川越春一番コンサート『ACIDMAN&IMO楽団』ライブレポート
※このレポートには、開催中のANTHOLOGY TOUR 2の盛大なネタバレが書かれています。
ツアーに参加するから今はセトリは見ない!!という方はここで今すぐブラウザバックかこのページを閉じていただくことをおススメいたします。
ここまで見たということは、レポートを読むんですね?結構!
レポートを読みたえれば俺に従え。OK?
OK!(ズドン)
ではおふざけはここまでにして以下から本当にしっかりとしたらレポートを書いていきます。
ライブ終盤、ACIDMANのボーカル大木さんが今回のイベントに最初に誘われた時ツアー中だから一度考慮したと言っていたが、誰のイベントと尋ねたら川越いもの子作業所と返され川越いもの子作業所!?と驚き、さらに続けて場所を聞いたらウエスタ川越と返されウエスタ!?とまたもや驚き、さらにさらにどんなイベントなの?と趣旨を聞いたら『障害のある人が安心して働き暮らせる街は、災害に強い街です』といのがテーマだと聞き、すべてを踏まえてOK絶対出る。と今回のイベントに出演を決めた経緯を明かしていた。
実際、今現在ACIDMANは、自分たちがこれまで発表してきた楽曲をファンが投票し、その中から選ばれた曲でツアーを行う『ANTHOLOGY TOUR』。その第2弾を行っている。
そんなツアー真っ最中にイベントに出るということは出演者ではもちろん、ファンからしても大変だろうと思うのは言わずともといったところだ。
ただ、ファン側から言わせていただければ、そのツアー真っ最中だからこそ、ひょっとしたら何かレアな曲が聴けるのでは?と見込んでしまうのだ。
実際、今回のイベントでもまさに普段のライブでは披露する機会があまりないレアな曲も披露されたため、そこは確かに期待した通りとなった。
ただ、冒頭でも触れたが、今回のイベントはACIDMANがメインというわけでなく、障害のある人が安心して働き暮らせる街は、災害に強い街ですというのが今回のテーマだ。
そのため、今回出演しているIMO楽団は、川越いもの子作業所というところから生まれたロックバンドであるが、その川越いもの子作業所という場所は、多くの障害者が働いている作業所であり、そこから生まれたロックバンドだと考えると、このようにライブを行うこと、正確に言うと主催するということは並大抵のことではなく、ここまで来るのには多くの困難があったのだろうというのは容易に想像が出来、ライブをやるだけでなく、このイベントを開催するということを目指して進んでいたのだろう。
事実、開演前のロビーには川越いもの子作業所で作られた川越名産のさつまいもで作られた芋けんぴなどが売られていた。
他にも、これはIMO楽団のライブ中に知ったのだが、手作りのパンやうどんなどの販売もしていたが、それもまた川越いもの子作業所の仲間が作っていたことに大変驚いた。
それ以外にも手作りのおもちゃやTシャツなども販売されており、普段足繁く通うライブハウスとは違う、例えるならば街のお祭りのような、いつもとは違う雰囲気があった。
もちろん、いい意味での違う雰囲気だ。
そんな一日は温かくも、届けるメッセージは真剣でありかつ、普段何気なく生きている我々が障碍者とどう向き合っていくべきか。
そのことを大いに考えざるを得ない一日となった。
IMO楽団
最初に登場したのは、川越いもの子作業所から生まれたロックバンドのIMO楽団。
ステージでは演奏しているメンバーに加え、曲ごとに入れ代わり立ち代わり川越いもの子作業所で働く方々がマイクの前に立ち、曲の前に思いを語っていた。
また、ステージの後ろではプロジェクターで川越いもの子作業所の様子や、そこにいる方々の様子や風景を映しつつ歌詞も流していたのだが、この内容があまりにもセンセーショナルだった。
IMO楽団が歌っている内容は、障害者の方々が受けた体験や経験。それらすべてを歌詞にしている。
そのため、リアリティがとてもあり、また曲の前に入る語りがその曲の意味や持つメッセージの重さをより増長させてくるため、歌の上手下手のフィルターの一切合切をスルーし、聞き手側の我々の感情に訴えかけてくる。
その感情への訴えかけ方は、この後に出てくるACIDMANと何ら変わりがなかった。
終盤、ある障害者の方が、
「仕事をして家に帰ってベッドに横になって幸せだなぁ。」
「僕がどうして生まれてきたのかわからない」「私がどうして生きているのか」
「う~ん分かんないな」
「でも、あなたがいるって幸せ」
という発言がスクリーン上に写し出され、その言葉は誰もが同じように感じる喜びであり、そこには障害も何もなく、1人の人間として感じる喜びは誰もが同じなんだ。筆者はそんな事を感じた。
