ナガノアニエラフェスタ 2023 Day1 ライブレポート

2023年9月27日

まず、あらかじめ言っておくこととして、すでに周知の事実ではあるが、今年のナガノアニエラフェスタDay1は、15:40分にスタートした上坂すみれのライブ終了後、雨が降り始めたと共に発令された、雷警報により一時中断となった。

雨脚については比較的すぐに止んだものの、雷雲が一向に晴れることはなく、かつ、新たな雷雲までもがこの会場にやって来ているということが判明し、結果、お客様の安全を最優先にという判断から、それ以降のライブについては全てキャンセルとなり、アニエラフェスタの歴史上初となる、公演途中での中止となってしまった。

 

こればかりは野外フェスという環境が故、当然のことだが、自然と共生することになる。戦う、ではなく、共生だと思っている。
だからこそ、時として味方にもなれば、敵にもなりうる。特に長野という自然が多い環境なら尚のことである。故に、自然から嫌われることだって、アニエラフェスタの歴史上、何度かあったが、とはいえ、中止に追い込まれてしまったのは、歴史上初のことだった。

こればかりは、誰も悪くなく、天候憎し・雷憎しなため、運営やアーティスト、来ているお客さん全員が、悔しい想いを味わった。帰りの足取りが軽かった人は一人もいないだろう。

 

とはいえ、1日目が途中までは行われた、というのもまた、事実だ。
ならば、この日のことを書くのが正、だろう。

 

数年後、あんなこともあったと笑えるように、この、悔しい想い出を後世に残すためにも、1日目の途中まで行われた、ナガノアニエラフェスタ2023のレポートを、書いていく。

 

尚、このブログでは、メインステージであるテンペストステージで行われたライブのみをレポートしていくので、そちらはご容赦いただければと思う。
加えて、敬称略もさせていただきますので、アーティストの皆様には不快な思いをさせるかもしれませんが、そちらについてもご理解いただけますと幸いです。

 

 

今年、いや今も尚、日本を襲う、猛烈な暑さ。

酷暑とも呼べるこの暑さは、この9月の半ばになっても続き、長野県だから涼しい、と思われてやって来られた方は、この佐久の暑さはさぞ辛かっただろう。

特に、アニエラフェスタが行われる駒場公園は、シートエリアには木陰はあるのだが、メインステージのテンペストステージ・サブステージであるファントムステージ共に、基本、スタンディングエリア内に日陰らしい日陰はほぼほぼないため、日光の直撃を否が応でも受けざるを得ない。
野外フェスなら当たり前といえば当たり前なのだが、とはいえアニメソングのライブを中心に行かれている方であれば、野外フェスという環境にあまり慣れていない方も多いはず。
なので、しっかりと事前準備や対策をしなければ、熱中症になる可能性が大いにあり得る、危険と隣り合わせの2日間となった。

 

加えて、これは2日目のレポートの一番最後に書こうと思っているのだが、既に運営側もこの問題については話し合っているとは思っているのだが、これは正直運営さんやっちゃダメだろう、と、一フェスの参加者として思った、いいことだけでは終われない、どうしても見過ごせない問題まで発生しており、間違いなく、歴史上最も過酷なアニエラフェスタだったと言えよう。

 

そんな1日目は、バーチャルシンガーの松永伊織の開幕宣言からスタートし、今年のアニエラフェスタの1音目を任せられたのは、2年連続出演となったZAQ。
ちなみに、アニエラフェスタの歴史上、初出演じゃないアーティストがトップバッターを務めるのは初のことだ。

 

一曲目に、中二病でも恋がしたい!のオープニングであり、もはや伝家の宝刀とも呼べる「Sparkling Daydream」からスタートすると、4年ぶりとなる、お客さんの声が会場中に響き渡る。あぁ、これだこれだ。アニエラはこうだった。4年間、皆よく我慢した。でもまだコロナもインフルも蔓延しているから気を付けてね、なんて色々な考えにふける暇もなく、サビでは全員が指を回し出すその光景は、見ようによっては風車にも見えてくる。

