The BONEZ 10th Anniversary Tour “47 AREAS” NAGANO CLUB JUNK BOX レポート

2023年6月22日

今年、5年ぶりとなるフルアルバム【Yours】をリリースし、結成から10周年で初となる、47都道府県ツアーを敢行しているロックバンド、The BONEZ。

今月から始まったツアーは、すでに東名阪の3会場が終了し、首都圏ということもあるだけでなく、いわゆるコロナ禍の前の遊び方が解禁されたということもあってか、各地大爆発と呼べる盛り上がりだったそうだ。

 

そんな中、この長野が、今ツアー初となる、地方でのライブとなった。

バンド側もどうなるか不安だったが、蓋を開けてみれば、行ってはいないのだが、おそらく首都圏にも引けを取らないほどの盛り上がりになった一夜をレポートしていく。

まず、今回のツアーは47都道府県で行われるが、会場によってはワンマンライブ。会場によってはゲストバンドも交えたツーマンライブにて行われるという、ワンマンと対バンツアーが入り混じるという、昨今あまり見ない形式のツアーとなっている。

また、その対バンも、基本的には各公演、1回のみ出演となっている。
普通、こういった対バン形式だと、ライブが行われる場所が隣県などの場合、何か所か一緒にツアーを回り、ライブを共に行うということがほとんどだが、今回のツアーではそれぞれゲストバンドはこの日限り、たった1回しか出演しないという、潔くも、同時に、その日1回限りのガチンコの音のぶつかり合いをすることになるため、どの日も見逃せないこと間違いなしだ。

 

今回の長野公演は、まさにゲストバンドも交えた対バンライブとなっており、この長野公演のゲストバンドに選ばれたのは、日本を代表するパンクレーベル、PiZZA OF DEATHがコロナ禍になってからファミリーに迎え入れたニューカマーであり、現在パンク・メロコアシーンにて急速な勢いで知名度を伸ばし続けている岐阜発の若手パンクバンド【KUZIRA】だ。

 

開演予定時刻を少し回った頃、SEと共に現れると、気合を入れるかのように始まることを叫ぶと、Snatch Awayからスタートする。

当初は様子見も多かったが、ライブハウスの遊び方をやろうぜと叫び、ショートでファストチューンのIn The Deepを投下すると、これぞパンクの、ライブハウスの遊び方といえばこういったものという光景と、もわっとした、湿気のある熱気が後方にまで充満していく。

 

ジェシーおいたんに捧げますと、カーリー・レイ・ジェプセンのカバー曲であるEverywhere You Lookをプレイしていくが、おそらく、だが、今日出演するThe BONEZのJESSEに捧げるというのは誰もがわかっていたが、このジェシーおいたんという呼び方は、この曲が使われていた海外ドラマの【フルハウス】に、ジェシーというキャラクターがおり、その愛称がまさにジェシーおいたんなため、ここともかけたのかぁ・・・と、一人ニヤリとさせられた。

 

MCではギターボーカルの末武 竜之介がThe BONEZと出会った経緯を語り、去年大阪で行われたRUSH BALLとイベントの際に、酒を飲みすぎてべろべろに酔っぱらった中で、両バンドそれぞれが知っているバンドである【SPARK!!SOUND!!SHOW!!】のタナカユーキがなぜかパンツ一丁にさせ、その状態でJESSEに挨拶へ向かった際に、お前面白えなと、否定する事もなく受け入れてくれた懐の深さを見せてくれ、それで今日呼ばれたと、怪我の功名ではないが、こうして本日初となる対バンの機会を設けてくれたことに喜びを隠せないようだった。

そうした人間力がThe BONEZは凄い、とメンバー一同MCで話しており、ベースの熊野 和也も、ここに到着していて搬入をしていたら、T$UYO$HIさんがコンビニに行くために外に出たのに、ファンに囲まれて結果1時間以上対応をしていた姿を見ており、自分ではそういうことを出来ない。特にこんな年齢もキャリアも上なのにそういったことを平然と行える、その人間力に凄く感動したと話していた。
音楽面だけでなく、人間面からも刺激を与えるその様に、対バンとはこういう部分でも対バンなのだ、ということを感じさせられた。

 

そんな中でこうして47都道府県ツアーを行っているが、自分達も去年から今年にかけて、50本に渡るツアーを行ってきており、似たようなことをつい最近まで行っていたからこそ、同じ現場至上主義のバンドとしてのプライドを見せることを宣言すると、そこには先輩後輩、キャリア関係なく、ただの1バンドとしてこれまで発表してきた楽曲を立て続けにぶつけていくと、段々とフロアの手が上がっていく数も増えていく。

