世代に負けないことを見せつけてやろうという、意気込みや覚悟を様々な場所で語っていた。
かつ、今回のツアーと同時に発表したStraight Upは、メンバーそれぞれの歴史が相合わさり、このタイミングでないと作れなかった楽曲になっており、聞いてない方は今すぐ聞いてみてほしい。
が、更にこの記事を上げている数日前には、今度はDragon Ash側が逆に、JESSEをフィーチャリングゲストとして迎え、同名の楽曲【Straight Up】のリリースを発表したため、そちらも間違いなく名曲になると確信しているため、聞けるその日を現時点では心待ちにしている。
と、これだけでもパンチが効いている、どころか、効きすぎておなかいっぱい、というのが正直な感想だった。
が、そのパンチの効いたことが、まさか、もう1つあるとは思わなかった。
それが、今回レポートさせていただく、アメリカのハードコア・パンクバンドのNO PRESSURE・REGULATEとの対バンライブ。
かつ、ICE GRILL$とThe BONEZによる、共同企画である。
知らない方に説明をすると、ICE GRILL$はレコードレーベルであり、かつ、渋谷で【NERDS】というCDショップも運営している。
加えて、海外のエモ・パンク・ハードコアバンド。それも、海外のアーティストが沢山出るようなフェスにも中々出ないようなバンドを日本に招聘し、本国さながらの空気感のライブを企画する、インディペンデントなレーベルである。
過去、有名どころで言えば、LagwagonやChunk! No, Captain Chunk!などのライブも企画しており、今回のNO PRESSUREとREGULATEも、実は昨年にこの2バンドで来日・ツアーをし、その時もまた、ICE GRILL$が企画をしていた。
ただ、ICE GRILL$が日本のバンドと組んで企画を打つことはあるのだが、The BONEZのような、フェスではメインステージに立つことが当たり前・ワンマンでZeppツアーが出来るほどの人気があるバンドとタッグを組んで何かをするというのは、初めてのことだ。
加えて、The BONEZとしても、海外のバンドやアーティストが出るフェスに出演したこともあるが、こうしてライブハウスで、海外のバンドとライブをする。それも、こうした海外のバンドとライブを行う際、日本のバンドが出る時には決まって必ずと言っていい、オープニングアクト・前座、ではなく、同じ持ち時間でガチンコでぶつかりあうというのも、初めてのことだ。
(これは筆者の記憶に抜け漏れがあったら指摘いただきたいが、そもそもThe BONEZがメインアクト・オープニングアクトという形含め、海外のバンドとライブハウスでやるというのも、今回が初めてのことなはず。)
ただ、NO PRESSURE・REGULATEのファンからしたら、なんでThe BONEZ?と思う方もいるかもしれないが、これは調べていただければわかるが、ドラムのZAXは以前のThe BONEZのアーティスト写真で、NO PRESSUREのTシャツを着ており、かつ、メンバーも去年この2バンドで行われたツアーの渋谷公演に参加していたと語っており、その中でICE GRILL$とも繋がりを持ったという。
つまるところ、The BONEZのメンバーがそもそも好きなバンドであり、それを踏まえれば、この企画が組まれたことにも納得いただけるはずだろう。
かつ、NO PRESSURE・REGULATE側からしても、日本のバンドがサポートアクトとして共にライブをすることはあれど、日本のこのシーンの中でも、とりわけ人気を誇るバンドと共にライブをすることは初であり、これまでの来日公演とはまた違った刺激になるのは間違いない。
事実、NO PRESSUREは、今回The BONEZと一緒にやることを非常に楽しみにしていたという。
正直、ファンからすれば、近いタイミングでDragon Ashとのツアーもあるため、そちらを優先する方もいるのかもしれない。
だが、The BONEZのメンバーのSNSで、この公演にはとにかく来てほしいとメンバー全員が何度も発信をしており、加えて、NO PRESSURE・REGULATEに、日本のファンとバンドの一体感を見せつけたいとも発信していた。