やはりこの暑さに触れざるを得ず、全員の体調を心配し、この後もあるとは言うものの、水分は取りつつ、体力を私にくださいと言うと、その挑発に声が上がる。

自身のことをライザップならぬ、ライザック、と呼称し、朝イチのトップバッターながら、30度越えのカンカン照りの容赦ない日差しの中、「カタレレズトモ」・「イノチノアカシ」と、この界隈で唯一とも言える、デジタルサウンドにロックテイストが交ざった、ハイブリッドなロックサウンドのアッパーチューンを立て続けに入れていき、見る側の体力を容赦なく奪っていく。多分、今だけなら、本家ライザップよりもこちらの方が間違いなくキツイ。

終盤には、今年の年末に自身が企画する自主企画イベント【KURUIZAQ】も発表し、最後にはこのどこまでも広がる長野の青空に向けて届けるが如く、ソラノネが高く響き渡った。

 

普段は家、という名の、天岩戸で仕事をしていて中々下界、という名のお外に出てくるのが今年は少ないと言っていたが、とはいえ、2年目にしてすっかりアニエラのお祭り男、いやお祭り女と言えるほどに様になっている。故に、また来年も家という名の天岩戸を開けて、新鮮な空気を吸いに、またここに帰ってきてほしいと願うばかりだ。

 

その次に登場したのはこちらも同じく2年連続出演であり、ここから数十キロ離れ、新幹線で言うと、佐久平駅の次の停車駅である上田こと、上田市出身の声優寺島惇太。

今年発表された新作シングルのRebbonの表題曲である「Rebbon」からスタートをすると、その伸びやかな声が地元である長野の地に響き渡る。

2年連続出演となった為、帰ってきたよーと第一声で叫ぶ。上田と佐久は少し距離は離れてはいるが、寺島自身、子供の頃にこの駒場公園内に併設されているプールに家族で遊びに来ていたと、このフェスが開催される直前のリスアニのインタビュー記事で語っていた。
なので、地元の思い出の場所の一つとも言えるこの場所に凱旋帰還したことを喜びつつ、今日のために昨日から前乗りをしていたそうなのだが、前日の夕方頃にバケツをひっくり返したような雨が降ってきたため、当日はどうなることかと思っていたそうなのだが、今日の天気が無事に持ったことを喜んでいた。

 

そんな話をしつつ、高校時代進路に迷っていたそうで、当時は漫画家になろうとしていて、コミケにも申し込んだが落選したという。
そんな中、当時、声優の新谷良子さんが好きで、その新谷さんが卒業したという専門学校へ行けば、まがいなりにも後輩になれる!というミーハー心から、そこへ行き、声優になることを決めたと、歴戦のオタク心をくすぐるMCをすると、ここでは諦めたが、もしかしたらそのまま漫画家に進む世界線もあったかもしれないが、それはパラレルワールドの自分に託すと語り、そんなどこかのパラレルワールドで生きる自分に送るかのように、「Youth」を歌い上げる。

歌い上げた後、そんな進路に迷っていた高校時代の話にまた話が戻ると、夏休みに、AIRに出会い、当時高校1年で周りは皆出来たばかりの彼女と花火大会に行っていた中で、一人その花火の音を聞きながら部屋でAIRをプレイしていたと、当時の夏の思い出を語り、この度、その思い出を成仏させようということで、最後に、残暑厳しいこの時期、いやまだまだ夏な、今日のこの日にピッタリな曲である、こちらも新曲の「Air Summer」を、自身の積年の想いと共に、無事成仏を果たした。

とはいえ、言いたい。

自分のことを宣伝するではなく、AIRやってね、と言って終わったのは、この2日間で寺島惇太だけだった。

 

4月に東京の豊洲PITで行われたアニエラが主催する都市型イベント、Aniera City Bash!!にも参加し、本陣とも言えるこちらにも初参加となった、梶原岳人。

アーティストデビュー曲である「A Walk」からスタートをし、このままガッツリ盛り上げることも出来たはずだが、初の野外ライブだということもあり、せっかくならやりたいと、この2日間通してあまりいない、弾き語りで次は歌うことを宣言すると、自然に拍手が巻き起こる。

アコースティックギターを構えると、Saucy Dogの石原慎也が楽曲提供した「魔法が解けたら(Acoustic ver.)」では、僕はアニエラが好きと、途中の歌詞を変え、日差しと暑さは厳しいのだが、アコースティックギターの音色と共に、爽やかな空気が会場中を包み込んだ。

