[AGE UNCOVERS THE TRUTH] SUPPLIER x Age Factory presents ALL NIGHT PARTY 渋谷duo MUSIC EXCHANGE ライブレポート
Age Factoryの快進撃が止まらない。それは、この記事を読んでくれている方々の方がわかっていることだろう。
今や、奈良を代表するどころか、文字通りAge Factory=時代の工場、という名前を背負うに相応しいほど、この年代を牽引するアイコニックな存在だと、バンドに詳しい方ならほぼ同意見だと信じている。
そんなAge Factoryがこの12月、アパレルブランドSupplierとのコラボアイテムのリリースと共に、そのコラボを記念した、アフターパーティーとなるライブイベントを開催した。
タイトルにもあるように、アフターパーティーと銘打たれているため、バンド主催のオールナイトイベントでありながらも、立ち位置としてはライブがおまけ、のような印象を受けてしまうかもしれないが、無論そんなわけはなく、Age Factoryのライブ中に、ボーカルの清水英介は今年沢山色々なところでライブをやってきた成果を見せる、と意気込んでいた。
また、この日のラインナップについて、このライブの直前に行われたSupplierとのインスタライブで、このSupplierを着てほしい方々を呼んだ、と発言していたが、この日のラインナップを見てもわかるが、全アーティストジャンルがバラバラであり、どのバンドに対しても言えることなのだが、Age Factoryと親交がある、というイメージが、良くも悪くも全く湧かないラインナップというのは、バンド主催イベントとしては非常に珍しいのではないだろうか?
だからか、オープニングアクトとクロージングアクト以外の3バンドは、全員持ち時間35分程度と、同じ時間でどれだけぶつけ合えるか、というヒリヒリ感があった。だが、それはオープニングアクトのBearwearにも、クロージングアクトのE.O.Uにも言え、どのアクトも見どころしかなかった、というのが正直な感想だった。
オールナイトのパーティーという、夜が深まりすぎた時間に始まった、わずか4時間程の、夢のような一夜をレポートしていく。
まず、会場内に入ってみて驚いたのだが、バンド主体のライブであるにもかかわらず、バンドTシャツが半々、というより、むしろ本当に、普段着、のような格好で来ている方が、体感6割ほどいたように思う。
もちろん、Age Factoryや、今日出るVMOやTHE NOVEMBERSのTシャツをはじめとした何かしらのグッズを身につけている人や、この日行われたポップアップストアの服を身につけている人もいた。
が、それ以上に、バンドグッズを全く身につけていない、つまるところの普段着を着ている人の方が、明らかに多かった。
それは、単純にこの日は冬の深夜なので服を脱ぐのが寒いというのもあるとは思ったが、とはいえそれにしたって、いくらなんでも多すぎる。そんな印象を筆者は感じた。
Age Factory自体、ロックバンドではありつつも、ヒップホップ界隈にも進出していることもあるのかもしれないが、とはいえそれにしたって、出演者のほとんどがロックバンドのイベントにおいて、ここまで普段着の人の方が目立つライブ、というのは、この界隈のバンドからすれば非常に珍しい。というより、筆者は初めて見た。
ただ、あくまではこれはオールナイトイベントだからなのかもしれないし、あるいは、Age Factoryのファンが、そういった、バンドグッズを着てライブに行くということを、わかっていない・知らない人にまで届いている・広がっている証なのかもしれない。
そんなことを思いつつも、今回のイベントは珍しく、オープン24時・スタートも24時と、開場と開演が同時という、ロックバンドのライブではあまりない形であり、開演直後から、DJがターンテーブルを回し、観客を招き入れるサウンドを20分ほど鳴らした後、オープニングアクトのBearwearが始まる。
今回は、KouとKazumaに加え、もう一人サポートメンバーを迎えた3人編成であり、かつ、ドラムもいないため、全てが打ち込みで行われ、Afraid to Knowから始まると、そのメロウなサウンドに、自然と体が動く人が多く、横乗りの楽しみをする人があちらこちらで目立つ。
更に立て続けに、この場所の歌と、Shibuyaをプレイする。
今日はヤバい一日になるから最後まで楽しんで!と、MC自体は饒舌というより、まるで海外のバンドのように簡単に一言二言程度ではあったが、それよりも曲の方に力を入れ、サウンドとは対照的に、ライブパフォーマンスは熱く、同期という形で、バーチャルシンガーの長瀬有花とのコラボ曲であるBasiliskでは、一小節一小節を熱く歌い上げ、今年が年内最後のライブということもあってか、オープニングアクトとはいえ、ここにかけるものをヒシヒシと感じてくる。
