The BONEZ Tour 2022 Welcome to The Lab House Zepp DiverCity ライブレポート

2022年11月6日

今年、久しぶりの音源リリースとなり、かつ、3代目ギタリストのKOKI(以下メンバーの方は敬称略とさせていただきます。)を正式メンバーに迎えての初の音源となったLAB。

そのLABを引っ提げたツアーを春から行い、秋からはZeppツアーに切り替わり、いよいよ、長きに渡るツアーの最後の地、Zepp DiverCityを迎えた。

 

The BONEZとしては、Zepp DiverCityではなく、Zepp Tokyoの方が思い出があり、そちらはある意味聖地となっていた。

しかし、記憶にも新しいが、去年の大晦日を持ってZepp Tokyoは閉店となり、今やすでに跡も形もなく、全てが瓦礫となっていた。

個人的にも、実は今回ほぼ3年ぶりに東京へと足を運んだため、その様をようやく生で見たのだが、Zepp Tokyoも大観覧車もなく、ヴィーナスフォートも全て閉店というのには、ただただ寂しさしか感じられず、改めてこのコロナウイルスが蔓延してからの変化を否が応でも感じざるを得なかった。

 

そのため、その近くのZepp DiverCityを今回ツアーファイナルとしたと考えているのだが、記憶上、ここでThe BONEZがワンマンライブを行うのは初のはず。

にも関わらず、この半年以上に渡る長いツアーを経ただけあって、とてつもないエネルギーのボールが飛び交い、最後の感情の爆発っぷりは、もはやモッシュダイブしてるのかと思うレベルだった。

人の命変えに来たんだよ、という言葉をJESSEがライブ中叫んだように、全力で人の想いを変えに来た熱いツアーファイナルをレポートしていく。

 

珍しくThe BONEZのマネージャーが登壇し前説から始まるという、この手のライブでは珍しいパターンだった。

各種禁止事項はあるが、感情が溢れ出てしまうものはしょうがないと、守るところは守って、けど人間だから出ちゃうもんはしょうがない!とアナウンスし、人間だもの、ということで来ているBONER(The BONEZのファンのこと)を納得させる。

そして客電が落ち、SEと共にメンバーが登場し、ギターのKOKIがPlasmaのイントロをかき鳴らし始め、轟音の渦が一瞬で会場を包み込む。

さらにMy Band、ライブハウスの歌というPlace of Fireと続けると、JESSEはアグレッシブに動き回り、時に叫び、それと合わせるかのようにKOKIとベースのT$UYO$HIもまたステージの右から左、時には中央のお立ち台に立ち演奏していく。そしてそれを支える屋台骨のドラムのZAXの演奏も熱く、パワフルでそれでいてテクニカルであり、まだ3曲しかやっていないのにすでにもう後数曲で終わり?と思ってしまうような勢いで演奏していく。

 

東京に帰ってきた喜びを語りつつ、ここまで機材だけでなく、照明までも6トントラックに積み、ツアー中打ち上げも出ずライブが終わってすぐにずっと運んできてくれたスタッフへの感謝を伝えた後、目の前に突っ立てんのが、We are The BONEZ!と、もはや伝統になりつつある紹介から、自分たちの自己紹介の歌、We are The BONEZ、先述した人の命変えに来たんだよ、という言葉を曲中に叫び、T$UYO$HIのベースが炸裂したNumb、パーティーしに来たんだろ!?という問いかけからのThe BONEZ流パーティーチューンGIMCRACKと、先程のエンジンフルスロットル状態がずっと続き、BONERも巻き込み瞬間最大風速を1曲ごとに更新し続ける。

 

そこから誰も知らない曲やりますと、Step Upという新曲を突如プレイし、スカ調の曲に様々なパンクの要素がミックスされているが、曲調は非常にハッピーだった。
この曲調を表すジャンルが見当たらないなと思っていた中で、The BONEZは自身のことをキャピコア(キャピキャピしてるハードコア)と言っていることを思い出した時、この曲のジャンルがわかった。これ、キャピコアだと。

そんなThe BONEZなりのキャピコアの名刺となるような曲が出来たんじゃないか?と曲を楽しみながらニヤリとしてしまった。

 

T$UYO$HIに一言とMCを振ると、こんなパンパンのZeppは久しぶりであり、こうやってワンマンライブは今年はこれが最後だけど、この後もフェスやイベントはあるから近くまで来たら遊びに来てくださいと丁寧に言葉を紡ぎ、KOKIからは何か喋ろうとしたら子供の声にかき消され、助けられたなとジェシーからいじられるという、この手のバチバチのライブバンドとは思えないほどフレンドリーでハッピーな空気感になる。