 

活動歴の半分がコロナ禍だが、その中でも活動を止めず、ここまで走り続けてきたKUZIRA。その中でPiZZA OF DEATHのファミリーとなり、2枚のアルバムを発表するなど、傍から見れば順風満帆に見えていたが、しかしやはりパンクバンドとしては、制限がずっと課されてきたフロアにもやもやしていたところがあって、またこういったぐちゃぐちゃな、前の環境をイメージしながら作ったと演奏前に語ったBye For Nowでは、その思い描いていたような景色がフロアに広がっていることに喜びを感じていた。

そんな状況だからこそ、隣の人から優しくしていけば平和になっていくと、最新アルバムであるPacificの表題曲でもあるPacificをプレイすると、そのカラットしたサウンドに、どこか泣きのあるメロディーも感じられ、必然的に手が上がる数も増えていくと同時に、メンバーの笑顔も増えていく。

 

自分達は岐阜の中津川出身であり、そこで行われているフェスである【ThE SOLAR BUDOKAN】に行った際、その時出ていたRIZEのライブだけでなく、トークショーも見ていたと語り、その時のトークショーを見てJESSEかっけーなぁと話していた中で、数年後にこうしてバンドとして対バンをすることになり、その喜びを浮かべながら、またこれからも一緒にやっていくために後2曲と叫ぶと、Backward、PiZZA OF DEATHに移籍したタイミングで世の中に最初に発表した曲であり、その代表である横山健が歌っていた、ビートを繋いでいく、というメッセージが込められたLet The Beat Carry Onに対し、そのメッセージを受け取った若きバンドからのアンサーソングとも思しきSpinで、約40分の持ち時間を全力で駆け抜けていった。

 

ビートを繋いでいく、ではないが、こうしてかつて自分がライブに行っていたバンドと対バンをする。それは夢があることでもあるが、同時に、ビートを繋いでいく。そういったメッセージにも感じられ、今日この日初めて見る人も多かったはずだが、音楽で繋がったもの、そしてそれを受け取った側として伝えていく。
その熱は、確かにフロア中に伝わったはずだ。

 

そして少しの転換時間を設け、フロアに転換用の洋楽のパンクロックが流れ続ける中、袖からマイクを通さずとも声が聞こえてくる。それがThe BONEZのスタートのお決まりとなっている、点取られても取り返す!We Are The BONEZ!!だとすぐにフロアも気付くと、一気に歓声が上がり、SEも何も無くメンバーが登場する。

これが10周年のバンドか?と思うほど、あまりにもヌルッと登場したその姿に、ただでさえ等身大で、人間力全開のこのバンドが、より近い存在に思えてきた・・・なんて思っていたが、1曲目のLove Songが始まった瞬間、とてつもない勢いで会場が爆発する感覚がすると、一瞬で激しいフロアが展開される。
全員、これだ、これを待っていた!と言わんばかりに、物凄い勢いで突撃していき、時に激しく、時に体を動かし一曲一曲を楽しむBONERの顔は、一つもつまらそうな顔がない。

フロアから巻き起こる呼び声にドラムのZAXがまぁまぁやべぇやんけ!と叫ぶと、まだまだと言わんばかりのレスポンスが巻き起こる。

やはり先程まで熱演を繰り広げていたKUZIRAのライブに触発され、その5万倍、いやウン千何億・・・と、適当な数字を羅列しているJESSEだったが、先程のライブがThe BONEZに火をつけたのは誰が見たってわかっていた。

ライブの定番曲にすでになったWe are The BONEZ、LOUDER。Adam&Eveでは終盤ではフロアにJESSEが突撃していくも、その圧で思わず倒れ込んだファンに対して起こしてやれ!とすぐさま声をかけるその様は、誰一人置いていかない・そして怪我をさせない。ここに来たら誰もをWelcomeにさせようとする心意気がヒシヒシと感じられた。

 

KUZIRAとの出会いを語り、そのRUSH BALLでライブを見て興味を持ったことはもちろんだったが、体のメンテナンスのために帯同しているトレーナーが元々繋がっていたというきっかけもあり、今後より一緒にやっていくことを、袖で見ていたKUZIRAにも約束するが、先程のKUZIRAの出会いの話は実はもっと酷い裏話があり、ここではあえて割愛するが、それを隠そうとするKUZIRAの若さがまた可愛らしかった。

 