かつ、The BONEZ公式SNSで、今回のイベントのためだけに編集した動画をSNSにアップしており、中には、The BONEZのライブ映像は一切なく、NO PRESSURE・REGULATE、そして大阪公演のみ出演となった日本のバンド、Hollow Sunsのライブの映像を上げている投稿すらあった。
もちろん全公演気合いが入っていないというわけではないだろうが、ただ、自分はそこそこBONERを長くやっていると自負している。
そんな自分だからこその意見なのだが、ワンマンライブ以外で、ここまで熱量高く宣伝をするのは、はっきり言って見たことがなかった。
と、ここまでThe BONEZが言っている。あの作品で言うならば、Assemble、を求められているのならば、それに応えるのがThe BONEZのファン、BONERというものだろう。
かつ、自分はThe BONEZのライブに何度も参加しているが、この日が一番、ワンマンライブや対バン、フェス等含め、一体どういったフロアになるのかが、全くと言っていいほど想像が付かないという意味でも、この日は非常に面白い一日になると確信し、この日を選んだ。
日本とアメリカの熱い3バンドのライブ。それも、扱いは全く同じ、どころか、蓋を開けて見れば、異例の出順となった日米3バンドによる熱い対バンライブ。
この特別な一日をレポートしていく。
1バンド目に登場したのは、アメリカのハードコアバンド、REGULATE。
日本のバンドでおなじみと言える、SE・出囃子もなく全員がステージに現れると、フロアからは歓声が上がり、そのままの流れで、Why Can’t We?・Regulate Ⅱと、ライブの定番曲を立て続けにプレイすれば、フロアはたちまちハードコアのライブでよく見るフロアのピットになり、頭にバンダナを巻いた、いわゆるハードコア・ヘッズとでも呼ぶべき観客が、テコンドーモッシュを繰り広げる。
The Crime・48・Manos De Oro・You & I・Antispectrumと、MCは一切なく立て続けに曲をプレイし続け、MCというMCもない。強いて言うなれば、フロアにこう遊べ、と指示する程度。その都度、フロアはテコンドーモッシュもすればステージダイブもすれば、ツーステップもするが、いわゆる日本でお馴染みのツーステップの動きではなく、ホンモノの、ツーステップを披露する観客もいる。やはりハードコアが好きな人のツーステップは、見ていて清々しい。
その一方、ステージに目をやると、ボーカルのSebastianは、フェイスメイクもしていたのだが、あくまでこれは所感なのだが、両目の下に線が引かれてあり、それがまるで、仮面ライダー(初代)の漫画版のネタなのだが、改造人間になった跡、のようにその線が見えたのだが、もし元ネタを知って引いたのならば、どんな経緯で知ったのかは知りたいところ。もちろん違うとは思うが。
更に、ギターのJarredは、外見だけを見ると筋肉隆々で、正直今日出た誰よりもイカついのだが、ギターアンプの前に、NMB48のアイドルの布ポスター?的なものを掲げており、かつ、この日着ていたタンクトップには、エヴァンゲリオンのアスカと綾波がフロントにドンと描かれていた。
このように、音はこの日出た3バンドの中でも一番ヘビーな音を鳴らしていたのだが、ステージで演奏するREGULATEのビジュアルは、良くも悪くも、耳で聞く音と目で見る人間性とが大いに異なっているが、それが逆に目を惹き付けさせ、同時に、自分の好きな物を恥ずかしげもなく堂々とステージに出すというのは、日本のハードコアバンドでは見られないスタイルなため、ここもまた、日本とアメリカの差が出ていたように思う。
そんなことを思っていると、ワンモア、というSebastianのこの日唯一とも言えるMCから、ラストのIn the Momentに突入すると、Sebastianはマイクをフロアに向け、我先にその部分を歌おうと、ファンがマイクジャックをし合えば、ステージダイブもテコンドーモッシュも、暴れ収め、と言わんばかりに、これまで以上のに盛んに行われる。
この日の中で唯一、ハードコアサウンドをメインにするREGULATEは、強烈な印象と最高のスタートを切り、20分弱のステージを終えた。
