M.O.E. 1stLive『up』ライブレポート

2021年2月27日

声優の羽多野渉さんと寺島拓篤さんが毎週金曜23時30分からニコニコ動画にて配信されている番組
『羽多野・寺島 Radio 2D LOVE』

 

その番組内で生まれたユニットであるのが、『M.O.E.(MUSIC OTAKU ENTERTAINMENT)』である。

 

2010年の活動スタートから毎年1枚、アニソンのカバー曲のみで構成されたミニアルバムを発表しており、本来ならば去年、10周年イヤーということで、7月にZepp Yokohamaにてワンマンライブが行われる予定だった。

 

しかし、昨今の状況により開催延期となっており、オンライン。画面越し・2Dにてライブが行われることとなった。

 

かつ、これはライブを見ながらまさか・・・と思っていたのだが、今回のバンドメンバーのバンドマスター(リーダー)でもあり、10年間全ての楽曲のアレンジを担当しているギタリストの西岡和哉さんがTwitterにてつぶやいており、このライブは、その開催延期となったZepp Yokohamaから配信がされているという、事実上のリベンジ公演となった。

 

ライブではなくとも、2次元が好きということを謳ってきた彼らにとって最も馴染みがあり、かつこのラジオのライブであれば、絶好の環境とも言えるこのオンラインで、10年分の愛と感謝を叫び、この先へと繋がっていくピースフルな1夜をレポートしていく。

 

どの曲からスタートするのかワクワクしていると、開演時間になり、9枚目のアルバム『あの頃の想いがはじけるCD』の1曲目であり、ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校のOPであるBURNOUT SYNDROMESの楽曲『ヒカリアレ』のカバーからライブがスタートする。

 

M.O.E.もバックバンドのメンバー全員が、今回のために作られたライブTシャツを着用しており、かつ羽多野さんは赤・寺島さんは青という、お互いのユニットカラーを反映したペイズリー柄の生地を右腰の部分に刺繍された特製のTシャツとなっており、M.O.E.のライブの定番衣装であるTシャツにジーンズというラフな衣装というのは、昔からのファンにとっては感慨深い物もあったはず。

 

そこから更に仮面ライダー剣のOP『ELEMENTS』・爆れつハンターのOPであり、UPという単語が曲中に何度も出てくる『What’s Up Guys?』・機動戦士ガンダム 第08MS小隊のOP『嵐の中で輝いて』と、スタートからエンジン全開の4曲を立て続けに披露していく。

 

ここでようやくMCとなり、着ている衣装に触れつつ、ライブ配信をしているプラットフォームのイープラスのチャットのコメントを見つつ、今回のライブのために募集したメールを読むコーナーとなる。

 

M.O.E.との出会いや思い出というテーマで募集したメールでは、数年前にやった舞浜アンフィシアターでのイベントにおいて、センターから全く関係ない某アーケードゲームの筐体がせり上がってきた話やボールを客席に投げた話。

当初は配信元であるマリン・エンタテインメントで後輩番組だったのが、いつの間にか最年長番組となっており、このラジオがきっかけで出会えた作品もあるという話に、ここに参加している誰もがそれぞれに、M.O.E.・2D LOVEと共に過ごしてきた時間があるんだと感じ、お二方程ではないが見ているこちらもしみじみとした気持ちとなる。

(ちなみにマリン・エンタテインメントで2D LOVEの次に長い番組は井口裕香のむ〜〜〜ん ⊂( ^ω^)⊃である。)

 

そんなMCというより、生ラジオコーナーとも言える時間から、アダルトな雰囲気を漂わせる幽遊白書のED『アンバランスなKissをして』・柔らかい雰囲気ではあるもののどこか物悲しさもあるシゴフミのED『Chain』と、先程の熱量とは打って変わり、彼らのカバー力の広さを見せるような一面となった。

 

そしてここで一旦2人が袖にはけ、着替えの時間となり、バックバンドの演奏が始まる。

と、ここでまさかのサプライズが!

 

ただの即興セッションかと思っていたら、なんとトライガンのOP『H.T. in “Badlands Rumble"』であり、M.O.E.の2人がいないのに、新しいカバー曲がプレイされるという、アニソンカバーユニットだからこそ許される、お2方がいないからこそ出来るインスト曲のカバーというサプライズに、世代の方々はド肝を抜かれた!

 

そしてここで遂に、10枚目のミニアルバム『MUSIC OTAKU ENTERTAINMENT CD』に収録されたオリジナル楽曲であり、架空の妄想アニメのOPとして作られた『Undefined Passion』がプレイされる。

 

黒のロングカーディガンに着替えた羽多野さんと、白のフライトジャケットの寺島さんという、白と黒という対照的な衣装が映え、この激しい楽曲の世界観を表しているかのようだった。

 

そしてMCでは、白と黒の衣装に触れつつ、先程のUndefined Passionに触れ、この作詞をアニソン界の神と2人も公言する、畑亜貴さんに作詞をしてもらったことに触れる。

