HEY-SMITH presents. 『OSAKA HAZIKETEMAZARE TOUR Tokyo』ライブレポート

2020年2月18日


※このレポートは、HEY-SMITHと記載がありますが筆者は入場規制によりHEY-SMITHを見れておりません。
また、基本的に筆者が見たバンドのレポートのみになるのであれがないこれがない!と文句を言うのだけはおやめください。
あらかじめ以上の注意をわかった上で今回の記事はお読みいただけると幸いです。※

 

 

 

 

スカパンクバンドHEY-SMITHが開催している自主企画『HAZIKETEMAZARE』。通称ハジマザ。

 

今年は初開催から10年という節目ということもあり、大阪・泉大津フェニックスで2日間にわたり開催される野外フェスだけでなく、原点であるライブハウスを何ヶ所も使ったライブハウスサーキット形式のハジマザを仙台・東京・大阪の3都市で開催するという、1年間の中で2回ハジマザが開催されるという、ハジマザ10周年に相応しい内容となっている。

 

そのライブハウスサーキット形式が先日、2月15日に東京で開催され、TSUTAYAO-EAST・O-WEST・O-nest・O-Crest・duo MUSIC EXCHANGE・Veats Shibuyaの6箇所で同時に開催された。

 

出演するアーティストとキャパシティの関係で入場規制が発生することも度々あったが、全体的に見ると参加した方は皆楽しそうに音楽を楽しんでおり、1日で様々なジャンルの、うるさい音楽を楽しむことが出来た。

 

今回の記事では、自分がこの目で見たバンド達についてのレポートを行っていく。

 

 

O-EASTのトップバッターはもはや説明不要とも言えるSHADOWS。

一曲目のFreedom Is Yoursからマイクジャックが始まったかと思えば次のAll I Wantではステージダイブも発生するなど、次のアーティストの関係で泣く泣く15分程度しかSHADOWS見ることが出来なかったのだが、いつでもどこでもライブハウスの遊び方を作り上げるSHADOWSとキッズの信頼感がビンビンに感じられ、ハジケテマザっているとはこういう事だと本当に思えた。

 

そしてすぐにWESTに場所を移すとMEANINGからWESTはスタートする。

 

ボーカルのHAYATOはなんでトップにここ来たの?と冗談混じりに感謝の言葉を言い、Painからライブをスタートさせる。

圧倒的な歌唱力で、歌詞というよりももはや叫びに近い声でHAYATOは歌い、それを楽器隊が支えるという強靭なバンドスタイルは、メンバーが変わってからかより一層強固になったように思えた。

HERE FOR YOUではついにフロアに降り立ち、キッズと共に時にモッシュをしつつ、かつシンガロングも盛大に巻き起こっていき、ハードコアだけれど、いや、だからこそみんなでライブを作り上げていくのだ。

 

MCでは2010年の一発目に呼ばれた時にHEY-SMITHは自分達で動線整理を行い、かつ出てるバンドのライブも見てそして最後に自分達がライブをやるという、自分達が出来ないことをやっているバンドのイベントに呼ばれるのが凄く嬉しいとHEY-SMITHへの感謝を述べる。

そしてここ渋谷でMEANINGが生まれたことにも触れ、俺たちが渋谷で生まれた、東京のMEANINGだ!と宣言し、渋谷の番地をそのままタイトルにした150をプレイする。

Judgementではダイバーが次々HAYATOのマイク目掛けて飛びかかっていき、初見の人がいたら唖然とするような光景を見せつけた後、残念まだ終わりじゃありません!とHAYATOが宣言しラストのJust Another Deathに入ると、フロアに降り立つのはもちろん、最後にHAYATOはバーカウンターのところまで行き、そのカウンターに座り込み歌うという、ステージなんて関係なく暴れ回り、怖いのだけれど気付けば拳を上げて叫んでいた、O-WESTのトップバッターに相応しい最恐で、とても熱い35分間だった。

 

すぐさまduoへ向かうとbachoのライブが中盤に差し掛かっており、パンパンのduoで精一杯に歌い、時に語りかけるように歌うボーカルの欣也の歌に胸を打たれるのはもちろん、自分よりも歳上の人が涙を拭っている姿も多く見られた。