2番目に登場するしたのは、REGULATEのギターのBottiとドラムのHarryが在籍するもう1つのバンド。アメリカのパンク・ハードコアバンド、NO PRESSURE。
ボーカルのParkerはおはようございます!と覚えた日本語で挨拶をすると、軽やかにToo Farからライブを始めると、先程とは打って変わり、ポップなサウンドの中にヘビーな音も混ざる、これぞポップパンク、と称すべきサウンドに、ステージダイブも盛んに行われる。
Both Sidesでは、観客が一部分をマイクジャックし、歌おうとするのだが、最後の方では、Parkerはマイクを手放し、観客がその通りマイクをジャックし、歌うという、ポップパンクの遊びなのか、はたまたNO PRESSUREの遊び方なのかはわからないが、だが、Parkerをはじめとしたメンバー全員、その行為すらとても楽しんでいるように見えた。
また、これは最後までそうだったが、Parkerは曲を終える度、何度もありがとうございます!と挨拶をしていた。
Parker自身、NO PRESSUREだけでなく、もう1つのバンドであるTHE STORY SO FARでも度々同じICE GRILL$が招聘をし、日本でライブをしてきたため、日本もだが、日本語にも少し馴染みが出てきたのだろう。そのためか、ありがとうございますも、とても自然なイントネーションだった。
Say What You Meanを終え、メンバー紹介をParkerがしていくが、今日がなんとギターのPatの誕生日であり、その流れでハッピーバースデーの歌をフロア中で歌い、歌い終えるとその流れでDoin’ Fineに入っていく。そこから、自身のバンド名を冠したNO PRESSUREを立て続けにプレイすると、ファンからの祝砲と言わんばかりに、ステージダイブが立て続けに行われる。
ここで一度ギターのBottiがMCをし、今回の2公演一緒にやってくれたThe BONEZと、大阪公演にのみだが出演をしたHollow Sunsに感謝のメッセージを伝えつつ、パーカーと楽しそうな話をしている。
観客も日本人が多いが、それでも、英語で話す2人の内容を聞き取ろうとしている。
が、So You Sayからライブが再開すれば、フロアの熱はあっという間に再点火。ジャンプもすればステージダイブもすればと、またもやなんでもありのライブが再開する。
加えて、日本人だけでなく、アメリカで生まれたであろう方のステージダイブも多く見られ、会場である横浜ベイホールの規模感含め、本当に本国さながらのショーが繰り広げられる。
ここからはほぼ最後までノンストップでライブが繰り広げられ、Same Thingが始まれば、待ってましたと言わんばかりにイントロのベースラインからステージに我先にと乗り上がりステージダイブをし、かと思えば、次のBig Manでは、次々に手が上がる。
全体的に自由に遊んでいる雰囲気はあれど、何も言わずとも、どこか統率が取れている。自由に遊ぶが、目の前で行われるライブの一分一秒を心の底から全員が楽しんでいる。
それはやはり、ここ最近はよく来日しているとはいえ、次いつ日本でライブが行われるかは未定なため、全員が悔いを残さないように、全てを楽しもうという姿勢からだろう。
だからなのか、あるいは、そんなものする必要がないのかはわからないが、スマホを掲げて撮影をする人も、こうした海外のバンドのライブでは、非常に少なかったように思う。
そんなことを思っていると、全員が待ってました!という雰囲気がフロアから何も言わずとも伝わってくるようなLock it Upが始まると、本日一とも言える盛り上がりが起こり、ステージダイブは止むことは一向にない。
その流れのまま、ラストにDealで爽やかに締めくくり、約40分程度のステージを終えた。
ちなみにここでおっ?と思ったのだが、これはたまたまなのかもしれないが、いわゆるライブ終わりの溜め、のようなものがなく、スパッと曲を締めくくりステージを後にしたため、これは日本とアメリカの音楽やライブに対する向き合い方の違いなのかもしれないと思わされたが、そのスパッと終わったNO PRESSUREのステージを惜しむように、ワンモアー!というフロアからのコールも多かったと、ここに記録しておく。