さらに、このUndefined Passionの作曲も行った西岡和哉さんが語っていたこととして、元々オリジナル楽曲はやりたいと思っていたのだが、最初はもっとカワイイ音楽・ピコピコした音楽だと思っていたのでこういう風に来るのは少し予想外だったと語りつつも、その表情からは嬉しさが隠せなさそうだった。

 

そしてM.O.E.というユニット名についても触れ、当時界隈で当たり前の言葉であった『萌え』という単語からMOE、でM.O.E.=MUSIC OTAKU ENTERTAINMENT。
オタクが音楽でエンタメするという意味でユニット名をつけたと語る。

しかし昨今、エモい。という言葉が流行っており、そのエモいがMOEという言葉にも掛かっており、そういう意味合いを持ってきたとも語り、時の流れを感じさせることに2人が感慨深けになっていた。

 

また、先ほどのUndefined Passionの直訳である、形のない情熱というのを曲にも込めたのだが、実はこのラジオの構成作家であるいたみゆさんという方が、この曲の頭文字であるUとPを取って、今回のライブタイトルである『up』にした。というライブタイトルが決まった経緯も語られた。

 

そして10年の歩みを軽く振り返りつつも、最新の10枚目のアルバムについて触れ、元々アニメソングに憧れがあって、声優と言えば・・・というところがあり、いつかタイアップがあって、それでお互いの曲をカバー出来たらM.O.E.として幸せだよね。と昔から話していたそうで、それがこうして実現したという喜びを嬉しそうに、それでいてしみじみと語る2人が印象的であった。

 

そしてここでアルバムに収録されている2人のソロバージョンのコーナーに突入し、羽多野さんが歌う寺島さんのタイアップ曲である転生したらスライムだった件の1期OPである『Nameless Story』から始まる。

実際に転生したらスライムだった件でこの曲が歌われていたら、というのをテーマに、ピアノのみのシンプルな構成のサウンドに加え、パーカーのフードを被りながら歌う羽多野さんが、個人的には修道服を連想し、修道院で歌われているかのような風景に思えた。

そこから2人が出演していたアニメであるSERVAMP-サーヴァンプ-のEDである『sunlight avenue』に繋げる。

サーヴァンプの世界そのままに、優しいボサノバテイストのサウンドは、羽多野さんも言っていたがお散歩をしているかのような気持ちにもなる、爽やかなアレンジとなった。

 

羽多野さんが袖にはけ、画面が切り替わると、客席フロア中央に設置されたエリアで、アニメDance With DevilsのOPであり、羽多野さんの曲である覚醒のAirを歌う寺島さんのパフォーマンスが始まる。

ハードコアテクノになった曲調に加え、ラストのサビ前のリップ音まで含め、歌詞にあるアドレナリンが出っぱなしそのままの状態となった。

そこからひとりじめマイヒーローのOPであるハートシグナルでは、HEY!という部分では画面に文字が飛び出し、ポップでありつつも、爽やかなロックサウンドでまたテンションがグングンと上がっていく。

 

そこから再度羽多野さんを呼び込んだMCでは、先ほどカバーしたお互いの楽曲について触れ、また互いに新鮮な光景と新しい楽曲の一面を語っていた。

 

そしてここで再び今回募集したメールを読むコーナーとなり、今後M.O.E.・2D LOVEにやってほしいこととして、今回設定した架空の妄想アニメを実際に形にしてほしいといったことや、今度はぜひとも魔法少女アニメ縛りのミニアルバムを作ってほしい!という声を実際に読んでいた。

特に、魔法少女アニメ縛りの話になった際に、M.O.E.のアルバムに毎回入っている前口上というのは、おジャ魔女どれみのキャラクターソングアルバムに前口上が入っており、これをやろう!という流れになったため、実は魔法少女作品というのは、M.O.E.においてとても大事なファクターとなっているという驚きのきっかけが語られる。

 

そしてここで先ほどのH.T. in “Badlands Rumble"についても触れつつ、ここでバックバンドのメンバーを紹介する。

また、バンドマスターである西岡和哉さんがこの10年について語り、この作品のカバー曲のアレンジをするにあたって、大音量で聞くと部屋の前でよく学生が通っており、なおかつ大音量で流すことや、仮歌を録る際に大声で歌うことで、外から拍手が起こるなど、10年の思い出を笑いながら話しており、M.O.E.の2人だけでなく、和哉さんもまたこの10年においてなくてはならない存在。3人目のM.O.E.であるなとも思わされた。

 

いよいよここから後半戦に入り、ハチミツとクローバーのOPであるドラマチック、ガンダムビルドファイターズのOPであるニブンノイチと、体力を残すな!と言わんばかりの2曲を披露する。

特にニブンノイチでは、お互いを見つめあいながら歌うシーンや、互いを指差すなど、原作さながらの男同士の熱い友情を感じるシーンに思わずグッと来てしまった。

 

ここで映像とお2人によるナレーションが入り、ミラーボールが回りだし、MUSIC OTAKU ENTERTAINMENT CDの最後を飾り、架空の妄想アニメのEDというテーマで作られたもう一つのオリジナル楽曲であり、2人もアルバム内でカバーしたこともあるアニソン歌手であるKOTOKOさんが作詞をした『流星のパルティトゥーラ』で、通常のライブであれば本編がこれで終了かと思えるラストであった。