 

ここのゾーンは、おそらく意図的だと確信しているが、この日に出演をする男性声優陣が3連続出演するゾーンとなっている。なので、その直前に出演をしていた寺島惇太に触れ、同世代だからとライバル視も以前はしていたそうなのだが、この曲があったから、お互いを認め合えるようになったと話し、オリエントのエンディングテーマである「色違いの糸束」を歌い上げる。

ラストには、残暑、いやこの真夏に相応しい、Galileo Galileiの尾崎雄貴に提供してもらった「はじめちまったんだ」を歌い上げ、短い時間ではあったが、終始爽やかな風をアニエラにもたらしてくれた。

 

これが初めての出演だったが、MCでは真っ先に、お客さんがあったかい、と言っていた。だからか、曲の最中に何度も、最強です!とフロアに向けて言っていた。
初めて出演するアーティストがこう言うのだから、これはもう、熟成された、このフェスならではの空気と言っていいはずだ。

 

その次、男性声優パートのラストを飾るのは、この2日間で唯一、この駒場公園に場所を移してから1発目となる第2回・2018年に出演して以来、なんと5年ぶりの出演となった、長野県佐久市岩村田5015−5、岩村田駅すぐ近くの画材屋、白秀堂が実家の白井悠介。
(ちなみにこれは当人がMCで住所を自ら口にしていたのでそっくりそのまんまである。)

ただ、自身はアーティストでは無いとMCで言っていた。
確かに5年前、自分もそのステージを見ていたのだが、あの時はトークショーがメインだった。
しかし、5年の月日が経ち、1曲目には自身のアルバムから「ツバメと風」を歌うその姿は、立派なアーティストだ。

 

今日は家からそのまんま来た、をテーマに、推しているチームであるリバプールのユニフォームを着てステージで歌う。ちなみにこの後、このステージに出てくるとある人物が言っていたのだが、裏では違うリバプールのユニフォームだったということで、ライブ前も後もリバプールで統一していたのだという。
そんな今日は、カーティス・ジョーンズ選手のユニフォームを着ていたのだが、その背番号が、17番だった。

 

その17いう数字から、自身の出てるとある作品に触れ、これは人前では初めて歌うと匂わせるようなMCから始まったのは、自身も二階堂大和役で出演しているアイドリッシュセブンの二階堂大和のソロ曲である「Love to you」。
その予想外の選曲に、MCの時から黄色い歓声が上がっており、まさかこんなところで聞けるとは思わなかったファンも多かったはずだ。
そんな中、ラストのサビのところで、たまたま近くに寄ってきたトンボを指さし、それを指で追っていく・・・という姿はおそらくだが、アイドリッシュセブンのライブではまず見られないシーンだったはず。

それを歌い終えると、ステージドリンクのコーラを1口飲むと、最後の曲と言い、自身が好きなアニメだという、酒井ミキオが歌っていたプラネテスのエンディングテーマである「Wonderful Life」を歌い上げ、アウトロのラララの部分を全員で歌ってくださいと言い、フロア中の全員が歌い、3曲の持ち曲で終了・・・かと思いきや、嘘でーすと軽い言葉で前言撤回。

 

最後にせっかくなら、と呼び込んだのは、同じ長野県出身であり、CBC局のラジオでは相方でもある、寺島惇太。
(これは本人達が2人とも長野県出身なのに名古屋のラジオですと言っていたのでそのままだ。)

どうでもいい話かもしれないが、去年は寺島拓篤のステージにも出演したので、ある種寺島惇太は、コラボするにはうってつけの人材、接着剤的な役割を持っていると他の出演者から思われているかもしれない、なんてふと思ってしまった。

 

その2人が揃ったということは、長野県民なら誰もが歌えるあの歌。そう、信濃の国・・・ではなく、こうしてステージに上がるからには何かを歌わなければならない。そこで、2人の共通点をラジオ以外で探していた中で、別のコンテンツだが、同じようなラップコンテンツに出ていると話し、たまたま偶然ではあるのだが、2人共通して、別のコンテンツにも関わらず、とあるアーティストの、それぞれ別のメンバーから楽曲提供をしてもらったという共通点があることが発覚した。

