戸越の日2025 Bring The Hope ライブレポート
5月4日、ゴールデンウィークのうちの1日であるこの日、関東では毎年、大きなフェスが開催されている。
千葉県では【JAPAN JAM】が、埼玉県では【VIVA LA ROCK】があるため、そちらに行かれる方も多いことだろう。
というかこの日、筆者も新幹線の進行通路上、VIVA LA ROCKが行われる会場であるさいたまスーパーアリーナの横を通るため、開演直前のその様子がまさに見えたのだが、あまりの人だかりに驚いたと同時に、まずもってこっちに行くのが普通だと、車内で改めて思わされた。
しかし、そんな中、主催者曰く、それらを選ばずにここに来るのは、頭のおかしいやつ、と言ったフェス、と呼んでいいのかどうかもわからない、とある音楽イベントがある。
それが、【戸越の日 Bring The Hope】、である。
このイベントは、RIZE/The BONEZのフロントマンとして有名なJESSE(以下、人物名については全て敬称略とさせていただきます。)が主催者であり、毎年5月4日に開催がされているイベントだ。
これはこの日のライブでJESSEが語っていたことになるが、元々このイベントが立ち上がった経緯として、2010年に起きたハイチでの大地震の際に、募金をするという手もあり、そこにお金を突っ込むのでももちろんいいが、俺として何が出来るのか、を考えた際に、2010年5月4日の、10と5と4の語呂合わせで、戸越の日とし、地元である品川区戸越にある、戸越公園でフリーライブをすることに決め、コロナ禍でオンライン配信だった2020年も含め、実に16年、この日にずっと開催がされている。
そして、16年変わらず、ずっと無料で開催がされている。
ただ、この戸越の日だが、はっきりと今日やる、という告知も一切なく、加えて、何時からやるのか・誰が出るのかというのも、参加者は全く知らない。
強いて言えば、主催者だからJESSEだけは出る、はず、というのがなんとなくわかっているくらいだ。
唯一、初年度の2010年だけは告知をしたそうだが、それ以降の15年、このシステムは全く変わっていない。
加えて、この日も実際そういったことがあったのだが、出演する側も、今日はただ遊びに来て歌う予定なんてなかったという方も多かっただけでなく、見る側だけでなく出る側、もっと言えば、演奏している中で、てかお前誰だよ!?となる、全く見ず知らずだった人。語弊を恐れずに言えば、アマチュアのミュージシャンが飛び込みで一緒に楽器を奏で、共に音を鳴らすという、フェスはもちろん、ライブハウスでもまずもって見られない・ありえない光景が次々と飛び込んできた。
だが、だからと言って出演者も観客も、誰もそれを咎めることはなく、今日この日に音を鳴らしている一ミュージシャンとして、全員を温かく迎え入れ、多くの人が最初から最後まで、そのステージをずっと見続けていた。
戸越の日、というイベント名ではあるが、これは同時に、Bring The HopeというJESSEがやっているプロジェクトであり、希望を届けるという意味が込められている。
何が起こるか行ってみないとわからない。それは、見る側だけでなく、出る側だってそう。そんな奇妙だけれど、愛しかない。人と人の繋がりや熱い想いがひたすらに渦巻いていたこの日をレポートしていく。
筆者が戸越公園に到着したのは10時50分頃であったが、ただ、そもそもこれが早いのかどうかもわかっていないが、もうその時間にはなんとなしに人が戸越公園に集まり始めており、石畳で出来た階段を上がった小上がりの様な場所に、ステージが組まれていた。
そこで最低限のアンプとドラムセットを組んでいたものの、それだけでは誰が出るのか・誰のドラムセットなのかはわからない。
のだが、これはもう先んじてのネタバレになるが、このドラムセットは、この日に出る人達共通のものであり、これで叩きたいやつは叩けというスタイルであるため、この日のためにどこかから持ってきたのだと思うと、頭が下がる思いでいっぱいだ。
そして12時を少し過ぎてから、主催者であるJESSEが登場し、本イベントを開催し始めた主旨を語り、今日は15時頃には演奏を終え、17時には完全撤収したいと、昼の時間帯ではあるが、約3時間ここでライブが出来ることを伝える。
加えて、今日この戸越の日は、戸越公園の敷地内でやっているため、前方や後方には、レジャーシートを広げている方も多く、半ばピクニック状態で見ている人もかなり見受けられ、どこかしらでご飯や飲み物、お酒を買っている方も多くいた。
そのため、ゴミがあったら自分以外のものも拾って、来た時よりも戸越公園を綺麗にしていってくださいと、今年から戸越の理事になったというJESSEだからこそ、戸越の理事が語る言葉に拍手が起こる。