子供からしてみたら、(教育のテレビに出たらヤバい)うたのおにいさんしかステージにいないのにこうして楽しんでキャッキャと声を上げている。大の大人のケツを蹴り上げ、毎日に活力を与えるだけでなく、子供が聞いてもキャッキャと声を上げるというのは、ただうるさいだけでは生まれない、The BONEZが持つ曲のパワーを本質的に感じていたのだろう。

だからか、JESSE!と感情の高まりで思わず叫んでしまった人の真似をしてか、ジェシー!と叫ぶ2階席の子供に対し、すげぇ人気者になったみたいと笑うJESSEは他のライブには無い喜びを感じているようだった。

 

そんな子供に大人は皆怒らないよなとしみじみと語り、規制はまだあるが、今日こうして俺たちのやり方を受け入れてくれたZeppに感謝していますと今日の会場に向けて拍手が起こる。

そして大人達も、感情を規制するな、お前らAIじゃないだろ?とルールはあるが、それでも内から湧き上がってくる感情に蓋をせず、開放することも大事だと、悪い方ではなく、人間として本来楽しかったら笑う・悲しかったら泣くというような、当たり前に起こることをセーブしないようにと語り掛けた。

そしてそんなお前らの全部の責任は、俺たちが負ってやるからよ!と焚き付け、好きな曲ですと少しダウナーで、オルタナティブなIncredible、爽やかな中にもの悲しさも感じられるIn Silenceと、ただうるさいだけではないThe BONEZの楽曲の幅広さを感じさせる楽曲を続ける。

 

そのもの悲しさも全て巻き込んで進んでいこうぜ大人達!と言わんばかりのストレートなロックサウンドのStranger、誰かが死に誰かが産まれという、生と死のことをダンサブルな四つ打ちサウンドに乗せたLIFEの時にはミラーボールが輝き、生命の喜びや煌めきを見せるかのようだった。

 

ライブをやりながらこの曲を書いてた時のことを思い出して、色んな知り合いがなくなっていった。
久しぶりに連絡があったら奥さんから亡くなったって連絡だったりした。子供の頃に夢見ていたことを大人になって忘れていくけど、もし今日帰ったらテーブルにその時の夢書いてみろ。俺たちがお前の夢と勝手に約束した!と、先程のStep Upと同じく、どこにもまだ発表していない新曲のDreamer、さらにヘッドバンギングせざるを得ないLouder、Rusted Carと立て続けにプレイすると、立て続けにフロントマン3人が動き回り続け、錆び付くどころか、むしろ今の方が若手バンドのように暴れ回っているようであり、来年10年を迎えるとは到底思えないアグレッシブなパフォーマンスを見せつけていく。というか、おたくら本当に平均年齢40代なの?

 

ただ、こうして前以上にアグレッシブなパフォーマンスをしている理由なのかもしれないが、未だにバンド・ライブハウスは赤信号でも青信号でもなく、黄色信号のまま走っている。それは(クソ)政府がやらないんだったら俺らもやらないしやれって言われたらやるんだけど、任せますって言われててと語っており、感じたことがある。

これまで通りのパフォーマンスでは人の心を動かすことは出来ない。人の命を変えるのならば、100パーセントのパワーだけでは足りない。それ以上を出さなければライブに来た人を動かせない。だからこそ、前以上のアグレッシブなパフォーマンスをバンド側も見せることで、マスクがあっても声が出せなくても、感情と感情のぶつかり合いは出来るのだと考えてこうしているのかもしれないと感じていた。

 

もうこっちはギプスは取れてて走り出せるんだけど、よくあるように中々走り出せない人もいる。それもわかるけど、もうそうじゃなくて、自分自身のことを信じて、隣がうるさい・肩が当たったらなんだよじゃなくてごめんなってしてあげてください。最後に決めるのは自分自身だからと、感情の爆発をする前に、人としてとても大切な当たり前のことを一語一語大切に言葉にすると、客席からは溢れんばかりの拍手が巻き起こった。

 

心を込めて精一杯やりますと、Until We Wake Upと歌詞を変えて始めたUntil you wake up、麻痺してる感情 暗闇を照らすライトと歌詞にあるように、このコロナ禍でどうすればいいかわからないThe BONEZだけでない、全国のバンドのファン、そしてバンドに捧げるかのようなThat Songではエモーショナルな気持ちが爆発し続けていた。

