Crossfaith Presents. NITROPOLIS(Day2) レポート

以前、このイベントに注目すべきだと記事にしたCrossfaithが企画したイベント『NITROPOLIS』。

しかしやはり、個人的にもこの目でどんなイベントになるのか見たいと、時間が経つにつれ気持ちがどんどん膨らんでいき、2日目のオールナイト公演の方に参加してきた。

CrossfaithのライブのMC中、このイベントはヤバいやつらを集めたら爆発すると語っていたが、見ている側としては、ひとつも似たようなアーティストがおらず、次々にそれらがプレイしていくのを見る様はまさに爆発だった。

ただ、爆発の後に残ったものは、モッシュで身体がボロボロになり疲れたというダメージではなく、色々なジャンルのライブを見て『音楽の祭典』を楽しんだという余韻だった。

会場の恵比寿リキッドルームでは1Fのライブフロアだけでなく、2FにはDJブースが設けられ、そちらではオープンから最後までこの日限定で出演するDJ陣達が立て続けにプレイし、そこを楽しみにしてる人もこの日は数多く見受けられ、こんな機会でなければ出会うことは無いのだろうな・・・という方々が2階にはオンパレードだった。

さらに2Fの普段アートギャラリーとして使われる展示フロアではCrossfaithの物販が行われていたが、ただ売るだけではなくCrossfaithのプログラミングのTeruが考案したNITROPOLISの世界観を表現すべくデザインされたこの日限りの物販兼アートギャラリーと化していた。

 

 

近未来的、かつどこかカオスさを感じるこの空間では、ニュースやCM、映画やアニメ等様々な映像をミックスした映像がスクリーンにずっと流れていた。
個人的に言えば、ここにゴジラVSメカゴジラ(1974年版)の映像が混ざっていたのが特撮好きとしては嬉しかったりもした。

 

 

夜の10時からスタートという、普段のライブではありえない時間からスタートし、そのトップバッターを務めたのは、アメリカのハードコアバンドであるVein。

トップバッターに相応しい轟音のサウンドはすさまじく、ボーカルのAnthonyはステージを縦横無尽に動き回る。
そしてフロアでは、最近流行りのハーコーではなく、本当にハードコアが好きであろう方々が魅せるハードコアモッシュ・テコンドーモッシュが絶えず繰り広げられ、まるでここは川崎で毎年開催されているハードコアの祭典であるBLOODAXE FESTIVALにいるような錯覚すら覚えた。

 

途中、2Fフロアに上がるとDJステージもスタートしており、最初はどう楽しんでいいのか分からない方々が多かったが、途中でなんとCrossfaithのベースのHirokiが登場し、もっと前おいで!と足踏みしていたお客を煽り、そこでようやくDJの楽しみ方が少しわかったのか、あるいはスイッチが入ったのか皆が思い思いに楽しみ始める。

さらに途中、CrossfaithのボーカルであるKoieも登場し、今日販売しているイェーガーマイスターはかなり安く提供しており、皆思いっきり飲んでけよ!とNITROPOLIS流の楽しみ方、お酒の飲み方の宣伝をしていた。

実際、Crossfaithの楽曲にはJagerbombという曲があり、イェーガーマイスターとレッドブルを割ったカクテルの名前である。
当然、この日もイェーガーボムが販売されており、どれだけ飲まれたかわからないが、ごみ箱にはそのイェーガーボムが入っていたであろうプラスチックコップが山のように溢れていた。ということも併せて記しておく。

 

2番手に登場した大阪のラッパーであるJin Doggは強烈に尖ったライブを行い、ステージと観客席の間には何とも言えないヒリヒリとした空気感が漂っていた。

しかし終盤の方に、ヌンチャク(バンド)知っているやついる?と客席に問い、そのヌンチャクの曲を丸パクリした曲を今からやるから、ウォールオブデスやってくれと煽ると、都部ふぶくのカバーであるthe Breakをプレイすると、ヒップホップでは中々見られないであろうウォールオブデスが行われる。

さらにそれだけに留まらず、もう一回と言うと、2回目のウォールオブデスも炸裂し、ヒップホップでありながらもハードコア好きさえも取り込む、アウェー感すらも取って食うパフォーマンスだった。

 

「ジジイはこの時間はもう寝てる」とボヤきつつも、一つのジャンルの代表として呼ばれたことを喜んでいたのは、この日のラインナップで昔からCrossfaithと親交のあるSHADOWS。

