ナガノアニエラフェスタ20~22 1日目 レポート

2022年9月21日

今年、2019年から数えると、3年ぶりに開催されることとなったナガノアニエラフェスタ。

本来ならば去年開催予定だったのだが、おそらく覚えている人も多い、某フェスでの騒動はその後のそことは一切関係ないフェスに多くの悪影響をもたらし、中止を判断したフェスも数多くあった。

まさにアニエラフェスタもその影響を受け、直前での中止となってしまい、存続のためにクラウドファンディングも行われるなど、一時は本当に存続の危機を迎えていたのだ。

 

しかし今年、3年ぶりの開催が無事行われることとなり、去年出演予定だったアーティストと、今年初めて参加することになったアーティストも多数ラインナップされ、久しぶりにこの長野の地にアニソンが鳴り響くこととなった。

 

会場には多くのアニソン好きが集まり、かつ、テンペストステージの会場入口に飾られたビジュアルアートは、去年の絵をそのまま持ってきており、これまでの全てを取り返してやるんだ!という意気込みがあちこちに見られた。

 

加えて、この日は天気にも恵まれ、何もしていなくても汗が吹き出てくるような、いわゆる残暑というような天気になり、前回のアニエラフェスタ同様、絶好のフェス日和となったが、誰がここまで暑くしろと起きた瞬間から言いたくなった。

だが途中から雲がかかりだし、過ごしやすい気温となったため、一日で天国と地獄両方味あわされたような気分となった。

 

さらに今年は、同じく毎年同会場で開催されていたコスプレイベントのacosta!も開催され、2019年ぶりにアニメカルチャーの一大祭典が蘇ったのである。

 

というわけで、ここから本年のアニエラフェスタのレポートをしていく。

なお、本記事ではテンペストステージに出演したアーティストのみのレポートをしていく。

もちろんファントムステージに出演しているアーティストも時間が合うタイミングで見てはおり、見れる範囲で見たアーティストはいずれも初めて見る方々ばかりであり、どの方も素晴らしかったというのはお伝えしておきたい。

ただ、本記事では申し訳ないがメインステージ1本で本記事は進められたらと思うため、何卒、ご容赦いただければと思う。
(全員敬称略ですのでご了承いただけますと幸いです。)

まず、テンペストステージに入る前の入り口には、会場の前には去年のビジュアルのアートが飾られ、そこで写真を撮るのはもちろん、3年間の全てを取り返すアニエラの本気がヒシヒシと伝わってきた。

 

・・・などと思いながらテンペストステージを見たら、驚いた。

デカいのだ。黒いのだ。LEDがあるのだ。

 

と、思わず語彙力がなくなってしまうほど、3年前のステージから明らかに縦にも横にも大きくなり、ステージ全体も黒を基調として作られており、さらに右手側には、これまでなかったLEDスクリーンも設置されていたのだ。

そのステージの構成はまるで、フジロックのグリーンステージのようであり、実際目で見て感じたことだが、サブステージであるファントムステージの方から見たとき、木の間から見えるテンペストステージは実際に見るよりも何倍も大きく感じられ、あれフジロックのグリーンステージだよと仮に嘘を言ったとしても、割と信じてしまうレベルだと肌で感じた。

 

そしてさらにもう一つ、サプライズとして、超生命体飲料としておなじみのライフガードがテンペストステージにブースを展開しており、傍らには特別製のラッピングカーが2台設置されていたのだが、ただブースとして在るだけでなく、なんとライフガードの小さい缶を無料で配布するという大盤振る舞いまで行われていたのである。

しかも、1人1本じゃない。

何本でも、朝から晩までずーっと、無料配布を行っていたのである。

 

これまでライフガードが出展していたことはなく、宣伝も兼ねているとはいえ、まさかここまでの超が付く太っ腹なサービスをしてくれており、事実、これのおかげで助かった人も多くいたはずだ。

おそらく、今年だけのサービスなのかもしれないが、それでもこのサービスを受けたからには、ライフガードに足を向けて寝れなくなったことは間違いない。

正直、この2日間のアニエラのMVPは間違いなくライフガードだったと言えるので、改めてこの場で感謝の想いを込めて、この事についても触れさせてもらった。

 

開演時刻になり、人気Vtuberであるまりなすが開会宣言をし、いよいよ3年ぶりのアニエラフェスタが始まる。

そのテンペストステージの1音目を任されたのは、初出演となるJUNNA。

 