最高新記憶では途中をフロアに任せて歌うと、ここにいる全員が知ってるのではないかと思うほど、ほぼ全員が続きの歌詞を大きな声で歌うこのシーンは、この日のハジマザのハイライトに相応しい感動的な1シーンだった。

 

O-EASTのさらに上の5階にO-Crestがあるのだが、そこまでは階段で行くというライブハウスサーキットでは中々キツい所にある場所だが、そこまでして見たいバンドがいたのだ。

 

それが、今年初ライブとなるROSだ。

これぞミクスチャーロックと言わんばかりのGOD OF ROCKから始まると、そのミクスチャーサウンドを求めてか最初は少なかったフロアにも段々人が増え始め、かつステージ前にもどんどん人が増えていく。

 

一発目のSHADOWSのステージから見てたけどあんなの見せられたらやるしかねぇ!と来門が宣言するとドンドンヒートアップしていき、かつまだまだフロアをハジケテマザらせたいのか来門は知らない人にもこういう音楽は縦ノリだから飛べばいい!というレクチャーやコールアンドレスポンスも繰り返す等、ここにいる全員をROSのファンに持っていこうとする気概をヒシヒシ感じた。

ちなみに、ステージ袖を見てみるとHEY-SMITHのイイカワケンとYu-ji、そして先程MCにも出たSHADOWSのHiroも見ており、関係者もこのステージを楽しみにしているのだと感じた。

 

終盤のMCでは、数日前に誕生日だったギターのHIROKIに来門が触れ、HIROKIが在籍しているDragon Ashでは中々聞けないHIROKIのMCが始まり、感謝を述べつつ俺この前52歳になったけど、俺よりも若い君らが暴れ足りないんじゃない?もっと暴れていこうぜ。とクールにフロアを上げるMCをすると会場の熱気のギアが1段階上がったようになり、BURST ATTACKではそれまで少なかったダイブが次々発生し始めた姿はまさにプロのお客であり、これぞハジケテマザレ!というのを体現しているようだった。

 

ダッシュで1階のduoまで降りると今回のハジマザ東京で唯一女性ボーカルのバンドであるSpecialThanksのステージが始まっていた。

 

SpecialThanksは、パンクでありながらも、とにかくポップな印象を受けるバンドであるが、いわゆるポップパンクとも違う、パンクだけどポップ。そんなバンドだ。

演奏が進んでいくと段々と熱が伝わっていくのはもちろんだが、それ以上にボーカルのMisakiの歌をじっくり聞いてるお客が多くいるように感じた。

MCでは来週開催する自主企画について話し、こういうイベントをやるけど、でも考えてみるとハジマザみたいなことをやりたいと思ったと語っており、HEY-SMITHと同世代のバンドでありながらもHEY-SMITHの行動にリスペクトを表していた。

併せて現在4ヶ月連続配信リリースの楽曲について触れ、自分の闇や辛い時期にじっと耐えて、いつか光が射すようにという想いを込めて作られた光に変えてをプレイすると、そのメッセージ性にグッと来てしまった。

ラストに多幸感に溢れたHELLO COLORFULから、パンクバンドのプライドを見せつけるショートチューンのONE WEEKで駆け抜けた。

 

ハジマザには2011年振りの参加となったSpecialThanksだったが、その間にメンバーチェンジも度々起こるなど、決して順風満帆なバンド人生では無かったはずだが、それでもこうしてバンドが続いており、そして9年振りに仲間のイベントに呼ばれ楽しそうにライブをしていた。

それがどれほど大変な道のりであるのか、そしてバンドには夢とドラマがどれだけあるのかというのを、SpecialThanksを見ながら個人的に感じていた。

 

O-WESTの階段をさらに登った先の5階にあるO-nestは、始まる前から前から後ろまでパンパンに人が入っており、開演前から異常な雰囲気となっていた。

 

そして登場したハジマザ初出演であり、HEY-SMITHが所属するレーベルであるCAFFEINEBOMBのレーベルメイトであるFOR A REASONが登場し、ライブが始まるとのっけからステージにダイバーが詰め寄り、次々ステージダイブをしていく。