そして一組目に呼び込んだのは、戸越銀座商店街にある【猿や】という居酒屋の店長を中心に結成した、この日が2回目だという、猿やバンドである。
本当にたまたま、この居酒屋で飲んでいてえっお前楽器やれんの!?となった人が集まり、今日このライブに臨んでいたが、メインは今日サポートに入ったギターと正式メンバーであるベースとドラム。そして猿やの店長は中央にいるが、したことと言えば、ビールを3本飲み干しただけだった。
・・・もうここまで書けばわかっていただけると思う。全然プロなんかではなく、アマチュアのバンドだ。
JESSEと普段から付き合いのある人は少しアドバンテージがあり、この場に出演者として立てるのかもしれないが、とはいえ、全然アマチュアのバンドであり、JESSEも期待しないでと始める前から釘を刺していたが、確かに期待はしないでよかったかもしれない。
だが、逆にこのくらいのゆるさ・敷居の高さがここにはないことが、この戸越の日の魅力であるのかもしれないと思い、この日初めて来る人もかなり多かったが、これだけでもどういうイベントなのかが、良くも悪くもわかったはず。多分。
後々、JESSEも歌うのだが、今回のイベントはMC・回しの立場も務めており、次々出演者を呼び込む立場としても動いており、そのJESSEに呼び込まれて続いて登場したのは、小学校の頃からの幼馴染であり、現在は別の高校に通っているが、今回どうしても出たいとJESSEに直談判し、出演することとなった、【ワカバヤシ】と【タケナカ】という2人の女子高生。そして、その2人の苗字から取り、この場で即興で決められた名前のユニット【タケバヤシ】。
この2人はそれぞれギターボーカルだが、リズム隊は、このタケナカという女子高生がやっているバンドのドラムとベースがサポートをしており、ドラムの子にいたっては、おそらく自前であるカホンを持ってきての演奏という、気合いの入りっぷりが伺える。
ワカバヤシは、今日絶対SNSには上げないでほしいと事前に口にしていたが、なんでもこの日は用事(学校のと言っていたので、おそらく、あれであり、そこから導き出されることと言えば・・・?)があったが、それでもこちらを選んだと言い、このイベントに対しての熱い想いを口にした後、カバーをやりますとタケナカは言い、そのタイトルを言った瞬間、会場がざわつくが、それもそのはず。
カバーに選んだのは、RIZEの何でもない日の祝い方だ。
更に途中、歌詞を変え、今日は戸越の日だからと歌詞を変えると、そのスタイルに会場も沸く。
その後にもう一曲、この2人で作ったオリジナル曲を披露し、タケバヤシでのライブはこれで終わるが、更に続けて、このタケナカが、現在通っている高校で組んでいるガールズバンド、【SHIVALA】が出演する。
大切な人を思いながら聞いてくださいと、このバンドで作ったオリジナル曲であるFamily・Strongと、2曲をプレイするが、正直、高校生の段階からこれならば、ぜひとも高校卒業以降も可能な限り続けてほしいと思う演奏であると同時に、キャラが全員立っており、特にこのバンドのドラムの子は、直前まであまりの緊張から戻してしまっていたそうなのだが、演奏中は全くそうとは見えず、かつ、この後、とある曲でまさかの活躍をすることになる。
ちなみに、このタケナカ、という女子高生だが、ここまで読んできて、もしかして・・・?と勘付いている人もいるかもしれない。
無論、人のプライベート。特に、女子高生のプライベートなんて詮索するつもりもないため、ここでは深く言わないが、ただ、この2組のライブを、JESSEは初めて見ると口にしていたのだが、このライブが終わった後、タケナカは、袖で見ていたJESSEとハグをかわしていた、ということだけお伝えをしておく。
この3組の演奏を見て、じゃあやるかと口にし、ついにJESSEがギターを持つ。
だが、今日この日、自身の所属しているバンドであるRIZEは、ドラムの金子ノブアキが多忙のため不在。並びに、The BONEZも、ベースのT$UYO$HIが今日は富山にあるONE FESで、Dragon Ashとしての出演があるため、両バンドが出れないことを語る。
ちなみにこの日の前日、The BONEZとしてもONE FESに出演をしていたのだが、この会場に行くための道中が帰りに大渋滞をしていた影響で、乗るはずだった新幹線に乗れず、今日は朝早くに起きて朝の新幹線に乗ってから会場に到着したという、過密スケジュールであることを冒頭で語っていた。
だからこそ、じゃあ何が出来るかな?と考えた際、見返したものが、それこそこれまでこの戸越の日に参加した人が撮影をし、アップをしてきたライブ映像だという。