そしてその感情の爆発が結実し、一つの形になったとも言える、当時、この近くのZepp Tokyoの方に向けて歌った映像をPVにし、バンドとBONERの関係性を歌ったThread & Needleでは、最後のサビの前のコーラスをマイク越しに歌うファンも多くおり、それは歌いたいからというのは勿論だが、こんな感情爆発のライブをさせられている中で我慢が出来なくなり、心の内から溢れ出てくるものを我慢出来なくなってしまった人が多くなったから生まれた光景であり、それはまさにコロナ禍以前に見ていた、もっと大きな声でとJESSEがアジテートし、受け取っていたあの光景と同じであり、最後にJESSEは受け取った!!と叫んだあの瞬間には、まさにThe BONEZとBONERが1つになった瞬間であった。

 

アンコールに応え足早に登場すると、俺らこういう時は毎回何かしらの発表をするということで・・・と何かしらの発表を期待させると、12月22日にZepp羽田にて盟友であるcoldrainとのツーマンを発表すると、このツーマン待ってました!と言わんばかりの驚きの歓声が起こった。

そしてBONERを歌った歌であるHey, You、そして最後にはまさに感情を爆発させ、外に出て一緒に遊ぼうぜ!と歌詞で歌っているように、今日わざわざここまで来て、そしてThe BONEZと共に遊ぶために来たBONERへの感謝も込められたSUNTOWNを万感の思いで演奏する。
2番からはなんと、KOKIとT$UYO$HIが楽器を交換し、ギターをT$UYO$HIが、ベースをKOKIが演奏するという、これまで見たことがないようなレアなシーンにも立ち会え、The BONEZも思いっきり楽しんで、そして誰よりも遊んでいたかのようだった。

 

そして後半のイントロ中、前列で見ていた子供に声をかけ、今何歳?と聞くとその男の子は12歳と答えた。
俺も13歳で人生を変えるくらい大切なバンドに出会ったとJESSEは自分のことを語り、ここに来ている大人たちに一緒にこの12歳に奇跡見せるぞ!と焚き付けた瞬間には、マスクなんてあってないようなもので、誰もの感情が大爆発し、個人的にはもはやダイブモッシュがあった頃以上に感動し、もはや大声が出せないなんて関係ない、自分が楽しめばそれが一番素敵なことであり、大人になってもまだこんなに楽しいことがあって、楽しむ心があれば何十倍にも自分にも跳ね返ってくるのだと思いながら、この長いツアーのファイナルは終了した。

 

演奏が終わってもしばらくJESSEはステージに残り、右から左、1階から2階席まで全てに手を振り、頭を下げており、ステージを去るのがただただ名残惜しいようだった。

そしてはけてからすぐ、このツアーを共にしてきたダルマを持ってきたThe BONEZ一同はドラムセットの前で、本ツアーを共に走り抜け、そして掲げてきた今回のLABのジャケットアートと共に写真を撮影し、春からの長きに渡るツアーは無事に大団円を迎えた。

 

最初にも触れたように、演奏する側・見ている側の感情が共に大爆発しており、小手先ではなく人間の心の内側にまで届かせるかのような160キロ越えのストレートボールをずっと投げ続けられていたかのようだった。
バンドとしても、来年で10年目のバンドなのにアグレッシブな演奏とライブを続けていくごとにまるでどんどん若返っているかのようであり、アグレッシブな演奏とそれぞれのメンバーに見せ場があり、かつしっかりバンドとしても結束しているというのは、まるで1,2年目のバンドのような雰囲気であり、ライブ自体もまるで初期初動の塊のようなライブでもあった。

 

しかし楽曲自体はとても研ぎ澄まされていき、心の内側にある大切なもの・大人になっていくごとに忘れていってしまうようなことを歌と共に思い出させてくれるかのようであり、ただのロックバンドの一つというより、大切なことを思い出させてくれるテレビのヒーローのようにも感じていた。

このツアーが終わったあとも各種イベントや自分たちの企画では盟友であるcoldrainとのツーマン、そして何よりも、こうしてライブ中に新曲を2曲も披露したため、もうすぐ新しいフルアルバムが出るのも、そう遠くない未来かもしれない。

結成10年となり、ますますキャピキャピし、それでいて真に大切なものを問い続け、そして思い出した人のケツを蹴りあげてくれるThe BONEZのこれからに、毎回、というかいつだってそうなのだが、これからも期待せざるを得ない。