最後の川越ここが私の街では、今回出演したいもの子作業所の方々全員がステージに上がり、同じ振り付けをしつつ全員でステージを楽しんでいた姿にはハッピーさと同時に、仕事もしながらここまで仕上げるのにどれだけの時間がかかったのかはわからないが、その姿に胸がグッときたのは言うまでもない。
おそらく本日、筆者と同じようにACIDMAN目当てで来てIMO楽団を始めて見たという方も多かったであろうが、ライブ終了後SNSでACIDMANのファンの方がメイクが落ちるほど号泣したという投稿をした方もおり、そのステージは多くの人の胸を打った。
ACIDMAN
30分程度の転換の後、第2部であり今回のゲストであるACIDMANが登場。
一曲目にはここ最近のライブではおなじみのリピートから始まり、ライブハウスではないホールという会場ならではこそ、ACIDMANの静のサウンドが良く響き、じわじわと心の中の熱量を上げていく。
こんにちはACIDMANです、と普段のライブハウスではあまり聞けない、フェスのような昼の時間帯でしか普段聞けない挨拶からFREE STAR・ストロマトライトとライブハウスで盛り上がる定番曲を立て続けに披露していく。
MCでは、ボーカルの大木さんのようこそ僕の地元川越に。という地元出身だからこその、ここでしか聞けないMCの後に今年から久しぶりに披露されている波、白く。ACIDMANの代表曲の一つである赤橙をプレイし、新旧織り交ぜたセトリで会場を大いに盛り上げていく。
ここでMCで今現在ファンからこれまで発表した楽曲を投票してもらい、その楽曲でツアーを行うANTHOLOGYツアーを今現在行っており、2日後には福島県のいわき市でライブを行うこともアナウンスした。
今回のイベントは、障害のある人だけに向けられたイベントではなく、東日本大震災で被災された方々・地域の一日でも早い復興を目指すという願いも込められており、そこに毎年3月11日に福島県でライブを行っているACIDMANが出るという事は、ある意味必然だったのかもしれない。
そして、今現在行っているツアーから一曲披露しますと言い、3rdアルバムequalから水写を披露する。
個人的には、2012年に彼らが行ったさいたまスーパーアリーナワンマンライブ以来、7年振りにライブで聞けたことも嬉しかったが、何よりもまさかこの曲がワンマンでもないライブで聞けるとは思わず、ただただ驚き、じっくりとその演奏に耳を傾けていた。
そこからMEMORIES・ある証明とここ最近のライブの定番の流れで会場を大いに盛り上げていく。
その盛り上がりに応じ、それまで座って見ていたファンも段々立っていく人が多くなり、どんどんその熱量が客席にも伝わっていく。
最後の曲の前に、大木さんがMCで一番最初に書いたことをMCで言い、IMO楽団のライブに本当に感動し、仕事をして家に帰ってベッドに横になって幸せだなぁ。と思えることがなんて美しく素晴らしいことなんだと語っており、一貫して生命のこと・宇宙のことを歌ってきており、一瞬一瞬の生きることの美しさを語ってきたACIDMANだからこそ、IMO楽団が普通に幸せを噛みしめることの美しさにとても感銘を受けていた。
そんな最後に演奏されたのは、その瞬間の、当たり前の幸せを最後に振り返ったときに幸せだったかい?と自分に語り掛けるような一曲『愛を両手に』。
幸せだったかい?と問う大木さんの声は優しく美しく、同時に今日のこの日の全てがここに詰まっている。とも言えるほど曲とイベント内容がシンクロしていた。
演奏後、いもの子作業所の方からお花が手渡され、本編が終了。
しかし鳴りやまないアンコールに再び戻ってくると、これは予定調和ではない、リアルなアンコールであることを伝える。
そしてアンコールの定番曲『Your Song』をプレイする。
ラストのサビの前には、会場全体の電気が灯き、その光景はまるで、いつかの武道館で披露したYour Songのようであり、なんとも粋な、ニクい演出をしてくれるもんだと個人的に思った。
来年のイベントの開催もすでに決まっており、ライブ内で来年は3月7日に開催することを発表した。
去年は怒髪天が出演し、今年はACIDMANと、2年連続武道館アーティストと対バンをはたしたIMO楽団。来年は誰とやるのだろうか、今から楽しみだというのは言うまでもない。
そして、このイベントを通して、障害者が身近に、変わっているのではなく、根本は誰とも変わらないのだということを再発見する。そして同じように音楽で楽しめる。
この日一日だけでも障害について考えつつ、音楽で楽しむ。
そんな一日がこれからも続くことを願っている。
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