そういった映像は、ブートレグ的なものであり、人によっては批判する対象になるのかもしれないが、このような形で、アーティスト自身に影響を与えることもあるのだと、この日この話を聞いて筆者は驚かされた。
そして、その映像を見て、あぁこいつと一緒にやりてぇなぁとなったのが、【ヒデ】という、元々客席で見ていた人であり、カホンを叩くプレイヤーなのだが、実は昨年出演をし、そこで悔しさを覚え、武者修行ではないが、修練のため、今年は来ないということを予め伝えていたのだという。
それを聞いて、去る者は追わず。けれど、帰ってきたら両手を広げて迎え入れるというスタンスをJESSEは取っているそうなのだが、今回だけは逆にJESSE側から連絡をし、一緒にやりたいんだと言ったところ、家族とその奥さんの母親を連れて今日来てくれたと喜び、JESSEとヒデ、並びにもう一人、エレキギターを弾く一人の男性と共に、即興での演奏をしていく。
曇っていた空がだんだんと晴れてきたことに対し、それ俺のおかげだってこと忘れんなよと、太陽の人だからと自身を語るJESSEだが、実際自分もそうなる時を何度も見てきた。だからこそ言う。JESSEは本当に、太陽の人だ。
そんな中、急に後ろに来た男の人がJESSEに耳打ちをしており、スタッフの誰かが何かトラブルが起きたことを言いに来たのかと思っていると、こいつ1年半前にアーティストデビューして、今ギター弾きたいんだってよと、スタッフでもなんでもなく、ただ今日来た人でどうしてもギターを弾きたいという飛び込みでやってきたその人物の熱量に心打たれ、ギターを貸し、JESSEはフリースタイルを決めていき、時には煽っていく。
その後ろでは、その飛び入りした人物が号泣しながら、そのギターを弾いており、熱量と想いが合わされば、こんな奇跡のようなことが生まれるんだと誰しもが思わされたため、今楽器を演奏していて、心にアツイものを持っている人こそ、この5月4日だけは、楽器を背負って持ってきてもいいかもしれない。
無論、簡単に上がれるわけではないだろうが、それでもひょっとしたら、奇跡が起こるかもしれないはずだ。
だが、この時のライブを見ていたおそらく全員が、疑問に思っていたことがあった。
それは、JESSEとヒデ、の隣で、エレキギターを弾いているこの青年は、どなた?と。
実際、JESSEからもライブ中こう弾けなど指示されており、おそらくJESSEの知り合いではないということは誰の目からも明らかであり、誰なんだろう?となっていた。
だが、この演奏が終わった後、JESSEに耳打ちをした後、JESSEが今日バンドメンバーも呼んでるんでライブやっていいですか?と尋ね、OKを出したと耳打ちしたその内容を説明をする。
その後、そのギターの人がベース・ドラム担当のバンドメンバーを呼び込むと、3ピースバンド【プリズナーズ】のライブが始まる。
サウンドは非常にガレージであり、骨太なロックンロールに、どこかレッド・ホット・チリ・ペッパーズの要素も感じられるサウンドをしており、ここで飛び入りでバンドをやる度胸に感服していると、実はこのプリズナーズというバンド名は、今即興で決めたものだと語る。
そして、メンバー紹介をした後、最後にそのギターが自己紹介をしたのだが、そこでバンド名の由来がわかった。
なんと、JESSEが2019年に逮捕された同じ時期に、このギターの人も逮捕されており、囚人番号2〇〇番と、当時の囚人番号名を言う。洒落抜きの、元プリズナー。だからプリズナーズ。だとしたら他のバンドメンバーも・・・?そう思っていると、袖からJESSEが飛び出し、俺その時19〇番と、当時の囚人番号を言っていたが、今こうして社会復帰が出来ているからこそ、このような囚人番号も冗談めいて言えるのだろう。
そんなプリズナーズも、2曲でライブを終えたが、このようにバンド名を決めた経緯から考えると、おそらく前に出てきたバンド同様、まだそんなにライブもしていないのかもしれないが、もし来年も来るようであれば、その際はレベルアップした姿を、この日出ていたSHIVALA等と同様に、見せてほしい。
そのプリズナーズの演奏が終わった後、アコギを1本抱えて一人でステージに立ったのは、JESSEがこの戸越銀座でやっているお店【Jesse’s Shop & Factory】のスタッフの一人であり、北海道初のラウドロックバンド【HIKAGE】のボーカルであるGENだ。
今日ここに立つが、本当は一人ではなく、バンドとして出たかった悔しさを少し滲ませており、その悔しさからか、来年はHIKAGEでここに出ますと宣言し、【夜の底】という曲を、気持ちを込めて歌い上げた。
この曲だが、GENがライブ後にSNSに上げていたことにはなるが、この曲はソロとして作った楽曲であり、まだ一切リリースもしていないのだという。
