SHADOWS『BUILD』レビュー
数日前に行ったCrossfaith主催イベント『NITROPOLIS』
そのレビューは前回の記事で行ったので、読みたい方は以下のリンクからどうぞ。
そしてこのイベント、実は個人的にライブ以外にもう一つお目当てがあったのです。
それが、今回紹介するSHADOWSの新EP、BUILD。
(ちなみにEPとはExtended Playというのが正式名称であり、シングルよりは長いけどアルバムとは呼べない曲数が入ったCDのことを主に指す言葉です。ミニアルバムと言ってもいいのではないでしょうか?)
今回発売された新EPのBUILDは、前回発売された2ndアルバム『torches』と同じく、会場限定販売という形をとっています。(ちなみに今現在torchesは全国流通されている)
2週間前のSATANIC CARNIVAL 2019より販売が開始され、現在もまだ配信などもされておらず、SHADOWSのライブに足を運んだ人しかまだ持っていない、という現状となっています。(ライブに参加したのに転売する転売厨はもれなくFxxk Off)
ちなみにこのSATANIC CARNIVAL 2019では、噂では1000枚以上売れたとかなんとか・・・
さらに、今回のEPからSHADOWSは、前のバンドであるFACTの頃からずっと在籍していたmaximum10を離れ、DIMWIT RECORDSという自主レーベルを新たに立ち上げ、自主レーベルでは初となる一作となりました。
ちなみにこのDIMWITの意味は、アホや愚か者だという。
また、今回のBUILD発売に併せて、SATANIC ENT.で現時点で唯一のBUILDという作品へのインタビューを行っており、なぜ今回もこのような販売形式を取ったのかということをかなり事細かに聞いているインタビューとなっているため、そちらもぜひ読んでいただくことをおススメします。
長くなりましたが、ここから今作BUILDのレビューを行っていきます。
今回のEP、5曲入りですがその合計再生時間数は12分にもいかないというとてつもない速さで終わるのが最大特徴です。
長さが敵、とインタビューで語っていましたがその速さは今や彼らの最大の武器となっています。
が、その速さに加えて、曲の重さがこれまで発表されてきた作品よりも、さらにパワーアップしているように感じたのです。
一曲一曲がどれもヘビーであり、速くて重いというメタル感がありつつもパンクサウンドのテイスト。かつそんな重いサウンドでありながらも、彼らがFACTの時からずっと培ってきたメロディアスなコード進行が絶妙にマッチし、重いけれどずっと聞いていて苦にはならないのです。
1曲目・2曲目のObeyとSO WHATはこれまでのSHADOWSにはないファストエッジチューンとなっており、80年代~90年代のハードコアサウンドを現代にリバイバルさせたような曲調となっています。
3曲目のI Know Betterはいい意味でこれまでの彼ららしい、みんなで歌えるような曲に仕上がっています。
途中ではSHADOWSおなじみのウォーウォー言うパートもあるので、しっかり聴き込んでいき、ライブハウスで皆が歌う光景が目に見えていますし、SHADOWSのライブでの定番曲であり、皆で歌う一曲のChain Reactionのような存在になることは間違いなしでしょう。
4曲目のBitternessは、2ndアルバムtorchesのOvercomeで取り入れたツーステップをする曲パート2と言わんばかりのサウンドとなっており、前述したサタニックのインタビューでは一番ノレてる楽曲と発言しており、SHADOWS、ひいてはFACT時代からずっとなかった、皆がツーステップを踏んでいるフロアが、torchesから始まりここでようやく一つの形として出来上がるのではないでしょうか。
最後の1113は、仮タイトルがそのまま正式名称となった楽曲ではありますが、最後に相応しいような焦燥感がありつつ、ヒリヒリとした印象を受けるが歌詞の内容はとてもポジティブです。
これまでのSHADOWSがアルバムの最後に入れてきた楽曲の流れを汲み、フェードアウトしていくがその余韻が凄く、気づいたら(早すぎたから)もう一回頭から聞いてみたい・・・となりついついこのEPをリピートすること間違いなしです。
また、今作の特徴として、ギターのTakahiroさんが歌っているパートがかなり多いです。