その1曲目に選んだのは、なんと彼女が所属しているユニットであるワルキューレの楽曲であるいけないボーダーラインからスタートという、意表をついた楽曲であると同時に、アニソンフェスのスタートには素晴らしい1曲目ということで会場のテンションも一気にマックスになる。

MCでは久しぶりの野外フェスであるということと、思ったよりも天気が良くなってしまい気温が高くなり、長袖を着てしまったことを若干後悔しているなど、楽曲のシャープさと本人のビジュアルと打って変わった年相応の可愛さのあるMCに思わずキュンとしたなど言えない。

 

そして前乗りをしていたことを含め、自身はお酒は飲めないがせっかくなら帰り時に何か買って飲みながら帰りたいから、自身のTwitterのリプ欄に回答してと、コロナ禍だからこそのファンとのコミュニケーションを図っており、このコロナ禍になってからのアニソンアーティストの地方ライブの関わり方を少し感じられたような気がした。

 

そんなほっこりしたMCの後に、Here、コノユビトマレと立て続けにこれまでJUNNAとしてアニメとタイアップしてきた楽曲を立て続けに披露し、伊達にアーティスト活動を長年続けてきただけではない、年齢以上の貫禄あるパフォーマンスを見せつけ、3年ぶりのアニエラフェスタのスタートを最高の形で切ってくれた。

ちなみに今年でアーティストデビューから5周年ということで、公式Twitterではアニエラ運営からケーキを渡されるなどのおもてなしをされていた事を報告してくれていたが、よくよく考えると、JUNNAだけでなく、キリ良く周年のアーティストばかりこの2日間いるな?と思ったのはここだけの話。

 

次に登場したのは、今アニソン業界で飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け上がっており、誇大広告抜きで、令和時代のアニソンシンガーの顔の一つにもなりつつあるスーパーバンドsajou no hana。

 

現在放送中のアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』のOPである天灯から始まると、ベースのキタニタツヤの一見ギターを弾いてるかと見間違うほど、激しく弾き倒すベースに渡辺翔のキーボードとマニピュレーターはまるで司令塔的な存在であり、そしてボーカルsanaの可愛らしさの中にある凛とした安定感は、一枚岩になったこれぞバンド!というサウンドが会場を占める。
この快晴の気温の屋外で響くバンドサウンド、そりゃ気持ちいいに決まってる。

 

そんな中MCでは、なんとこれが初の野外フェスであり、かつ、sajou no hanaを初めて見る人も大多数を占めており、名前だけでもと言っており、自身としても場的にはアウェーなのかもと思われたが、そこは流石のアニエラフェスタということも相まってか、どの曲であっても、会場全体が盛り上がりを見せる。

最後の99.9%では、sanaとキタニのツインボーカルで楽曲を披露し、男性女性混声のバンドサウンドというアニソンアーティストの中でも中々見ない構成に思わず目が離せなくなり、それと同時にバンドならではの爽やかも感じられた。

すっかり全員がそのステージに釘付けとなり、これ本当にアニソンフェスだっけ?と一瞬疑ってしまうほど、アニソンアーティストであると同時に、ロックバンドのステージとも言えるステージングを見せつけ、フェスの持ち時間があるとはいえ、もっと見ていたいと思える爽やかな熱さを残していった。

 

おそらく、この佐久という土地(正式に言うとここから数キロ離れた先の小諸というのが舞台なのだが、一応この辺りの場所も何ヶ所か映写されていたため、ざっくりとですがこの地域一帯で呼称させていただきます。)が唯一舞台となったアニメ『あの夏で待ってる』。

そのエンディングを歌っていたやなぎなぎが、満を持しての初登場である。

 

ユキトキ、標火とライブの定番曲から始まると、快晴な天気に透き通った凛とした歌声が響き、会場全体がエモーショナルな空気に包まれる。

 

去年出演予定だったが中止となり今年出れたことを喜びをMCでは語り、言葉少なめに次に披露したのはスマートフォンゲーム『ヘブンバーンズレッド』の主題歌であるBefore I Rise。

あくまで個人としての所感なのだが、歌詞の内容はゲームに寄り添ったものだと重々承知はしているが、この曲を聴いた時に今のウクライナの軍事侵攻を連想してしまったのだ。

そして、偶然なのかもしれないが、この時の後ろの照明が青から黄色に移り変わっており、それはまるでウクライナの国旗の色のようだと感じ、曲をしっかり聞くと同時に、今もまだ終わらない軍事侵攻の一日でも早い終わりを願わざるを得ない、平和について考えてもいた。