そしてこの日のラストを飾ったのは、今回唯一の日本バンドであり、この日ICE GRILL$と共催をすることになった、The BONEZ。
これは、ICE GRILL$的な話だが、ICE GRILL$が主催する海外のバンドのツアーにおいて、そのバンドではなく、日本のバンドがその日の最後・フェスで言うところのトリを務めるのは、前代未聞のことだ。
しかし、この日はBONERだから、という贔屓目もあるとは思うのだが、それを差し置いても、正直、この日見ていた2バンドは、ちょっと悔しいと思っていたのではなかろうか?と勝手に思ってしまうほどに、The BONEZは、その2バンドに負けない、どころか、全てをかっさらっていくようなステージングをしていた。
REGULATE・NO PRESSUREと同じく、SEもなく全員が登場し、ドラムセット中央で、点取られても、取り返す!We Are The BONEZ!と、こちらとしても見慣れたお馴染みの円陣からライブをスタートし、フロア側のOiコールとも呼ぶべきコールを聞こえるまで求めてから、Love Songをプレイする。
ボーカルのJESSEは、今回のツアーのNO PRESSUREのツアーTシャツを着用しており、普段の対バン企画では、なかなかそのバンドのTシャツを着ることはそこまで多くないJESSEが、この日は堂々と着用している姿を見て、今日は間違いなく、いいライブになると、自然に感じた。
1曲目を終えた後、ステージとフロアの間が僅かに空いていることが気になったのか、埋めろ埋めろ、ここに入ってこいとJESSEが言えば、たちまちその部分が埋められ、パンクやハードコアのライブ現場でよくある、セキュリティなし、フロアとステージの距離がない、ゼロ距離のフロアが出来上がる。
そのままLouderが始まれば、いつも通りのダイブ多めなこの曲が、今回ばかりはセキュリティがいないため、ステージダイブをして戻ってくるこの様は、普段のThe BONEZのライブではまずもって見られない光景だ。
次のNew Originalでは、ラストにウォールオブデスが来るのがお決まりなのだが、その中央にJESSEがやって来ると、そのまま観客のウォールオブデスに巻き込まれながらも歌い続ける。
その中で靴を片方なくしたと言っていたが、すぐに返ってきた際、それを受け渡してくれた観客の1人とグータッチを交わす。
これもまた、フロアとの信頼関係の1つの形と言えるだろう。
ドラムのZAXがMCでICE GRILL$、並びにNO PRESSURE・REGULATEの2バンドへの感謝を伝え、JESSEが楽しんでってくれと伝えた後、目の前突っ立ってんのが、We Are The BONEZ!と、ファンならお馴染みのMCをし、いつもならば、このすぐ後に同言葉と同じタイトルのWe are The BONEZに入るのだが、この日はRusted Carであった。
この予定調和がいつもと違うだけでも、この日のセットリストが相当攻めのセットリストだというのがわかった後、ダメ押しと言わんばかりに、ライブでは何度か披露している未発表の新曲、Get Up Kidsをプレイする。
Adam & Eveでは、最後のサビの前にJESSEがBONERに担がれ、フロアでもみくちゃになるのが定番だが、この日はなんと、ベイホールの最前フロアのその一段上になっているフロアの柵の部分まで行く。
その部分はある程度近くでは見れるが、ダイブモッシュは起こらない、いわゆる、ライブにおける安全地帯だ。故に、ここまで来ないと思ってただろ?と、ニヤリとしながらJESSEは言い、そのまま最後まで担がれたまま歌い続けた。
この、ファンに担がれたまま、フロアをどんどん突き進み、こんなところまで来ないと思っていた目の前にやって来るJESSEの様子に、The BONEZのライブを初めて見るほとんどの方が、驚いていたように思う。