なのでせっかくなら、そのアーティストの曲を最後にということで、楽曲提供してくれたアーティスト、【HOME MADE 家族】の曲であり、エウレカセブンのオープニングテーマとして使われた、「少年ハート」をデュエットで歌う。
流石にラップコンテンツをお互いにやっているだけあってか、難しいラップパートもバッチリ乗りこなしている。

もちろんそうとは言っていないし、お互いその役で出ているわけではないが、とはいえ、ファンからすれば、こんな形で、いわゆる越境が見れるとは思わなかっただろう。
アニエラフェスタには、こうしたとんでもないサプライズと、予想もしていない楽曲が突然やって来るからこそ、ここまで愛されるフェスになって、そしてそこに、地元の声優が凱旋するのだから、ぜひ一度女性ファンも、虫は多いかもしれないが、足を運んでいただけたらと思う。

ちなみに当然だが、ステージドリンクが水ではなくコーラだったのは、2日間通して白井悠介だけだったのは、言わずもがな。

 

今年のアニエラは、協賛としてあのブシロードが入っている。

だからこそ、2日間通して、ブシロードに関わるコンテンツのユニットが出演するという、これまでのアニエラフェスタにはない色が出てきた。もちろん、いい色が、だ。

 

1日目には、ブシロードの人気コンテンツ、D4DJから2組が登場することになり、先ず登場したのは、Peaky P-key from D4DJより、犬寄しのぶ役の高木美佑。
ステージの真ん中に置かれた、D4DJ専用のターンテーブルが置かれたDJセットの前に立ち、自ら機材を触り音を出し、「LOVE!HUG!GROOVY!!」からプレイをしていく。
サブステージのファントムステージではDJが多く出演をしているのだが、このメインステージでDJがプレイするのは、歴史上初のことだ。

 

だからか、ライブではありながらも、どこかアニクラ的な雰囲気も香ってくるのだが、かといってただDJをするだけではなく、時に自らマイクを持って前に立ち歌っていく。DJもライブもしてもいい。なんでもありなそのスタイルは、ある意味飛び道具枠かもしれない。

加えて、DJというスタイルが故か、D4DJがそれをやっているから出来ることとして、カバー曲も流せるなんて、そりゃ強いに決まっている。

ALTIMAの楽曲である「CYBER CYBER」から、さっきもやってたけど、また少年ハートやっていいですか?と尋ねると、こちらもこちらでカバーをしていた、「少年ハート」をプレイする。
去年からそうだが、意図せず被ることがアニエラは多くなっている気がするのだが、とはいえ、こんな被りをするのは偶然にしては出来すぎているとしか思えない。

 

その後もとにかく曲をプレイし続け、最後の「Let’s do the ‘Big-Bang!’」まで、持ち時間の中で最も多くの曲数をプレイし、全員のテンションを猛烈に上げに上げ去っていく。これで一息つける・・・なんて間を感じる暇もなく、1分もしない内に、同じくD4DJから、Happy Around!がフルメンバーで登場をする。

 

D4DJのアニメであるD4DJ First Mixのオープニングテーマである、「ぐるぐるDJ TURN!!」からスタートをすると、先程同様の盛り上がりだけでなく、ユニットということもあり、DJブースには作品同様、明石真秀役の各務華梨がDJを担当し、他の3人は前で歌うという、他のコンテンツにはない、DJ、を冠する作品だけあって、そのスタイルに驚かされる。

とはいえ、この炎天下にDJなんてやったら・・・当たり前だが、夜だろうが昼だろうが、楽しいに決まっている。

 

「君にハピあれ♪」から、こちらもまたカバーである、ヒャダインの楽曲である「ヒャダインのじょーじょーゆーじょー」をプレイすれば、まさかこんなところで聞けるとは思わなかったのか、前に駆け寄っていく人も大勢いる。
加えて、渡月麗役の入江麻衣子は、他の3人とは違いキーボードも持って弾いている。少なくとも、あれはおそらく、当て振りではないだろう。

 