 

今年がデビュー10周年であるということ、そしてこの曲も同じく10歳になったと話し、この先の小諸の地に想いを込めてと、この場所で最も鳴らされるべきアニソンであったビードロ模様を万感の思いで最後に披露する。

青空の下と、この土地ということで披露されたビードロ模様に周りには思わずタオルで目を拭く方も多く見受けられた。
(ちなみに筆者もボロボロ泣きました。)

 

昨年の中止を良かったなんて言うつもりは1ミリもないが、正直、今年3年ぶりの開催となったことで、やなぎなぎ・そしてビードロ模様が10周年という記念すべきタイミングになったことは、偶然にしては出来すぎだと思う。

ただ、このアニエラフェスタがこの佐久の地になければ、この土地でビードロ模様を鳴らす機会はなかったかもしれないと思うと、改めてこのフェスを開催してくれたことに、誰しもが心の中でより一層の感謝を思ったはずだ。

 

この空気感を繋げるかのように、2回連続出演となった牧野由依のステージが始まる。

Touch of Hope、エスペーロと、アニエラフェスタが開催されなかったこの3年の間に生まれた楽曲を人前で初めて披露したのだが、シンフォニックなメロディーと、一語一語大切にしながらも、どこまでも飛んでいくかのような歌声に、男性ももちろん、女性の人までもがうっとりとしており、日がもっとも高く過酷な時間ながらも、至福の空間に会場を染め上げる。

 

MCでは、前回出演したからこそ言える、ステージが前回よりも立派に大きくなっていることや、LEDが導入されたことに驚きつつも、この3年間を意味のあるものにしてくれた運営への感謝を口にする。

 

先の2曲について触れた後、この先発売予定のアルバムについても語り、その中にROUND TABLEの北川勝利提供の楽曲があり、その流れでかつて提供してもらった楽曲をと、最初期に発表されたシンフォニー。フェスということで、前回ライブでも披露し、そこで盛り上がる手応えを得た(かもしれない)、ふわふわを披露する。

また、サビの途中では観客も同じ振り付けをしていたが、見事に完璧であり、声が出せないからこそ、フィジカルで盛り上げようというアニエラに来ている観客の心意気も見て取れた。

 

この3年の間で、牧野由依自身も結婚や出産など、相当環境が変わったかと思うが、音楽に関しては新曲をほぼ毎年のペースでリリースをしており、本日の出演者の声優アーティストという括りの中で見た際、活動歴だけで見るともはやベテランの域だが、むしろ今が一番脂が乗っているとも言え、語弊があるように聞こえたら申し訳ないが、今が一番ライブを見るにはベストなタイミングなのかもしれない。

ひょっとしたら、ではあるが、前回アニエラフェスタに出演して以降、立て続けに楽曲やアルバムなどをリリースしていたので、アニエラフェスタに出演したことがきっかけで、アーティスト牧野由依の導火線に火をつけた、なんてこともふと思った。

本日は太陽が一番高い時間に出演してくれたが、もし次出るとき、空が暗い時間帯に牧野由依の音楽を聞いたなら、ただでさえエモーショナルなこの気持ちはどうなるのか、今から楽しみで仕方がない。

 

その空気感をいい意味で壊し、今回のアニエラフェスタのダークホース的な立ち位置として登場したのは、ここ1年弱でアニソン業界の中で急速に知名度を伸ばしつつあるニノミヤユイ。

つらぬいて憂鬱からライブを始めると、変幻自在の全く先が読めない楽曲構成と、歌っているのか心の嘆きなのかはたまた叫びなのかわからない感情むき出しの歌声。そしてもっと来いと言わんばかりに観客を煽り立て、先程とは全く違った盛り上げ方でステージの熱を一瞬で高温にしていく。

 

自身は神奈川県で生まれ育ったが、実はなんとこの長野県に年2回のペースで遊びに来ているという、長野県大好きガールということを公言し、ライブだけでなくMCでも初めて見る人も多いファンの心を奪っていく。

 