一見するととてつもなくバイオレンスなのだが、決して暴れ狂っているわけではなく、一曲一曲に反応し、1999では冗談抜きでフロア全体が歌っていて、なんだこの大合唱は!?というほどに皆で歌っているその姿はなんともピースフルに映り、こんな凄いライブ久しぶりに見た!と本気で驚き、ステージダイブやシンガロングしているお客を見て冗談抜きですげー!やっべー!!何これ!?と思わず声が出てしまった。

 

MCではCAFFEINEBOMBの代表であるMoppyに呼んでくれたことへの感謝と同時に、CAFFEINEBOMBに入る馴れ初めを語り出し、きっかけはレーベルを探していた時に、同レーベルにいるCleaveというバンドがこんなレーベルがあるよと教えてくれたのが他ならぬCAFFEINEBOMBだったという。

そしてMoppyってどんな人?と聞いたところ、あるライブの時に1人でサークルモッシュしていたと聞き、そりゃ悪いやつじゃない、というレーベルに入る馴れ初めを語っていた。

その感謝はステージでと言わんばかりにライブの熱量がグングン上がっていき、同時にステージダイブもさらに激しさを増していき、これこそハジケテマザレ!と言わんばかりに演者とお客がグチャグチャに混ざっており、階層としては大分上の方だが地下のライブハウスの光景がそのまま広がっていた。

ちなみに、色々バンドがいて途中で抜けるやつがいてもI don’t care!と曲に入りつつ、かつ途中抜けも割と寛容な姿は惚れるでしょこんなの。

 

そして途中抜けOK(笑)のFOR A REASONからduoに場所を移すと今回出演しているバンドの中でも独特なサウンドのNOISEMAKERが始まった。

Keep it going, goingというフレーズのシンガロングから始まるSADVENTURE、オルタナティブと縦ノリを見事に融合させたChange My Lifeという定番曲からライブをスタートすると、会場中バカでかい声のシンガロングが巻き起こりつつ、この日一番会場が揺れたのではないかという程皆がジャンプをし、NOISEMAKERの武器である縦ノリに相応しいサウンドの遊び方をしていく。

 

MCではハジマザに出演する時に何がこのフェスいいかというと、予め公開されたフロアマップにラブホが書いてあり、気持ちいいことはそこでやるんだなという配慮を感じたと会場の笑いを取っていく。

しかし続けてでも今から音楽でそれ以上に気持ちいいことさせてやっからと焚き付けると、何度目かのシンガロングが巻き起こるとFlagから再開し、ライブでは久しぶりとなるHer Diamondもプレイすると、縦ノリだけでなくラウドロックのライブに相応しいダイブも次々と発生していく。

そして今回ハジマザに呼ばれたことを感謝し、俺らも今年地元の北海道でKITAKAZE ROCK FESTIVALというフェスを3年目で初めて野外で開催することにも触れ、同じようなことを先にやっているHEY-SMITHへのリスペクトもMCで触れ、ラストに今のNOISEMAKERを代表するNAMEでこの熱量をそのまま北海道に持っていくかのような、この先進んでいくNOISEMAKERの道のりがどれほど勇ましく、そして彼らなら絶対大丈夫だという信頼感に満ち溢れた、希望を体現するかのようなアクトであった。

 

NOISEMAKERが終わり外へ行くとすでにラストのHEY-SMITHを見るためにO-EASTの階段前からずっと行列が出来ており、さすが主催者であると同時に、これはもうHEY-SMITHを見るのは無理だろうと個人的に諦めが付いた。

だからこそ、今回のハジマザのトリはduoのdustboxとなった。

 

元々、久しぶりにdustboxを見たかったというのもあるが、同時にduoでdustboxがやるのは珍しいと思ったのだ。

 

そんな想いからセッティングからずっと待っていたのだが、メンバーの3人が出てきてリハーサルもかねて演奏をしたのは、なんとHEY-SMITHのGoodbye To Say Hello!