個人的に、だが、ファンの方で気分を害してしまったら申し訳ないのだが、ライブを見る前は、どーせただのアイドルコンテンツだと思っていた。
ただ、こうしてライブを初めて見たのだが、演者が自らターンテーブルを回し、DJとしてアジテーションしつつ、かつアイドルのように他のメンバーは前で歌うという、仕掛けだらけのエンターテインメント要素が満載のステージングに、目が離せなくなってしまった。
そんな自分と同じような気持ちを感じていた人も多かったのか、後ろから見ていたのだが、見る人もどんどんと増えていっているように感じる。

 

「アバンチューールなサマーデーーイズ」は夏の歌だが、それにしたって浮かれられない程暑さが厳しいが、とはいえダンサブルなナンバーに日本の楽器のサウンドがミックスされたサウンドによりテンションが上がり、最後はHappy Around!の始まりの曲でもある「Dig Delight!」で、D4DJとはこういうものです、と言わんばかりの名刺の様なライブを見せつけられる。
フロアを踊りに躍らせ続け、1時間ダンスしっぱなしなタイムが終わる頃には、自然とまた見たいと思ってしまっていた。

 

少し空に雲が出始め、日差しが隠れるようになり、雨がいつ振るのか、悪い意味で少しソワソワしだしてくる。

そんな15時に登場したのは、女性声優アーティストの中では唯一の2年連続出演となった小林愛香。

「AMBITIOUS GOAL」・「Crazy Easy Mode」と、曇天を吹き飛ばすかのようなアッパーサウンドで少し涼しくなってきた会場に再び熱を入れていき、自然とフロアからも負けじとOiコールが響き渡る。

 

あっついねと笑いながら語りかけ、またこうしてこの場に来れた喜びを笑顔で語るそんな中、今日のステージ衣装が紫のフリルが多く付いたドレスだったのだが、何をモチーフにしたでしょうか?と質問をすると、すぐさま観客席から答えが返ってきたのだが、本日の衣装はナガノパープルをイメージしたのだという。それを直ぐに気付けるのは、流石は長野の民、と言うべきか。
ちなみに言うと、この地域はどちらかというと、今の時期はナガノパープルよりシャインマスカットの方が多く店頭に並んでいたりするのだが。

ただ、そんな特注なドレスなのだが、これは今日しか着ないんだよねと言うと、そんなのもったいないと言わんばかりに、観客席からは半ばブーイングにも近い不満の声があちらこちらから上がり、じゃあこれを着るためにまた来年も呼んでください!と、ステージ上から2024年のアニエラフェスタの逆オファーをする。

 

シティポップ調のサウンドが特徴の「MI-RA-I miracle circle」を歌う前に、間奏のところで無重力になるんですが、みんな手で〇を作り、皆で1つ、いや、一房になりましょう。と全員に呼びかけ、いざその瞬間が来たタイミングではいここ!とステージ上から言うと、フロアの全員が腕で大きな〇を作り、アニエラフェスタに見事なブドウが出来上がった。
とはいえ、一つになりましょう、と呼びかけるアーティスト数あれど、皆で一房になりましょうと呼びかけたのは、ライブに数多く参加してきたが初めて聞いた。

そんなことを思っていた中、最後のフレーズであるshining starというところで、曇っていた空の隙間から、本当にその時、たった一瞬だけ日差しが出た。それは、小林愛香がアニエラに、いや佐久にブドウを作ったことを喜んだこの土地が見せた、ご褒美だったのかもしれない。

全員が1を指差しサビでは手を全員が横に振った「Holiday!!」から、最後の「Lolem Ipsum」まで、今年も全力でステージを駆け抜けていった中、ふと思っていたことがある。

 

【ライブを見て思ったのは、MCをする必要がないと思えたのだ。】
去年、自分は同じくライブを見てこう書いた。

だが、いい意味で今年はギャップがあった。それは、コミュニケーションという意味で、なのだが、とにかく今年は声出しが解禁されたからか、楽しそうに客席とコミュニケーションを取っているその姿が新鮮に映り、こんなライブだったっけ?と思っていたのだが、その時にふと、思ったのだ。

なるほど、去年はコロナ禍ということもあり、皆とコミュニケーションが取れないから、去年はMCは最小限にして、ライブで皆を楽しませようと必死だったのではないのだろうか、と。