自身は人間の心のドロっとした部分を歌っていると音楽性についても触れ、その後披露した楽曲も心の中のドロっとした黒い部分を歌っているが、それを前向きに見せるような音楽性は自身のプロデュース力含め、唯一無二の存在感を見せつけ、ラストのDark seeks lightを終える頃には、爪痕どころか、爪痕を残そうとした看板を壊してしまうほどの存在感を見せつけ、新世代のライブモンスターになる可能性しか感じさせない、ニノミヤユイという名をアニエラフェスタに刻み付けた。

 

次に登場したのは、このアニエラフェスタのライブが、なんとアーティストとして初のライブという声優の永塚拓馬。

本来、少し前に1stミニアルバム発売記念を兼ねたイベントを行い、そこで初ライブを行う予定だったが、その直前に自身が新型コロナウイルスに罹患した結果、イベント自体が中止となってしまったため、アニエラフェスタ自体への出演は事前に決まっていたとはいえ、まさかの初ライブがこのフェスになったのだ。

 

白を基調とした衣装を身にまとい、本来行われる予定だった1stミニアルバムからDoThis,DoThat、dance with meをキレの良いダンスと共に披露し、初ライブとは思えないパフォーマンスを見せる。

 

正直、ライブを見ていたら目がかなりバッチリと決まっており、若干ギラついた印象を人によっては持ってしまった人もいるかもしれないが、当たり前な話、初ライブだけで緊張するのに、さらにそれがフェスということで、緊張していたのは当たり前だったろう。

だからか、MCでは曲を披露するという緊張が少し解けたのか、本人の人間性が思いっきり現れ、とにかく低姿勢で観客に語りかけており、あぁ、借りてきた猫ってこういうことなのかもしれないと、MCを見ながら思ってしまった。

 

そんな中で本日着ている衣装について触れ、この衣装が実は11月にリリースする2ndミニアルバム『Jewel』のビジュアルを撮影したときの衣装であるといい、その流れから最速で、収録楽曲であるTears Jewelをライブ初披露し、3曲の初ライブを終えた。

 

初ライブ・そしてそれがフェス、おまけに野外。さらにそれだけではなく、新曲も披露という、数ある声優アーティストの中でもこんな経験をした人はおそらくそうはおらず、ステージ前から何重にも苦労はあったと思うが、ここからどんなアーティストになっていくのかという今後に期待せざるを得ない、堂々たるパフォーマンスであった。

 

そのバトンを受け取ったのは、なんと翌日に自身のワンマンライブを控える畠中祐。

余談だが、おそらくスタイリストの方が見繕った衣装だとは思うが、ジャケットの下に着ていたタンクトップがSonic Youthであり、一人うわマジか!と思ってしまった。

 

自身がウルトラマンゼットの声を務めた作品『ウルトラマンZ』の後期EDであるPromise for the futureを拳を握り、力強く歌い上げると、その後のMCでアニソンフェスなのに1曲目から特撮の曲やってごめんねと話し出すが、そのまますぐにウルトラマンZの話をしだし、男の子も女の子もZ見てたよね!とそれだけで会場が一体となる。

心配しなくても、ウルトラマンZはみんな大好きです。

 

そこからちゃんとアニメソングもやりますとのことで、『憂国のモリアーティ』のOPであるDYING WISHでは、先程MCしてた人と同じ人だよね?と思うほどのステージングを披露する。

 

改めてこのフェスへ出れたことへの感謝を言いつつ、そこまでまだ経験がない野外フェスだが、やはり格別です。と、このロケーションや野外フェスそのものに感慨深さを見せ、会場に入った時から夏の終わりを感じたと言い、その雰囲気を感じさせるSummer Breeze、最新アルバム『REAL』から、ダンサブルなナンバーであるSolidではキレッキレのダンスも披露しつつ、その抜群の歌声で会場を大いに沸かせ、明日のワンマンライブとは違う一面を見せていった。

 

『シュタインズ・ゲート ゼロ』の主題歌であるWorld-Lineから始まった今井麻美。

去年出れなかったから出演できた喜びに加え、山っ子と自身を称しているだけあり、どこを取っても山山山・・・というシチュエーションに思わずテンションが上がっているとのこと。

 

そして今年、出演が決まった後にセットリストを組む中で、この佐久の地域に来て、アーティスト今井麻美として何を歌うべきか悩み、その中からこれだ!となったAstral Worldを演奏すると、気のせいか雲に隠れていた太陽が少し顔を出してくれた気がした。

 