ただ近日中、どこかしらでゆるっとリリース予定とのことなので、HIKAGEのファンは楽しみに待っておこう。
ちなみにJESSEからもう一曲やってけと言われたが本当にこれだけだったため、続きは来年、HIKAGEで、ということなのだろう。
ちょっと物足りなさそうなJESSEではあったが、切り替えると、俺はE.D.O.というユニットもやっており、そのE.D.O.がやっている蛍-HOTARU-というイベントがあるが、そこに誘おうとしたが、いや自分はまだということで断り、単身ニューヨークで修業をしたことで、もう毎日ビルボードでライブやった方がいいという紹介から登場したのは、【DAG FORCE】。
更にJESSEが、DAG FORCEのバンドメンバー知ってる?と観客席に質問すると、知っている人は、そのバンドメンバーを答える。それと共に、ベースにはKenKen、ギターにはRioが。そして、ドラムには、今日初めて一緒にやるとKenKenは後々口にしていたが、レイというドラムが入る。
当然、このような環境下なため、打ち込みでのサウンドを流すことは出来ないが、だからこそ、生のバンドサウンドで、DAG FORCEは畳みかけるようにラップをしていく。
先程触れた蛍-HOTARU-というイベントに誘われた2008年当時のことを口にし、その時に生まれ、最新アルバムにもリアレンジVerとして収録され、現代によりそのメッセージ性が伝わるReal Time・思うことはあれど口に出すことの方を大事にしていると、Policeを歌えば、JESSEも飛び出しコーラスをしていけば、ヒップホップ・ロックというジャンル等この場には全く関係なく、一つの巨大な盛り上がりとなっていく。
それが終わりKenKenがMCをし、やっと出れたよーと気さくにMCをする中、DAG FORCEはステージを後にしたが、ただ、ステージにはKenKenとRioが残っている。そしてJESSEもまだ、ステージに残っている。
ともすれば、この後に誰がやるのかなんて言う必要はないと同時に、ついに待っていたこの時がやって来た。
先程言っていた、RIZEは出れない、と言った言葉が、半分嘘になった。
金子ノブアキは不在であり、4人中3人だけという不完全な形かもしれないが、それでも、この戸越の日に、RIZEが降臨した。
Rioがギターをアコースティックギターに持ち替えて始めたのは、アコースティックサウンドアレンジがされたONE SHOTだ。
だが、歌詞を変え、血は繋がっていないが、JESSEの兄に向けて歌う。
その歌詞の内容からして、おそらく、もうこの世にはいない人だと思うが、それでも、未だに戸越で歌ってることを即興で歌詞にし、一発で届くよう、アコースティックでも、不完全な編成であっても全力で歌っていく。
この編成のままもう一曲やると宣言するが、次の曲に行く前に、この戸越の日を最初に開催した時、品川区に許可を貰いに行ったところ、このイベントは品川区にとって何のメリットがあるんですか?と言われたところ、初年度は何も言えなかったという。
だが、回を重ねるごとに人が集まりだしたことで、あることを提案出来たのだという。
それは、この戸越公園は、災害時の緊急避難場所になっており、もし災害が起きた際、ここに何百人何千人と集まったとしたらどうなるか・トイレの問題はどうなるか等のモデルケースになりますと、品川区に伝えられるようになり、今日は2000人ほど集まっているそうだが、今回もまた、モデルケースを品川区に見せられますと、胸を張ってJESSEは口にすると、自然と拍手が起こる。
このイベントは、お金ではない部分に非常に重きが置かれているのは参加した瞬間からわかってはいたものの、想像以上にこのイベントがただの音楽イベントとは違うと思い知らされる。
ただ、こうして音楽イベントの経験が、災害時のもしもの際に役に立つなんて、日本にそんなイベントあるだろうか?しかも、無料イベントで。
と、少し話が逸れたが、その話が終わり、次の曲をやるために誰かドラム出来ないかと袖に尋ねると、先程のSHIVALAのドラムが立候補をし、この3人と演奏していく。
誰もがよくRIZEとやれるなと思っていたが、事実、JESSEもお前よく立候補したなと、その度胸に驚いていた。
この日しかやらないであろう特別な編成のまま、平和を懐かしく思っている方に向けて呼びかけつつ、多くの人が指でピースマークを掲げたheiwaは、この日の綺麗な青空によく響いていた。
KenKenとRioが袖に下がった後、JESSEは特に城南(品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区)のヒップホップ界隈の先輩に色々なことを教わってきており、それを後輩にも繋いでいかなきゃいけないと語り、そしてまさに、その系譜を受け継ぐ後輩が来ていると呼び込んだのは、今やヒップホップ界隈だけでなく、ロック界隈でもその名を多くの人が知るようになったラッパー、【JUBEE】だ。