そんな熱いライブのラストには、再びメロウなサウンドに、音源には無い打ち込みが新たに加わり、この深夜の時間に聞くにはもってこいではある、この後も最後まで楽しんだ方々が、朝まで楽しんで、そのまま朝から眠る方々に良い眠りを、と願うかのように、Junk Sleeperでライブを終えた。
続いて登場したのは、ここ数年でシーンに頭角を現し、海外でも多数公演を行うなどしている、VMO a.k.a Violent Magic Orchestraだ。
メンバー全員が登場した後、ボーカルであるザスターが最後に登場すると、まずはマイクではなく、ライトを持つと、まるで何かの儀式が如くそれを持って踊り出す。
それに合わせるように、メンバーも爆音を通り越し、轟音を鳴らし出し、それを更に高みにもっていくかのように、ザスターはライトからマイクに持ち替え、デスボイス・シャウトを繰り出す。
更にその後ろには、この日唯一、映像が使われており、バイオレンスな映像からカオスな映像まで、その世界観を広げるように映像を使っていた。
だが、この日のduoにはちゃんとしたスクリーンというのは小さいもの一つだけしかなかったのだが、ステージの後ろの白い壁も、半ば無理矢理スクリーンとして使い、AR的に映像を流していたのだが、そこまでしてやる、ということに拘ったのは、おそらくこの日出ている中でも特に特異なサウンドを鳴らすバンドであるということや、我々はこういうバンドだという意志。あるいは、この時間だろうとどんな客層であろうと、自分達のやることは変わらないという、強い覚悟もあったのかもしれない。
途中では、メンバーの一人であるメイヘムは機材も何も持たずにフロアへと降り立ち、そのまま観客と共にモッシュを行うという、このようなテクノサウンドを鳴らすアーティストでは珍しく、やっていることはハードコアシーンに類する動きをするが、モッシュをしながらストロボが点滅する、というのは、中々にクレイジーというか、慣れていなければこういった遊びが慣れている人でもケガをする可能性があるため、その点はお気をつけいただきたい。
そうしてライブは更に進行していき、MARTELLO MOSH PITやWelcome to DEATH RAVEといった定番曲から、かなりダンサブルな楽曲もあったが、おそらくあれは新曲かもしれない。
終始轟音だけでなく、このように踊らせるような楽曲まで新たに生み出しているため、来年、VMOはより世界へ打って出ていくのかもしれないと、35分程度のライブを見ながら思っていると、全ての演奏が終わった後、VMOのロゴが映し出され、それが徐々に溶けていく映像が最後に流れた後、拍手と歓声が沸き起こった。
だが、ここで今後ライブに参加される方にお気をつけいただきたいこととして、正直に話すが、筆者は途中から、VMOのライブのセッティングの一部である、ストロボが最初から最後まで強烈に点滅していたことが原因で、気持ちが悪くなってしまった。
この症状についてわかりやすく言えば、ポケモンショックだ。
幸い、倒れる等はなかったが、とはいえ途中から、車酔いに類する気持ち悪さを覚え、慌てて最後方まで行き、なんとか全てのライブを見たものの、終わってからもしばらく、気持ち悪さとの闘いになってしまったため、もし今後、VMOを何かしらで初めて見る人の中に、三半規管があまり強くない人がいる場合は、気を付けていただきたいと同時に、こればかりは誰もがなる可能性があるため、くれぐれもお気をつけいただきたい。
セッティングから入念に行い、そのままメンバー全員でサウンドチェックを行った後、このままやりますと宣言し、THE NOVEMBERSですと宣言してから、今夜生まれ変わると歌詞にもあるBOYで、先程とはまた違う空気感を作り上げていくTHE NOVEMBERS。
1000年までを演奏し終えると、小林裕介はギターを置き、ここからは最後までハンドマイクで歌い上げていき、オリエンタルな雰囲気漂う楽園でまた空気を変えたと思っていると、次に披露したのは、まさかの映画【AKIRA】のテーマのカバーだ。
曲中にあるラッセーラ、の部分では、小林裕介はとにかくアグレッシブに叫びを上げていき、NEO TOKYOが舞台となった映画だからこそ、ここはまさに東京でも新しい場所、と表明するが如く、今回セットリストに加えたのかもしれない。
そのまま一度もMCを挟むことはなく、メンバー全員、各々の持ち場で、各々のやることをただひたすらにやる。見ている側からすると、本当に職人気質というか、これぞプロの集まった集団、という、崇高な印象を受け、勢いや衝動、あるいは爆音等で全てを突き進んでいくバンドともまた違う、バンドの一つの完成形と言わんばかりのライブを見せていき、あっという間にラストのBAD DREAMが終わると、ありがとうございました、THE NOVEMBERSでした。この後も楽しんでと、丁寧に小林は感謝を述べ、ステージを去っていった。
そしていよいよ、今回のイベントの主催であるAge Factoryの登場だ。
リハーサルからメンバーが全員登場し、1曲リハしますと宣言をしてから、ライブの定番曲であるTONBOをここで披露するという意外な選曲に、リハーサルにも関わらず、ダイブも出るなどし、フロアの熱も一気に上がる。