そこから前日に前乗りした時に食べたものの話をしていたが、この地域の有名な某カフェの話をしていたが、思いのほか話が進み、ずっと話してしまうと自身で切り止め、空を信じてよかった!と最後に叫んだBelieve in skyで、あっという間の25分を駆け抜けた。

 

おそらく、本日のテンペストステージで最も異色と言っていいだろう、声優の神尾晋一郎とゆよゆっぺの名義でも活躍している間宮丈裕の2人からなるユニット、KATARI。

いわゆるポエトリーリーディングと呼ばれるジャンルの音楽をしており、ヒップホップやダブステップ等、様々な音楽をミックスしたサウンドを間宮が演奏し、日本文学を神尾が語るという、他や先駆者がいるかもしれないが、記憶上、アニメ・声優業界で唯一、このジャンルの音楽を鳴らしているアーティストだ。

 

宮沢賢治の雨ニモマケズや与謝野晶子の夢と現実等、誰もが1度は名前を聞いたことがある有名な作家の作品を神尾が語り、そこにその文学と一見(一聞)するとミスマッチに聞こえるが、聞いていくと文学に合わせて作られた独自のサウンドが合い重なり、夕方の陽の落ちる時間帯に独特の、唯一無二の世界観を展開し、会場を染め上げていく。

 

神尾自身、この時間はチルするような時間と唯一のMCで語っており、おそらくポエトリーリーディングというジャンルのライブにそこまで行った人も多くなく、どう動きで楽しめばいいかわからない人も多く見受けられた。

しかし演奏が終わり、袖にはけた後も拍手は鳴り止まず、体を動かすだけが楽しむ方法の一つではない、というのを肌で感じ、それを受け止めた結果が、この長い拍手だったのは言うまでもないだろう。

 

陽も落ちすっかり暗くなり、手だけでなくサイリウムやキングブレードを持ち始めた人が多くなってきた中で、自身に課せられた使命は盛り上げ隊長としてもう一段ギアを上げることとして、初めて佐久市に降臨したZAQ氏。

ちなみにこれ、佐久市とZAQ氏(ざくし)をかけた本人がMCで言っていたことである。ウケたかどうかは気にしてはならない。
なお、この後もせっかく言ってくれたからにはこのZAQ氏をあえて使っていこうかと思う。

 

Serendipty、Dance In The Game、ASEED等の定番曲から最新曲までをとにかく出し惜しみなく繰り広げ、都度曲中に挟まれる飛び跳ねろや頭振れますか!といった注文に対しても的確に応える観客の凄さはもちろん、オールスタンディングだからこそ出来る自由な空気感がよりそれを助長し、本日一番とも言える高みに到達していく。

しかしその後すぐに、注文の多いアーティストでごめんねと言うZAQ氏の人柄がまたキュートなことこの上ないったらありゃしないのだが。

 

そしてこのアニエラに東京から着き、楽屋に入ったところ、アニエラ運営からの直筆の手紙が置かれており、内容は省略するが、こんな血の通った行動をしてくれたことに感動し、こんなことされたら来年もまた出たいと、ステージ上から来年へのラブコールをアニエラ運営に届けた。

 

そんな愛を受け取った熱の入ったステージは続き、ラストには現在アーティスト活動10周年イヤー真っ最中であると同時に、その始まりとなったSparkling Daydreamをプレイすると、サビでは指回せの号令から観客が一斉に指を回し、ZAQ氏という名を一瞬で有名にした『中二病でも恋がしたい!のOPの1シーンを、10年が経った今でもこうしてアニソンのライブで盛り上がれるというのは、間違いなく歌とアニメが一体となった証だろう。

30分のステージが体感5分のように感じられた突風のようなステージ。
ぜひともまた、アニエラ運営はラブコールを受けたからには、応えてほしいと心から願っている。

 

リハーサルからこの後披露する曲の振り付けをその場で待っているファンにお願いをしたら、指示する前から完璧に踊れており、なんでもう踊れるの!?と驚くボーカルのメイリア。

今回初出演となるGARNiDELiAだが、もう本番の前からすでにアニエラならではのピースフルな雰囲気を感じたはずであり、本番に弾みをつけると同時に、観客は期待感で満ち溢れ、始まる前からすでにいい空気感が形成されている。

 

amibiguousからスタートすると、待ってました!という空気感が一気に爆発し、2曲目の極楽浄土からはサポートダンサーも加わり、音楽だけでなく視覚面でも盛り上げていく。