自分の活動や、元々Dragon AshのLife Goes Onでこのミクスチャー界隈に興味を持ち、バンドカルチャーも好きだからこそ、ライブハウスにヒップホップのお客さんを持っていこうとしていると、JUBEEは自らのことを丁寧に語る。
その言葉通り、この日はRANCIDのTシャツを着用しており、これだけでも、JUBEEがどれだけロックが好きかということが一目見ただけでも伝わってきた。
更にそれだけでなく、なんとThe BONEZのギターであるKOKIも登場し、この3人の共演は初だという貴重な光景の中、JESSEとKOKIがアコースティックギターを弾きながら歌うのは、JESSEをフィーチャリングゲストに迎えたJUBEEの楽曲、Visionだ。
無論、打ち込みサウンドなし・アコースティックギターのサウンドのみでのVisionというのは、言わずもがな初。加えて、The BONEZのJESSEとKOKIの演奏でという、文字だけでも伝わるとは思うが、そのあまりの貴重な光景にうっとりしつつ、JESSEは茶化しながらこいつ嫌いだと言うこの関係性も、他のバンドマンにはない関係性であると同時に、JESSE等、多くのバンドマンが作ってきたこのミクスチャーシーンの魂を受け継いで走っているその最先端に居るのは間違いなく、JUBEEであろう。
JUBEEが一度下がった後、2人だけになるが、この2人がいるのならば、この後やる曲は・・・!とワクワクさせられると、T$UYO$HIもZAXもいないが、弾き語りで、That Songを歌えば、ギターと言葉という、最低限だからこそ、楽曲の持つ強いパワーを改めて思い知らされる。
そうしてKOKIがステージを後にし、再びJESSEのみになるが、今日まさかここに出てくれるとは思わなかったと、話しながらも興奮を抑えきれないようであり、先輩を紹介させてください、【NITRO MICROPHONE UNDERGROUND】の【DABO】!と次に出演してくれる人物の名をコールすると、まさかの人物名に会場もどよめく。
今日本当にただ遊びに来たのに急遽出ることになって・・・と、数多くのステージをこなしてきたDABOであっても、まさかこんな風に出演して歌うことになるなんて思ってもみなかったようで、正直ステージに出ても半信半疑なようだったが、フリースタイルで言葉を紡いでいけば、声だけでその場を圧倒していく。
更にアコースティックギターを持ったJESSEともう1人、女性のドラマーの2人を呼び込み、歌い始めたのは、今ではJESSEの親友となった、Dragon AshのKjとDABOが共に作ったAZSだ。
JESSEも色々なところで語っているが、Kjとは元々犬猿の仲であり、そこから時間が経ち、今ではStraight UpやNevermindといった曲もリリースしているが、少なくとも、戸越の日が始まった時では考えられなかったはずだろう。というより、Kjがフィーチャリングした曲を、JESSEが歌うなんて、文字で書いても半ば信じられない。
更に途中、DABOが客席に向けてある人物に来るよう呼びかけると、同じく品川区のヒップホップミュージシャン、【G.K.MARYAN】が飛び入りするという、ヒップホップファン垂涎のコラボが繰り広げられる。
なお、演奏を終えた後、DABOから、実は俺とJESSEを繋げたのが、まさにG.K.MARYANであり、DABOにJESSEを紹介したことが全ての始まりだったそうだが、そう考えれば、この場所にG.K.MARYANが居るのならば、それは呼ばなければならなかったのだろう。
ちなみにこの女性のドラマーだが、この後出てくるもう一組とも一緒に少し演奏したのだが、JESSEも最後まで誰なのか知らなかったそう。
そこで最後に話を聞いたところ、先程まで出ていたSHIVALAのドラムの師匠だそうだ。
そんな大盛り上がりとなっている戸越の日だが、3時まであとわずかとなった。だが、JESSEのもう少しだけやらしてくださいと、マイクを通して周りの方々に謝罪したおかげで、あと少しだけやらせてもらえるになった。
そして、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのDABOから、こいつらを呼べるのはヤバいと口にし、自分が所属しているレーベルであるTENSAIBAKAのレーベルメイトであり、今年20周年だからということで誘ったと、最後に呼び込んだのは、なんとJESSEが名付け親であり、もはやJESSEが作ったと言っても過言ではないヒップホップユニット、【Def Tech】!