そんな去年と打って変わり、今年は声出しが解禁されたということもあってか、多くMCをし、お客さんとも楽しそうにコミュニケーションを取っていた。おそらく、本人としてもこれがしたかったのだろう。そして、それが実際に出来て、小林愛香自身、とてもとても、楽しそうにしていると、自分の目からは見えた。
だから、こんなに楽しいからこそ、来年も呼んでくださいとステージ上からオファーをしたのだろう。

その時はぜひ、今日と同じ、ナガノパープルをイメージした特製のドレスを着ていただいて、再会したいものだ。

 

空が完全に曇り出し、陽も完全になくなり暑さがどこかへ去った気温とは裏腹に、会場は異様な空気と緊張感に包まれている。

サイケデリックな「予感02」をSEにし、初出演である上坂すみれが登場すると、目の前いる同志(上坂すみれのファンの愛称)と、それだけでなく、シートエリアで座って見ている方にも丁寧に挨拶をし、「EASY LOVE」からスタートする。

 

話は変わるが、アニエラフェスタは、アニメのライブ界隈では唯一、いや下手したら日本のフェス全体で見ても、ここまで真剣に酒に向かい合っているフェスはそうそうない。少なくとも、よなよなエールが出店し、サーバーからよなよなエールが飲めるフェスというのを、自分は初めて見た。

そんなフェスだからこそか、「よっぱらっぴ☆」をセットリストに組み込んでいたのだが、これはまさにうってつけの曲とも言えるかもしれない。というか、これ公式テーマとして上坂すみれサイドは売り込んで、その使用料をアニエラから貰ってもいいのでは?

 

MCで今日はお酒も売っているの?と尋ね、そうだと観客席から答えが返ってくるると、昨今の声優イベントだと取り締まられるのに、ここでは合法的に酒が飲める!と喜んでいた。
確かに、アニソンフェスでは酒がご法度になっているフェスが数多くある中、先程も触れたが、ここまで真剣に酒に向き合っているアニソンフェスは、紛れもなくここしかない。

それは楽屋エリアの方もそのようであり、会場に着いてみたら、山のようによなよなエールが置かれており、ビール党ではないが、これはもう、やる前から飲んでいいのか!?となっていたが、それは自重したとのこと。

 

どこか歌謡的な雰囲気も感じつつ、観客もコールで盛り上げる「踊れ!きゅーきょく哲学」、ユーロビート調のメロディーが特徴的で、自身も軽いパラパラを途中で踊る「来たれ!暁の同志」を歌い終えると、開口一番、楽しいー!と叫ぶ。やはりこの野外の開放的な環境で、タガが外れたのは同志だけではなく、本人も同じだった。

そんな楽しい空気をここにいる全員で楽しんでいると、ついにいよいよ雨が降り始め出す。それに気付き、やばいやばいと焦り出しすぐに終わらせないとと言いつつ、でもこれなら晴れるかもしれないと、最後に用意していたのは、「げんし、女子は、たいようだった。」

歌うごとに雨脚が強くなっていたが、そんなのお構いなしと言わんばかりに、いやむしろ半ばやけっぱちになっているのか、げんし、女子は、たいようだったと、全員がコールをし、30分程度の持ち時間はあっという間に終わりを告げた。

 

それと同時に、雷が鳴り出し、会場全体一時中断となり、結局、雷警報は一時間以上経っても消え去ることはなく、最初にも書いたが、この日のアニエラフェスタは、歴史上初となる、無念の、公演途中での中止を余儀なくされた。

 

本来であれば、上坂すみれの後に、開幕宣言をした松永伊織のライブが行われる予定であり、その後にはシークレットアーティストもラインナップされていた。

そのシークレットアーティストについてはその日の夜にコメント動画と共に発表されたのだが、なんとJAM Projectのメンバーであり、90年代から数多くのアニソンを歌い続けてきた、奥井雅美だった。

そういったことも含め、この後出るアーティストも、関係者も、運営も、お客さんも、誰もが無念な思いでこの後を過ごすことになった。

 

だからこそ、来年、この後出る予定だったアーティストが全員また、この長野の地に帰ってきて、その時は晴れ渡った青空の下か、時には少しオレンジがかった空の下か、あるいは満天の星空の下で歌ってくれることを、心の底から願うばかりだ。

※2日目のレポートは以下のリンクから読むことが出来ます。

ナガノアニエラフェスタ 2023 Day2 ライブレポート