そしてその流れからさらりと今月末から放送開始のアニメ『うちの師匠はしっぽがない』のOPである幻愛遊戯を初披露し、日本楽器を入れたサウンドとキュートなダンスでより一層会場の熱を上げていく。

 

MCで久しぶりの野外フェスだと話しており、キーボード/コンポーザーのtokuの記憶だと、おそらくGARNiDELiAとしては5,6年ぶりの野外フェスとのこと。

ただ、せっかくなら曲を多くやりたいということで、MCはここまでにし、先ほどリハーサルで振り付けをお願いしたオトメの心得を披露すると、リハーサルにもいなかった観客もその振り付けを完璧にこなし、会場全体がダンスフロアと化す。

 

さらにその後もノンストップでライブは突き進み、最後の約束を演奏する頃には、30分の持ち時間の中で全7曲という本日のアーティストの中で最も多くの曲を演奏し、持ち時間をフル活用し、濃密にGARNiDELiAの良さが詰め込まれた、炎のような熾烈なライブだった。

 

そして本日のトリであり、この日の出演者の中では最もアニエラフェスタと長い付き合いとなっており、本来であれば去年の1日目のトリを務めるはずであった、AKINO with bless4が2度目のアニエラのトリのステージに立つ。

アカペラで海色の触りを歌い、そこから改めて海色、Golden Lifeと、トリという大役を務めているのはもちろんだが、アニエラフェスタと密接に結びついてきた彼らだけあって、ステージ上からもこのステージに立てている楽しさがにじみ出ているかのようだ。

 

ほぼ毎回のお約束となっている上げて落とすお得意の軽快なMCをしつつも、他のアーティストが全くしてこなかった、3年会えなかった中でこの3年のAKINO with bless4にあった出来事を話されており、もはやアーティストと来ているお客さんという枠を超えて、一年に一度集まる親戚のような関係にお互いがなっていることに、MCに笑いながらもこんなに大切にしてくれているのだなと、しみじみ思ってしまった。

 

息切れもあってか休憩のために若干長いMCを挟んだ後に次の曲はバラードですと宣言した中で選んだのは、なんとAKINOが先日某カラオケ番組で歌った、アカペラバージョンの紅蓮華。

まさかこのフェスで紅蓮華が聞けるとは思わなかったというのと、3人の歌の上手さが見事にマッチし、アカペラバージョンの紅蓮華はもうこれしか聞けないと思うほどであった。

 

その後AKASHIが見ている観客に手拍子1回・足踏み2回を行うリズムを求め、それを全員で行い出す。

・・・言わずもがなかもしれないが、あの世界的有名なバンドの有名な歌のリズムの手と足が逆になったバージョンである。
もしくは、Dragon Ashの陽はまたのぼりくりかえすのイントロのリズムと言った方がむしろわかりやすいかもしれない。

 

と思っていたらAKASHI本当にあの世界的有名な曲を歌い出した・・・!と思ったら止められ、代わりにKANASAがそのリズムで紅蓮華に続き炎を歌い出し・・・たらまた止められ、AKINOがその流れであの代表曲を歌ったらそれは最後に歌うやつ!と止められ、思いっきりネタバレをしてしまう。

もはやどこからが茶番で、どこからがマジのミスなのかわからない、本当にエンタメ性に優れた瞬間を見せつけられた。

 

その流れでこれは本当に皆が知ってるやつといい歌い出したのは、これまたまさかのカバーであるCHA-LA HEAD-CHA-LAである。

アカペラで一番までを歌い切り、これで終わりかと思いきや、2番からは音源が流れ出し、アカペラとオケありの2パターンのカバーが聞けるという贅沢さに、エンタメ性により特化したステージングを披露する。

 

その後もライブは続き、もはやアニエラフェスタのテーマソングになりつつあるLet’s Have A Partyではお決まりのダンスを会場全体で踊り、会場をダンスフロアに変え、盛り上げに盛り上げた後、いよいよ最後の曲の時間となる。

 

その最後に選んだのは、先ほどネタバレはしてしまったが、彼らの代名詞とも言える、創聖のアクエリオンを最後に披露する。

最後のサビの部分は歌えないから心で歌ってくださいと呼びかけていたが、声はなくとも、AKINO with bless4だけでなく、観客側もみんな歌っていると観客席にいながらも素直にそう思え、1日目の最後をアニソンというエンタメで楽しく、そして感動的に1日目を締め括り、明日へのバトンをつなげ、1日目は無事に終了した。