 

するとここから、過去にM.O.E.が出演してきたライブ映像のダイジェスト流れ出し、ダイジェスト映像が終わるとライブ一週間前に撮影されたリハーサル映像が流れだす。

 

そして、今日ここに、この一瞬に、10年分の想いよ、届け―――というメッセージから、カウントダウンが始まり、Are you ready?というメッセージの後、特別な衣装に着替えた2人による、アニメアイドルマスターのOPである『READY!!』を、M.O.E.オリジナルの振り付けと、原曲である765PROのメンバーのリスペクトが表された振り付けという、この2人でしか見ることが出来ないREADY!!が披露されると、アンコールとはいえテンションが最高潮となる。

 

READY!!が終わると特製の衣装に触れ、普通は衣装からTシャツになっていくのに、完全に着替える順番が真逆だよねと笑いながら衣装に触れる。

そしてこのREADY!!、ひいてはアイドルマスターというアニメでも重要な役割を担っていた天ヶ瀬冬馬役でもある寺島さんはこの曲には感慨深い想いがあるのではと羽多野さんが振ると、勝ってやるくらいの気持ちでと、天ヶ瀬冬馬の声を代弁していたところに、エモい(M.O.E.)気持ちになった方も多いはず。

しかしこの曲は一個人の意見では楽しい!と語り、いつか何かしらの形で、この曲を本人たちと歌う日が来ることを願うばかりである。

 

その後はグッズ紹介を挟んだ後、最後の曲の前に一人ずつということで、2人が感謝を伝える。

 

羽多野さんはこの10年間、M.O.E.も2D LOVEも変わらないものは演者もスタッフも全員が好きなものを口にしあい、その結果プレゼン能力が上がったという嬉しい結果を語り、好きなものを口にすることの大切さをこの番組から学んだと感じ、ここが通過点となり次に向かうための新たなスタートだと語った。

寺島さんは10年前に生まれたものはあっという間に感じるが実はすごく長く、10年間ずっと支えてくれた人や新しく参加をしてくれた人に感謝を述べ、その方々が面白いと思ってくれることや、見たい・聞きたいを言ってくれることでここまで進めてきたと語り、同時に相方である羽多野さんに、この人が相方だったからこそ10年続けてこれたと羽多野さんにも感謝を伝える。

また、今日こうして楽しい気持ちをいっぱいに受けたからこそ、また楽しいをお返ししたいと語り、ここからまた頑張っていきますと、改めて決意表明をする。

 

そしてラストに、2人も大好きな作品であり、アニソン史に残る名曲でもあるアニメラブライブ!を代表する一曲である『Snow halation』を、先ほど同様にM.O.E.オリジナルの振り付けと、原曲でを歌うμ’sのメンバーのリスペクトが表された振り付けをしながら歌うこの曲は、これまで支えてきたファンへの感謝を伝えるような印象を受けつつ、同時にこの先のM.O.E.・2D LOVEの新たなスタートにも感じられる万感の最後となった。

 

そして最後には2人からのメッセージが画面に出されたのだが、これはぜひとも、ライブを見て確かめていただければと思う。

 

 

今回、ついにこうして延期となっていたライブが開催され、かつオンラインライブということによって、会場に来たくても来られない人でも見ることが出来る環境になったのは、コロナ渦になった中でも唯一よかったことだと言えるはずであろう。

しかし、当然ながら生で見たい!という気持ちはもちろん、M.O.E.の活動を知っている人だからこそ、あの曲聞きたかった!となっている方も多いことであろう。
何を隠そう、筆者もその一人だ。

あれもあれもあれも聞けてない!となっているため、もしコロナが明けた際には、ぜひとも2ndライブを、パンパンのZeppでやっていただきたいと考えるし、その日が来るのが今から楽しみである。

 

また、これはTwitterにもつぶやいたのだが、こうして10年アニメにまつわるユニットが続いているというのは、とても稀有なことである。

しかも、アニソンカバーユニットであり、それがラジオから生まれたユニットとなると、その枠組みを越えて本当に珍しいことであるはずだ。

 

さらに言えば、アニソンカバーとはいえ、毎年1枚必ずミニアルバムを発表し、10枚のアルバムを出しているユニットとなれば、業界全体としてもあまり類を見ないはずであろう。

 

それもこれも、ここに関わっている全員が好きなものをしっかり口に出して好きということを言い続けた結果であり、これから先もこれまで通り変わらず2次元作品への愛を声高らか言い続けていって、15年20年と続いていってくれるなら、一ファンとしてどんどんやっていってくれ!と願うばかりである。

 

また、ライブでも言っていたが、○○縛り!というテーマでやってきたが、当然ながらあまりにも広大な二次元作品のジャンルの中から今回は厳選してこれ!と決めてはいるが、まだまだ彼らがカバーしきれていない範囲もたくさんある。

そのため、ある種集大成ともいえる10枚目の後の11枚目に、どんな縛りで新しいM.O.E.を聞かせてくれるのか。

その日を今からとても楽しみにしています!