一曲目からNIRVANAのカバーであるTourette’sをプレイし、All I Wantではステージダイブ!と煽るとあれよあれよという間にステージダイブが多発し、日が変わったということすら感じさせないほどの暴れっぷりを見せつける。

MCではCrossfaithに感謝しつついつも背中を押してもらってるから、俺らも背中を押せるようになりたいと語り、進歩の曲であるProgressをプレイする。

これが初のオールナイトでのライブであり、かつ今回のイベントには普段彼らのライブに来ないような客層もとても多かった。
だからかSHADOWSって名前だけでも覚えて帰ってくださいなど、普段のライブでは見られない謙虚な姿勢を見せていた。

しかしライブ後、SHADOWSの物販には列が出来ており、名前だけでなく彼らのモノを手に取っていく方も多くおり、この日のライブを見ていた人SHADOWSを焼き付けたことは間違いないはずだ。

 

アメリカから来日したヒップホップトリオInjury Reserveのステージでは、しっかりと目を凝らしても表情が読み取れないほど、常時ストロボが焚かれ続けていた。しかし、それが逆にこのInjury Reserveのドープな世界観を演出していた。

音源ではクールな印象を受けたが、ライブではそんなクールさはどこへやらと言うほどに叫び、Tokyo!と激しく煽り立て、それに合わせてフロアではモッシュピットも作られるなど、その狂乱具合はすさまじく、まるでフジロックのグリーンステージを思わせるかのようなステージは、この日の一つのハイライトとなった。

 

そして次に登場したのは、ここでまさかの主催者であるCrossfaith。

実際この日の夕方からは、SiM主催のフェス『DEAD POP FESTiVAL』に出演するとはいえ、このようなアーティスト主催のイベントで、そのアーティストがトリではなくこんな中盤に登場するというイベントもかなり珍しいはずだ。

やはりCrossfaithが主催ということもあり、フロアはこの日一番の人であふれかえっていた。

客電が落ち、このイベント限定であろう特殊SEでメンバーが登場し、「行こうぜリキッド!」とKoieが煽ると、そのままDestroyへと繋がる。
さらに途中、Destroyという言葉のコール&レスポンスを求めれば深夜1時を越えたというのにも関わらずとてつもない熱量のDestroyコールが巻き起こる。さすが主催というべきか。

MCでは最初の方にも書いた、このイベントはヤバいやつらを集めたら爆発するということを伝えた後、今日出たJin Doggにサークルピット見せてやりたいと言い、この日に販売されていたカクテルの名前から取ったJagerbombをプレイすると、この日一番の巨大なサークルピットが現れた。

普段のライブではあまりプレイされないQuasarの後、尊敬するフロントマンであるキース・フリントに一曲捧げたいと思いますと言い、The Prodigyのカバー曲Omenをプレイし、最後はアンコールはやらんぞ!と宣言し、彼らの代表曲Monolithをプレイし、40分という短い時間だけれど、そのライブの濃さ・完成度はこの日一番と言っても間違いなく、主催者であるという役割を見事に果たした素晴らしいライブだった。

 

後半戦のスタートを切ったのは、このイベントに逆オファーでの出演。そしてこのイベントが日本初来日となったJUMEX。

DJやコンポーザーはもちろん、機材も何一つなく、ただ身一つでステージに立ち、その広いリキッドルームのステージを右へ左へと動き回りながら歌い、そのステージングの熱がじわじわと広がっていき、いつの間にかJUMEXから目が引き離せなくなっていた。

そして中盤、さらに驚かされることとなる。

突如ステージ袖にはけると、なんといきなりTK from 凛として時雨のunravelが流れ始める。

そしてアイドルの早着替えと言わんばかりに衣装を着替え再度ステージに戻ってくると、なんと自分のTシャツなどを客席に次々と投げ始めたのだ。

ある種反則技・飛び道具的な要素でさらにお客を楽しませたJUMEX。
だがステージングだけではなく、彼はまだキャリア的にはさっぱりであり、かつまだ10代なのだ。

つまり、ここからどれだけデカくなっていくかということであり、ある種記念でもあるはずだ。

あのJUMEXを昔リキッドで全然人がいないときに見たんだよなぁ。と誰かに自慢できる日は、この日のステージを見ていたら、そう遠くない気がした。

 

いよいよ残すは2アーティスト。

深夜の3時ジャストに始まったのは、世界的エレクトロニックミュージックユニットであり、来月にはフジロックにもヘッドライナーとして出演するThe Chemical Brothers。