HEY-SMITHのイベントだからというのはもちろん、HEY-SMITHへ行けなかった方の悲しみも吹き飛ばしてくれるようなスペシャルなサプライズだった。

さらにHate Hate Hateも続けて行い、始まる前から会場のテンションは最高潮だ。

 

開演時刻になるとHEY-SMITHへ行けなかったお客が流れ込んできたのかすっかりパンパンになり、登場したSUGAはHEY-SMITHのイベントなのに俺らを選んでバカじゃないのお前ら!最高かよ!!ととても嬉しそうにフロアの密集っぷりに喜んでいた。

そこからHurdle Raceからスタートするとサークルモッシュyとダイブが立て続けに発生し、なかなかダイブしにくいduoでもいつも通りの光景が生まれていく。

もっとかかってこいよ!と既に熱気パンパンのフロアをSUGAは更に煽ると会場はよりヒートアップし、さらにダイブは増えていき、もはやここはdustboxのイベント?と思うくらいのホーム感があった。

MCではベースのJOJIパンパンに入ったフロアに喜んでいたが、大量に押し寄せてくるダイバーをさばいているセキュリティに拍手!というと、会場からは一段と大きな拍手が巻き起こる。

また、グータッチをしていたセキュリティを見ていたJOJIがそれ俺もやりたいと言いセキュリティとグータッチをする姿は、演者とフロア、そしてセキュリティが一体となりこの時間を作っている事の他ならない証明であり、なんとも愛に溢れた時間だと感じた。

この盛り上がりで曲を変えるとボーカルのSUGAが切り出し、急遽予定にはなかったNo More Tequiraを演奏する。

もちろんテキーラなんて用意されてなかったのだが、途中で今日の出演者であるSHADOWSのHiroとKazuki、ENTHのギターのNaoki、そしてなぜか今日は出ていないバンドのNUBOのボーカルである一成が登場し、持っていたビールの一気飲みを始め、終わったらステージダイブをするなどもはや何でもありのステージに思わず笑いがこみ上げてしまった。

ちなみにこのメンツをSUGAはやべーやつらが来ちまったと笑いながら言っていたが、誰が見てもその通りだったと思う。

イベントでは中々プレイされることのないSpacewalk、イントロからHere Comes A Miracleの大合唱が巻き起こったHere Comes A Miracle、最高のエンディングを迎えられるTomorrowと名曲3連発を立て続けにプレイし、これで終わりかと思ったらSUGAが今日はアンコールやらないから最後までやっちまおうぜ!と宣言し、1分で限界点に達するファストなショートチューンのJust One Minutesでフルスロットルのフィニッシュを迎え、duoのラストを最高の形で締めくくってくれた!

 

 

そしてdustboxが終わり、HEY-SMITHをやはり少し見たい!と思ったのだが、規制があまりにも凄く、フロアどころかO-EASTそのものに入れなくなっていた。

ちなみに今回のブログのサムネイル画像はそんなO-EASTに登る階段の前に貼られていた入場規制の紙である。

工事現場のようにでっかく入場規制と貼られており、思わず笑ってしまったため今回はあえてこれをサムネイルにしたと追加しておく。

そのため、残念ながら主催者であるHEY-SMITHを1秒も見れずに自分のハジマザは終わったのだが、それでもこの日一日を振り返るってみると、本当に様々な音楽に触れることが出来、また今回初めてライブを見たアーティストも数多くあった。

 

 

HEY-SMITHが主催という事もあり、バンドの横の繋がりが如実に表れた本イベントだが、何よりも凄いのはライブハウスサーキットを3都市で行ったという事であろう。

ただでさえ会場が取れないと様々な界隈で言われている中でこうして東京のライブハウスを何か所も丸一日貸し切るというのは相当前から計画しなければ無理であり、実際翌日にロックの事を全く知らない友人に話したところそれは本当に凄いと驚いていた。

このHEY-SMITHの行動力には、冗談抜きで常に驚かされている。
そして夏には野外フェスもやってしまうんだから、バンド自体の体力がどれだけ凄いのか・・・もう脱帽である。

夏の野外で開催されるハジマザに行かれる方は楽しんでほしいというのはもちろんのこと、出来ればまた数年のうちにライブハウスの猛者が一堂に会する、ライブハウスサーキットの形式でハジマザをやってほしいと、1ライブキッズは思っている。