テクノチックなSEと共に本編が始まると、西口直人の重厚なベースから始まりつつ、声に加工が施されるマイクで清水英介が歌うParty night in summer dreamで、タイトルとは違い季節は冬ではあるが、この時間にこそ鳴らされるべき曲でグッとフロアの熱を上げていき、このまま静かに上げていくのかと思いきや、WORLD IS MINEで一気に急加速をしていく。
まだついてこれる?と、フロアにもっとついてこい、と言わんばかりに声を掛け、イントロが始まると、これまで以上の歓声が沸く。CLOSE EYEだ。
一番が終わると、全員がこれを待っていたと言わんばかりに、CLOSE EYE(Speed Up Ver)となるが、それと同時に、袖から一人の厚着をした男が飛び出してきた。それはまさかの、Age Factoryの盟友であるJUBEEであり、飛び入りで乱入してきたと思いきや、即興でラップをかまし、スピードアップをしたCLOSE EYEをより盛り上げると、この日一番と言っていいほどの、モッシュダイブが大量発生する。
そのままあっという間にJUBEEはステージから捌けたのだが、その熱量を消さないようにShadowをコールすれば、一気にこの日一とも言える盛り上がりが生まれる。
俺らの友達とか好きなバンドとかみんなが集まってくれてめっちゃ嬉しいと、気取らずに友達に話しかけるようなテンション感で清水英介は、この日唯一、出演者の中でちゃんとしたMCをするが、言葉自体はそこまで多くなく、向日葵から再びライブを再開すると、忘れたくないからと呟き、イベントで演奏されるのは珍しい、ミドルテンポなバラードのようにも聞こえる、She is goneをプレイする。
来年も続けていきたいから、これが始まりになると思うと、また来年以降も、Supplierとのコラボアイテムを出すのか、あるいは違うブランドとのコラボアイテムを出すのか、はたまたオールナイトイベントをやるのかはわからないが、またこのようなイベントの開催を期待させる発言から、Blood in blue・HIGH WAY BEACHと続けると、来年、もっと楽しいことや、みんなを連れてきたいから期待しててくださいと、2025年のAge Factoryの動きを期待するような告知をしてから、俺らの時代!と叫び、年号である1994で、この日出たVMO・THE NOVEMBERSと同じ、35分程度の持ち時間を走り抜けた。
そして最後には、この日唯一のDJアクトである、E.O.Uが、まるで余韻を楽しみつつ、この日の出演者たちがお酒を飲んで話す時間を作ろう、とでも言わんばかりに、チルアウトなミュージックをノンストップでプレイし、本来の終演予定時刻である5時から大幅に巻き、4時過ぎに終演という運びになった。
実は筆者は去年も、同じ時期にまさにこのduoで、SPARK!!SOUND!!SHOW!!が主催するオールナイトイベントに参加をしていた。
その時は珍しいものだと思っていたが、今年はAge Factoryがオールナイトイベントを開催したため、まさにこの、2010年代後半から、急速に知名度を上げてきたバンドが、オールナイトイベントという、これまであまりバンドがやってこなかった時間にイベントを行うという、新しいムーブメントを作る。それが2年連続で続いたため、新しいカルチャーや遊び場を作る、まさにその最初期の瞬間に自分は今立ち会っているのだと、この日のイベントに参加をし、改めてそう感じた。
また、特にこの日はそうだったが、こうして、普段着の人が多いライブというのも、ロックバンドのライブからすると珍しいのだが、ある意味、ライブによく参加をしている人間ほど、普段着なんてもってのほか、というより、ライブにこそ、勝負服という感覚で、バンドTシャツを着て参加をする人が多いものだと思っている。
だが、それはあくまで、誰かが決めたルールではなく、ライブによく参加する人が、周りがそうだからということで、いつの間にかそう思ってしまっているだけなのかもしれず、本来は服なんてなんでもよく、私服でも楽しんでりゃそれでいい。別にケガさせなければ前でも後ろでもどこで見たって、本来構わないものなのではないだろうかと、改めて振り返らされた。
MCでも言っていたが、来年更に何か計画をしているAge Factoryが楽しみであり、その動きもそうだが、これから先、どんなファンがAge Factoryについて、そして、その周りにはどんなカルチャーやブランドが集まるのだろうかと、その周りのシーンの動きを含め、来年以降も注目をせざるを得ない。そう感じさせられた一夜ではあった。
が、唯一苦言を呈するならば、せめて電車が動き始める時間あたりに終わらせた方が、参加者もすぐに帰れるのに、とは思った。まさか終演予定時間から一時間も巻くとは、誰も思っていなかっただろう。
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