ここでギターのKOKIがMCをし、2バンドへの感謝と、大阪に出演をしたHollow Sunsに拍手を送ってくださいと言うと、すかさずベースのT$UYO$HIが、今回俺達とICE GRILL$を繋げてくれたCOUNTRY YARDのギターのyukiもありがとうと、今回The BONEZとICE GRILL$を繋げ、この公演の企画に尽力した影の功労者であるyukiへの感謝もステージから述べた後、明日もNO PRESSUREとREGULATEの2バンドは吉祥寺でファイナルがあるから、ここにいる人は全員行くようにと、念押しをする。
今日この日、アメリカの2バンドとやれるのをもちろん楽しみにしていたが、同時に、その2バンドに、日本のファンと俺らの一体感を見せられている思うとJESSEは口にし、袖や後ろで見ていたNO PRESSURE・REGULATEのメンバーに、英語でどうだい?と尋ねると、REGULATEのボーカルのSebastianは、即座にサムズアップをJESSEに向け、フロアからもその様子に拍手が起こる。
ならもっと見せようぜと煽ってからのYou and I、サークルモッシュからのテコンドーモッシュまで巻き起こったZenithでは、JESSEはギターを持ったままダイブし、BONERに支えられながらも弾き続ける。
この日のThe BONEZは、ディフェンスは0であり、度々公式が口にしていたように、ハードコアなライブを見せつける。それは、サウンドではなく、精神性という意味で、ハードコアなライブを見せつけていた。
お前ら今日自由なのに来たんだろ?強制されたわけでもないのに。俺らだってそうだよ。と、熱くフロアに語りかけた後、ラスト1曲に全ての想いを詰めて終わりますと言い、もしそれでもアンコールで出てほしいんなら、おら出て来いや!とか、ワンモアー!くらい言って呼び出しやがれと、この後もしアンコールを求めるとなった際、生ぬるいアンコールを求めたのならば絶対に出ないことを口にし、かつ、これが本当の本当にラストという想いで、SUNTOWNをプレイする。
終盤、JESSEは右手スピーカーの上に登り、その上で歌い続けた後、最後のサビでリフトが大発生しているフロア内にダイブ、もとい落下しながら歌い、ステージに戻ったと思ったら、ステージにはダイブをして上がったBONER達が戻りはせず、その場に全員が留まって一緒に歌い、そのまま本編を大団円、のような形で終了させた。
それこそ、バンドとファンの一体感を見せつけたい、と度々The BONEZ側は今回の公演に際して口にしていたが、ただ、自分はその一体感、ということについて、The BONEZとBONERのライブの一体感は凄い!というのは、肌感覚ではわかっている。なのだが、とはいえ見たことがない人に、一体感凄いんだよ!というのを、どう言葉で説明を、表現すればいいかが正直、この瞬間を見るまで上手く言葉に出来なかった。
だが、今日この日のSUNTOWNのこの光景を見て、これだ、これがそうなんだ、とハッとされられたと同時に、これ以上の答えがあるだろうかと、バンドとファンの一体感を、まざまざと見せつけられた。
最後に、NO PRESSURE・REGULATEのメンバーをステージに全員呼び込み記念撮影をし、ICE GRILL$、という掛け声と共に記念撮影も無事終了し、この日のライブは終了・・・するはずだった。
しかし先程、JESSEがアンコールで出てほしいならこのくらい言えと言ったのならば、BONERもまた、黙ってはいない。
フロアからワンモアー!や、足りねぇよ!等、東京のライブだと、なし崩し的に手拍子でアンコールを求めてしまうものだが、今回ばかりは心からの叫びがフロアのあちこちから聞こえてくる。
それに応え、The BONEZももう一度登場し、先程全部出し終えたつもりだったと口にしたため、今回に関しては予定調和でない、ホンモノのアンコールが始まる。
最後の曲の前にJESSEは、お前ら長生きしろよ。この中に死にたくなって明日死のうかなって思ってるヤツいるかもしれないけど、そしたらライブに来い。人生が変わるかもしれないし、今日この日に人生が変わるヤツだっているかもしれないと熱く語る。
この言葉を聞いて、もちろんそう関連付けたわけではなく、かつ、JESSEをはじめとしたThe BONEZメンバーも面識はないと思うのだが、自分はあることを思わざるを得なかった。
今日、このライブがあった日の数時間前、シンガーソングライターのさユりが亡くなったという訃報が入ってきた。