これまでは歌っても1言2言、多くて1フレーズ程度でしたが、今回は全編に渡ってTakahiroさんが歌っているパートが数多くあり、全体通して聞いてもTakahiroさんが歌っているパートめっちゃ多かったな・・・と聞いた誰もが思うはずです。
歌詞の内容も、インタビューで言われていたオラこんな村イヤだ~という某一時期ニコニコでMADが作られまくった演歌歌手の歌ではないですが、ただあながち間違ってはないのです(猛爆)
この街を出るといった歌詞もあるのですが、それ以上に何かから逃げろや、その場所から脱げ出せ!というような歌詞や、この場所でやっていけ等、ポジティブとネガティブが交互に合わさったかなり不思議な世界観の歌詞となっています。
ずっと昔から感じているのですが、彼らの世界観というのは本当に不思議であり、一個の独立した世界観というものはないのですが、彼ら流のポジティブさ、前に進んでいく気持ちを言葉にし、それを英語にして歌に盛り込んでいるのですが・・・これ本当に励ましてんのか?と頭をひねりたくなる分かりずらさもまた一興ということで(笑)
今回のレコーディングも、SHADOWSではおなじみのAttic Studioでレコーディングをしており、つい最近ではCrystal LakeのHelixを生み出したスタジオということもあり、今回もまた日本人離れといいますか、海外で録ったかのようなサウンドとなっており、日本のハードコアシーンにAttic Studioあり、と言わんばかりに、ここ最近Attic Studioは素晴らしい作品を数多く世に出しております。
先ほども述べたように、現在は配信などは一切なく、今もまだCDを買った人だけしか聞けない仕様となっています。
物販限定でCDを出しているアーティストというのは数多くいますが、個人的に思っている事なのですが、このバンドは単純・シンプルな事をやっているように見せかけて反則技を使っているような気がするんですよ。
新しいCDを作りました。→でもまた物販限定です。→全国流通も配信も(これからどうなるかはわからないですが)しません。→だから本当に欲しい人はライブに足を運んでください。
と、それだけでもう大きくいくつかの話題が出来てしまうわけですよ。
で、いざ音源を買ってみたらそのサウンドにまた度肝を抜かれ、このEPめっちゃヤバイ!!!と、またそこで話題が出来てしまう。
その行程や買うための流れを見ると非常にシンプルですが、ただ、買って聞く。ただそれだけの行程だけで、ここまで話題を生み出せるバンド、いやアーティストって、今どれだけいるのでしょうか?と思うのです。
これはあくまで僕自身の購入した時の心持ちだったのですが・・・ひさしぶりに、CDを買って家に帰るまでワクワクしているという体験をしました。
色々荷物が入っていてCD割れてないよなぁと不安になりつつ、ここからどんな音が聞こえてくるんだろうと、本当に純粋にワクワクしていました。
この体験は、昔Hi-STANDARDがゲリラ販売したANOTHER STARTING LINEと同じ、いやそれ以上の体験だったかもしれません。
このBUILDを引き下げ、SHADOWSかつて2ndアルバムtorchesを売るために行ったツアー『SELL 'EM ALL TOUR』の第2弾である『SELL 'EM ALL TOUR Ⅱ』を開催することが発表されました。
意味は全部売る。というまさに商売魂胆丸見えなツアータイトルです(笑)
前回は全箇所ワンマンだったが今回は対バンツアーとなり、また前回よりも規模が大幅に増し、全国15か所を回るツアーとなっています。
ファイナルをSHIBUYA O-WESTで開催されることが発表されているが、今のSHADOWSの勢いならば売り切れるのではないでしょうか?
これからこの先、BUILDがどういう販売形式を取り、どのように配信されていくのか分かりませんが、ただこの先音楽好きは何でもいいので今後何かしらの形で一度は耳にしてほしいと思うほど、今のSHADOWSはシーンの中で異彩を放ち、そして目が離せない存在になっています。
だからこそ乗り遅れるべきではないですし、このバンドがシーンで来てる!と僕は声を大にしてい言いますし、何よりも12分もないのでささっと忙しい時にも聞けますよ!!
ただ、その12分でギンギンに気持ちが張ることは間違いないですよ!
それでは!
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