そのThe Chemical Brothersの4年振りとなるアルバムに、まさかの日本人として参加しているNENEがいるのが、このゆるふわギャングである。

まずそのビジュアルでグッとヒップホップ好きだけでなくCrossfaith好きの客層もグッとつかむと、Fuckin’ CarではFuckin’ Carの部分を客に歌わせ、簡単な言葉であるためかあっという間にコール&レスポンスが生まれ、早くもゆるふわギャングの世界観を作り上げる。

・・・と思いきや、なんと序盤でNENEのマイクトラブルが発生する。さらになんと、スタッフが代わりに持ってきたマイクも音が飛び飛びになるという両方ともダメという珍しい状態に。

その途中でしびれを切らしたのか、NENEがマイクを捨て、そのパフォーマンスとアジテートだけで会場を盛り上げ、トラブルすらも会場を盛り上げる燃料の一つにしていく。

ロックバンドとは違う形で会場を盛り上げ、そして今やあのThe Chemical Brothersとコラボするまでになったゆるふわギャング。
サイケデリックな世界観の中に、NENEの存在感がまるでアニメから出てきたかのような存在感があり、かつきゃりーぱみゅぱみゅと同じような、日本のポップアイコンになり得る可能性さえも感じられた。

最後にバ~イ。と言って去っていった彼らの25分は、初見だった自分にはとてつもない衝撃であり、余韻で酒が止まらなかった。

 

7時間続いたNITROPOLIS、そのトリを務めるのは、今回最もジャンル違いのバンドとなったALI。

多国籍FUNK/HIP-HOPバンドと銘打っている彼らは、日本、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカなど様々な国のメンバーから成り立っており、その音楽からは多国籍でありながらも、多幸感もまた溢れていた。

さらにフロアを見渡すと、CrossfaithのKoieやKazukiもフロアで見ており、その注目度が伺える。というか、マジでCrossfaithのファン先帰ったのもったいなかったで・・・

ただしかし、これを朝の4時に聞いていて思ったことは「たまったもんではない。」ということだ。

FUNKにHIP-HOPが混じったサウンドを朝の4時に聞くなんて・・・最高以外ないだろうが、と。

ただでさえこの日は全アーティスト言ってしまえばかなりハードなアーティストが多く、見る側としてもとてもカロリーを使ってきた。
だからこそ、最後にこうして思わず体が揺れてしまう音楽が最後に来たら、もう僕は無条件に良い。としかならなかった。

持ち曲が4曲なので、最後までどうするのかと思っていたが、最後に多くのアーティストが歌い継いでいるプレスリーの名曲『Can’t Help Falling In Love』をカバーし出した瞬間には、大団円という一言が頭の中にパッと浮かんだ。

音楽は最高、と話していたがまさにその通りであり、最後まで体感した際には音楽を楽しんだ。という心地良い最後を体感した誰もが迎えたはずだ。

 

 

このイベントに参加するのは初めてだったが、Crossfaithは本当にすごいイベントを作り上げたものだと肌で感じた。

日本と海外のロックバンドやヒップホップ、ラッパーを一堂に集めると、とんでもない化学反応がステージからもフロアからも感じられ、どちらかしか参加したことがない、どちらかの畑にしかいないという方々の異文化交流的な側面もあったように思える。

自分自身普段であれば行く機会がないヒップホップのライブをこれでもかという程楽しめ、かつこのイベントがきっかけでそれまであまり聞くことがなかったヒップホップもここ最近は割とがっつり聞いているなど、その後も良い影響を残していたりする。

来年の開催はまだ未定であるが、今後もCrossfaithがこのやばいイベントを開催するならばぜひとも行きたいと考えており、かつフェスが好きな友人たちも一緒に参加できればより素晴らしい音楽体験を皆で味わえるのではないかと今からとても楽しみにしている自分がいる。

 

 

そして最後になるが、イベントが終わり会場を出ようとすると、入り口でスタッフがあるものをお土産として来場した全員に配っていた。

それは・・・

 

 

なんと!このイベントで浴びるほど飲んだイェーガーマイスターのミニボトルをタダでくれたのだ。

これは思いがけない嬉しいサプライズであり、Crossfaith神サービスすぎる・・・と純粋に惚れた。
(ちなみにこのイェーガーマイスターは数時間後レッドブルに突っ込んでイェーガーボムとして早々に消えたという。)

 

 

そして、おわかりだろうか。

比較対象として下に敷かれた、それに。

というわけで次の記事は、画像の下のこれについてレビューしていきます。

それでは。