サポートのギタリストとカホン奏者を従えつつ、先程まで演奏していた女性ドラマーにもせっかくなら一緒にやろうよと声を掛ける。Def Techのフランクさと懐の深さに驚くが、とはいえそのドラマーも、傍から見てわかったが、気が気ではなかった様子であった。いやそりゃそうだよあのDef Techからやろうよなんて気軽に言われてビビらない人いないでしょ。
と、用意が出来たところで、この曲から俺らは始まったとMicroは語り、1行目をShenが、2行目をJESSEが、3行目を俺が・・・という形で歌詞を書いていったと、この後やる曲について語れば、もちろん披露されるのは、Def Techの始まりの曲であり、ヒップホップに詳しくない人であっても知っているであろう大名曲、My Wayだ。
イントロから歓声が上がり、今日一の盛り上がりを見せたと思っていると、KenKenが飛び入りでステージに上がりベースを持つと、かつてRIZEと共にレコーディングをしたKONOMAMAをプレイすると、途中でJESSEも飛び出し、上がれ上がれと煽ると、それまで前で座って見ていたファンも全員立ち上がり、盛り上がりの最高潮を見せる。
最後にJESSEが改めて感謝をし、今日この日、自分以上に大事なプロジェクトだというBring The Hopeについて語り、子供達に希望を与えたいと口にし、1回失敗しただけで終わりってそれで本当にいいのか?と、まさにJESSE自身が逮捕によって一度失敗したからこそ、ここまで頑張り、点を取り返してきた。
だからこそ、大人達、たっくさん失敗して、かっこよくなっていけと、失敗していくことをポジティブに捉える言葉に歓声が上がり、死にたいと思ってる人もいるかもしれないが、それでも今日この日、ここに来たということは、死にたくないという気持ちがあるからこそ来たんだろと口にし、俺でよかったら、生きたいという気持ちのお手伝いをさせてもらいますと、どのような形であっても変わらない、JESSEならではのポジティブなメッセージを伝える。
そして最後に、この戸越の日があったからこそ生まれた曲、この日最後の曲となったNEGAIBITOを弾き語りで歌っていく。
途中、ファンの子供がステージの前を走ろうとしたため、それはいけないと思い親が止めたのだが、それを見たJESSEは演奏を一度止め、なんで止めんだよ走らせたかったら走らせときゃいいじゃんと制する。というより、子供には好きにやらせる、子供第一主義のJESSEならではのメッセージを伝えつつ、最後まで歌いきり、晴れの日を無事締めくくった・・・と思いきや、最後に、戸越の〆だという、一本締めならぬ、五本締めで今日を締めたいと言う。
その五本締めというのは、JESSEから丁寧なレクチャーがあったのだが、一本締めのリズムで手を鳴らすのだが、それを手ではなく、指を一本で一本締めをし、それが終わったら次は指を二本で一本締め。次は三本、四本、そして最後に、指を五本。要は、普通の一本締めで終えるというものだ。
この五本締めで終えようと提案したのも、2000人近い大人数が集まっての五本締めはやったことないからこそ、見たことがない景色を見たいというJESSEたっての願いで、これを参加者全員で行うが、途中、酔っ払っている人が普通の一本締めでやったことを注意し、頼むよとお願いをし、改めてもう一度、五本締めを全員、今度は綺麗に揃ったところで、今年の戸越の日も、無事大成功に終わった。
自身もかねてから戸越の日は知ってはいたものの、なかなかタイミングが合わなかったが、今年ついに初めて参加したところ、本当にとても温かいイベントであり、16年もやれば何かが、どこかしらが変わってきてもおかしくない。それどころか、商業的になってもおかしくないのに、お金のにおいが全くない。これはおそらく、初年度から全く変わっていないのだと思っている。