そして、こうしてある意味フロアの遊び方も自由になってきた中で、いわゆるコロナ禍になったからこそ来れたファンもおり、間隔が空いていた・ダイブやモッシュが出来なくなっていたからこそ、小学生が最前に来れた。そうした環境があった上で、こうした、コロナ前のライブハウスの遊び方が出来るようになった。
そんな中で、音源とライブは全然違うこと、そうしたライブでなんだよと思うこともあるかもしれないが、謝ることや、この環境も全て許して、受け入れてほしい。そうするのが俺の役目だと語るJESSEのその言葉に、おそらくあの日いた誰もが、どんな遊び方をしても許そう、そう思ったはずだ。

そこから、最新アルバムであるYours・あなたのものという意味が込められたアルバムの中でも特に誰かのために歌ったFor you、You and Iは、まさにこのフロアのための曲だったはずだ。

 

後方で見ている子供に向けて、こうして一曲でも人生が変わってしまうことだってある。そこから学校を離れて、メンバーを集めてバンドをやっていくという、バンドマンのストーリーを口にすると、こうした夢を語ると、まだそんなこと言ってんの?とバカにされるかもしれないけど、逆にそう言うやつにまだそんなこと言ってんの!?って言ってやれと、ここにいる全員の夢を、期待を背負わせてくれたDreamerは、この日一の空気が流れていた。

途中、テンションを自分でも抑えられないと口にしていたが、このフロアの熱と空気は、正直何度もライブに行っているが、この日は熱量や優しさ含め、一番いい環境だったのではないかと、筆者も感じていた。

 

代表曲であり、The BONEZのはじまりの歌でもあるThread & Needleでは、ようやく声を出せるからか、最後の方では大合唱が巻き起こる。時間は無限ではなく、有限だと語り、それでも動き出す大切さを語るIT’S TIME TO LET GOでは、我慢出来なくなったのか、後方から子供を肩車した親子がやって来て、それを見たJESSEもその子供にハイタッチをすると、フロアからは自然と拍手が起こる。

小学生達がその曲を聞いた瞬間、顔をほころばせたのを見て、毎日聞いていたということにJESSEも喜びを隠せなかったSUNTOWNから、ラストにウォールオブデスまで発生した、ここからまた、ではなく、新しいものを共に作っていこうというメッセージが込められたNew Originalが万感の思いで披露されると、本編が終了する。

 

鳴り止まないワンモアというフロアからの呼び声に再び登場すると、立ってるギリギリまでやると、力の限り演奏することを誓うと、フロアにもこれでエンジンかけとけ、という言葉から始まったのは、Dragon Ashのコンピレーションアルバムに収録され、今ツアーでも度々披露されている、Dragon Ashのカバーでもある天使ノロックだ。
ただでさえ待たされていたフロアのエンジンも、この曲に待ってました!となると、一瞬にして再び熱量がとてつもない勢いで爆発していく。

次の街行ってくるぜ!と、ここから改めて地方を点々とした、長いツアーに再び旅立っていくことを伝えると、ラストにはThe BONEZとBONERの絆を歌ったHey, Youを全力で演奏し、約90分に渡る長野場所が終了した。

しかし、We are The BONEZが流れ出すと、再びの大合唱が起き、JESSEも最後には自らマイクを握り締め歌い出し、これぞThe BONEZの物語、そして生き様だ!と見せつけるかのように、文字通りこの日しかない、ライブが終わった。

 

今回、大都市公演が終わってからの初となる地方公演だったが、感情もテンションも爆発しており、地方公演ならではの空気とライブになった。
加えて、KUZIRAという飛ぶ鳥を落とす勢いのメロコアバンドも招致したのだ。盛り上がらない・爆発しないわけがない。

これから来年の年明けまでツアーは続き、全50公演だけでなく、途中には東名阪のホールでのライブも開催され、文字通り誰一人置いていかない、コロナ禍の前の楽しみ方や、コロナがあったからこそライブに来れた人も置いていかないライブを続けていってくれるThe BONEZの10周年。
あなたの街に行かない、ということが無いため、行ける人は間違いなく行くべきだ。

今のThe BONEZは、それだけの力と、見るだけで感情の高まりと、ピュアな気持ちになれるはずだ。

 

そして、最後にこの写真を。

これは、物販のところに飾られていたのだが、現在行った県に色が塗られていっている。

この写真を撮った時はまだ4箇所だけだが、これが全て色が塗られる頃には、The BONEZはどうなっているのか。その時には、是非とも現場にいたいと思っている。