28歳という、あまりにも若すぎる年齢で、この世を去ってしまった。
無論、彼女はアーティストであり、ステージの上に立つ側の人間だ。
しかし、さユりだけではなく、今日出ていたThe BONEZも、NO PRESSUREもREGULATEも、ひいては、この世全てのアーティスト・ミュージシャン・バンドマンは、その華やかなステージの裏側で、自分の全てを犠牲にし、文字通り、命を懸けて創作活動に打ち込んでいる。
だからこそ、その苦しみから生まれたものを享受している我々フロア側も、色々あるとは思うが、とはいえ、軽い気持ちで死んではならない。アーティストもまた、色々あるが、その色々含め、自分の命を懸けて、己の全てを燃料にして生み出した音楽というものを表現する場には、アーティストだけではダメで、アーティストと観客がいてこそ、初めてライブは成り立つ。
そのライブの華やかさや、アーティストの苦しみが昇華される場に、我々は興奮、感動、ロマン等、一言で言い切れない様々な感情が溢れ出し、それがあるからこそ、明日も生きようや、またライブに行こう。このライブがあるから、この日まで嫌なことたくさんあるけど頑張ろう等、日々の生活を乗り越えられる糧や支えになるのだろう。
だからこそ、この日のJESSEの長生きしろよ、という言葉には、これまで以上に胸に来るものがあり、しょうもないことで死んでいられない、また生きてこの場にやってこよう。死にたくなったらThe BONEZのライブを見に行こうと、心の底から思わされた。
無論、それは昔も今も変わりないことだと、自分は思っているのだが。
そんなラストには、BONERとThe BONEZの関係を歌ったHey,Youを歌うと、最後にはJESSEだけでなく、KOKIもギターを抱えたままステージダイブをするという、The BONEZ流のやり方を最後に今一度刻むかのように、熱い熱い日米3バンドのライブは幕を閉じた。
この日の最後、JESSEはステージを去る前に、また一緒にやるからよ!と口にしており、かつ、ICE GRILL$側も、またThe BONEZと一緒に来年も何か起こる予感がしていると、これが最初で最後ではなく、これから先もまた面白いことが起こるかもしれないという、未来への期待を言葉にしてくれた。
というより、The BONEZ自体が既にもうそういった、海外のバンドと共にライブを行うことを企画しているのだという。
以下、これは少し前に公開がされた、The BONEZのインタビュー記事からの抜粋となる。
JESSE:近々で言うと、NO PRESSUREとREGULATEっていうアメリカのバンドと大阪と横浜でやるんだけど、これからはアメリカだけじゃなくて、アジアも含めた海外のいいバンドを見つけられるコネクションを開拓したいと思っていて。そこで生涯の友達になれるバンドと出会えたらいいんだけど、そうじゃなかったとしても、 海外から呼んで、日本の俺らのBONERの前でライブさせてあげて、逆に俺らもそのバンドの国にライブしに行くっていうことを、来年すごくやりたいなとは考えてます。何個かまだ言えないけど、決まってるものもあるんですけど、その中で、「こういう曲できちゃった。じゃあレコーディングしよう」ってなると思うんですけど、今はThe BONEZのライブを見たことがない人に、どれだけ見せてあげられるか。来年は、そういうことに力を入れたいですね。
(引用元:【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>The BONEZ、「チャンスをあげれるなら出し惜しみすることなんて1ミリも考えない」より引用)
このように、The BONEZが、既に海外バンドと何かしようと企画している中で、日本に海外のパンク・ハードコアバンドを招致し、ライブを企画するICE GRILL$とこのタイミングでガッツリタッグを組むことになったのは、個人的にはとても良いことだと思っている。
ICE GRILL$としても、以前、あるバンドのライブを企画したいと思っていたが、本国の規模と日本の規模感とが合わないため、企画を断念したこともあるとSNSで語っていた。