また、今日出た出演者の多くも、基本的にはその場のノリと勢いなため、おそらくギャラなんてないだろう。にもかかわらず、出ちゃう。そして出たからには手は抜かないという、人と人の繋がりや心意気がこんなにも前面に出ているイベントを、僕は初めて見た。
加えて、ライブハウスやフェスでよくある、俺が一番いいライブをしてやる!という血気盛んな雰囲気もなく、ゆったりと全ての音楽を楽しんでいる。それも、プロでもアマチュアでも、上手くても下手でも楽しんでいるその姿は、まさに音を楽しむという姿を体現しているかのようでもあった。
更に特徴的だったのが、ステージの右手側には、間違いなく20人は居たであろう子供達が集まり、演奏の邪魔をすることはないが、ライブをじっと見ていた。これは、この日出演したどのアーティストであってもだ。
この光景は、フェスでもライブハウスでも決して見れない光景であり、子供がこんなに近くで音楽を楽しむ、というより、見ているという表現が近いとは思うが、子供がこんなに近くでライブを見れる場所というのもまずなく、ひょっとしたら、戸越の日にここで見てて、いつかここに立ちたいと思ってましたと言うアーティストが、将来出るかもしれない。
誇大表現かもしれないが、こんな間近で見たら、俺も私も楽器をやってみたいという子が出ても、何もおかしくはない。
それもこれも、JESSEの人柄や生き様が繋いできた結果であり、最後に自分自身に対して、逮捕されてからの5年ここまで良く頑張ったなJESSEと褒めていたが、まさにその通りであり、こんなJESSEだからこそ、我々ファンもついていきたくなり、ロック側・ヒップホップ側両方から応援されるのは受けるのはもちろんのこと、品川区や地元である戸越からも厚い信頼を受けるのだろう。
また、今日僕はこの戸越の日が終わってから別件があり、すぐに戸越公園を後にしたのだが、人によってはライブ終了後、今日ステージに立った出演者と一緒に写真を撮っていたようであり、JESSEだけでなく、KenKenやKOKIだけでなく、DABOとも記念撮影をした人もいたようであり、ヒップホップ側の人からすれば驚くはずだろう。
勿論、わかっていただけるとは思うが、来年も今年と同じ人が出るなんて100パーセントない。加えて、これが目当てというのも違うとは思うので、その点だけは勘違いをしないでいただきたい。
そして、これはまだ言わない方がいいと思うためまだ言わないでおくが、ざっくり言うと、この先あるタイミングで、この戸越の日を開催することをアナウンスすると、JESSEは口にしていた。
その時には、とてつもなく大きいものになるとのことなので、ファンは楽しみにしていただければと思う。
更にもう一つだけ、追加でお伝えをしておきたいことがある。
これは特に、このブログを読んだ人はもちろんのこと、この記事を読んだ人は、周りにいるJESSEのファンに伝えてほしいのだが、これから先、JESSEのSNSアカウントのDM機能を使って、JESSEに戸越の日やるんですか?ということを、これから先、聞かないでいただきたい。
それは、JESSEが忙しいからというのも理由の一つにはあるが、それ以上の理由がある。
この日、JESSEもまさにこのことについて話しており、それらに対するアンサーという意味合いとしても言ったと思われるが、これについては書いてもいいと判断したため、書こう思う。
やるやらないではなく、JESSEはこの日、いる。
やるやらないという問題ではなく、この5月4日、JESSEは戸越公園にいる。
だからこそ、この日JESSEがいる。ならば、ひょっとしたら面白いことが起きるかもしれない。そんな期待を持って、2026年5月4日は、ぜひ戸越公園に来ていただきたい。
JESSE曰く、迷子になっている方の道標、暗闇を照らすライトに、必ず戸越の日はなってくれる。はず、ではなく、間違いなく、なる。
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