しかし、The BONEZのように、日本のフェスでメインステージに立つことが当たり前のようなバンドともっとコネクションを持ち、それらのバンドと組んでライブが出来るようになれば、そういったことも企画出来るようになる可能性が生まれたと言っても差し支えなく、ICE GRILL$としても、大きな実績になり、同時に、大きな自信になったはずであろう。
そうしてどんどん日本と海外のこのシーンにいるバンドが、ライブハウスでがっぷり四つの対バンの企画がもっと増えていけば、もっとこのシーンは面白くなるはずであり、それこそ、日本のこのシーンの中で最も象徴的なフェスである【SATANIC CARNIVAL】に、アメリカのこのシーンのバンドが出る可能性だってあるかもしれない。
これは夢物語と言われるかもしれないが、既に台湾のFire EXや韓国のGUMXが出ている実績もある。後はコネクションさえあれば、その可能性だって出てくるはずだ。
加えて、これが個人的には一番重要だと思っているが、正直、バンドが人気であろうがそうでなかろうが、結局、カッコいいバンドはカッコいいのだ。
人気バンドだから、という理由や、知名度ないから知らない、海外のバンドはわかんないなど、そんなことだけで聞くことをしないのも、ライブを見ないのも、もったいない。
少なくとも、この日の3バンドは、全てカッコよかった。それは、ライブもそうだが、こんな強行日程であっても、疲れやへばっている姿を全く見せなかった、というところにもある。
今回の公演にあたって、NO PRESSURE・REGULATE側は、9/21~28までで6公演を行うというハードスケジュールであり、本日は5公演目であったが、それを全く感じさせない、圧巻のライブだった。
冗談抜きで、バンド自体のフィジカルの強さ、といったものをまざまざと見せつけられたように思う。
が、実はThe BONEZも、同じ9/21~28までの間、フェス等含め5公演をこなしており、特にこの日含めた前後3日は、特段ハードであり、前日は茨城の水戸にて兄弟バンドと呼んでいるSHADOWSのツアーへのゲスト出演。そしてこの横浜でのライブの翌日には、なんと宮崎県で行われるThe Drop FESTIVALというフェスに参加という、とてつもないハードスケジュールなのだ。
ちなみに、これらの3か所を繋げた総距離は、片道約1300キロである。
尚、本州の長さが約1500キロなので、どれだけ長距離なのかはこれで容易に想像がつくだろう。
正直、一般的な考えならば、水戸でのライブが終わってから、1日移動に時間をかけて宮崎のフェスに参加、というのが当たり前だと思っているが、そんな過酷なスケジュールの中でも、この日を特に大事にしていたからこそ、こんな過酷なスケジュールでもGOを出したのだろう。
それは、単純に1年以上時間をかけて企画したからこそ、この日は絶対に外せなかった、というのはそうだとは思うが、こちらが先か前後2公演が後で決まったのかはわからないが、おそらく後者だろう。
ただ、そんな強行軍であっても、全てに参加し、彼らが度々口にしている、骨から気合いを入れて、全国を熱く盛り上げるという気概やアグレッシブさがThe BONEZの凄さや強みである。そんなバンドが、カッコよくないわけがない。
そんなカッコいい姿勢といつだって最高にカッコいいライブを見せてくれるThe BONEZが、世界のあちこちにいるカッコいいバンドを呼んでくれるのならば、こんなに嬉しいことは無いし、大好きなバンドが、リスナーの音楽の幅を広げるアクションをしてくれるのであれば、こちらもそれに応えていきたいし、今後のThe BONEZの動きにも期待をしたい。
と、やや大きな話になってしまったが、とはいえ、今日この日、間違いなく、何かが変わる音がした。これは正直、このライブの告知があった日から思っていたことだったが、ライブを見て、それは確信に変わった。
間違いなく、この先のシーン、特にコロナ禍以降において、歴史的な1日になった。そしてこの日、俺は/私はその場にいた。
後世にそう自慢出来る日が間違いなく訪れると、自分は信じている。
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