SPARK!!SOUND!!SHOW!! Pre. “HAPPY DO BOUNCE!!” ALL-NIGHT レポート

2024年1月29日

近年、日本のうるさいロックを鳴らすシーンの中で、一際特徴的であり、音楽性もさながら、メンバー全員個性が際立っているという、唯一無二なバンド。それがSPARK!!SOUND!!SHOW!! 通称、スサシだ。

 

そんなSPARK!!SOUND!!SHOW!!(以下、スサシとも省略させていただく)が、新たに始めた自主企画イベント、それがHAPPY DO BOUNCE!!だ。

今回、東京と大阪で開催され、東京公演についてはオールナイトで行われることになった。

 

参加しているラインナップも、スサシと親交があるアーティストばかりが数多くラインナップされつつも、本人達もMCで言っていたように、一出演者として盛り上げに来たと話し、主催イベントだから肩ひじを張っていつも以上に気を張ったライブにしよう、というわけではなく、みんなで協力していいイベントにしようといった、勝負ごと、というよりも、ユナイトして、皆で面白いことして楽しもう。そんな空気が感じられるイベントだった。

一見するとラインナップもラインナップなため、クレイジーに見えるような本イベントだが、中に入れば愛があってピースフルだけれど、遊び方はフルパワーで。そんな、百鬼夜行となった一夜をレポートしていく。

12時になり、日付も変わり、10日になった瞬間、定刻通りスタートした本イベントの1番手を務めたのはSATOH。

ロックユニット、と言いつつ、最先端のヒップホップやR&B的なカルチャーも感じるハイブリッドなユニットでありつつも、ジャンルで言えば、オルタナティブな要素がありつつも、がっちりとした骨がある。例えるならば、Circa Wavesや、浅井健一のバンドのサウンドの香りがしてくる。

音源だけではかなりデジタルな雰囲気がしたが、ライブではサポートメンバーも入れ、がっちりとしたバンド編成で、文字通り生の音と声で盛り上げようとする。
音源とライブでいい意味で違いがあることに驚くのも束の間、急げ!!!では、そのタイトル通り、気持ちが流行ってしまったのか、急いでしまった結果、2,3度ほどスタートが噛み合わず、その合わさなっぷりに、思わずボーカルのLINNA FIGGも笑ってしまう。

このライブが終わったら明日ニューヨークに行くんだけど、そこの友達と作った歌と、最新曲のAftershowをプレイすると、まるでここからどこかへ旅立つ飛行機を待つ空港の中にいるような、ワクワクしつつも、少しだけ寂しさも感じてくるようだ。
しかし、最後のRAINBOWではデジタルサウンドも加えつつ、弾むようなサウンドで空間を包み込み、このライブモンスターばかりのイベントのトップバッターを勤め上げた。

 

次のJUBEEは、本日唯一のヒップホップ界隈、ラッパーとしての出演ということもあってか、ラップでありながらも、その口から出る声はまるで、その声からギターまで聞こえてくるような気さえしてくる。
そんな荒々しいラップスタイルと歌い方は、今時のヒップホップとは明らかに一線を画しており、本人も影響を受けたと言っている、元THE MAD CAPSULE MARKETSのKYONOを思い出すその歌声は、JUBEEならでは、だろう。

Butterflyなどの代表曲を次々に披露し、この日唯一のラッパーとしての教示を示すが如く、マシンガンのように畳み掛ける言葉とDJサウンドだけで、ヒップホップにそこまで明るくないロックファンも、気付けば次々に手を挙げていく。

そんな中で、JUBEEはロックバンドAge Factoryと共に、AFJBというバンドもやっているのは、ここにいるファンからすれば周知の事実だが、そのAFJBからSplash!!!をプレイすると、歌詞の中にあるように、モッシュ&ダイブが起こり始める。

その様を見て、俺はヒップホップの場でもこういったことがしたいと、本人の願望を語りつつ、ロックバンドがオールナイトで主催するライブイベントが増えているけど、せっかく夜にやっているからこそ、皆お酒を飲んで楽しんでほしい、と、良くも悪くもだが、そこまで夜遅くない時間から始まってライブが終わるロックバンドとは違い、その更に遅い時間からライブやイベントがある、ヒップホップシーンにいる者だからこその遊び方を説明する。

そこから、せっかくなら新曲をと、ラッパーのLeon Fanourakis・Yung Xansei・PaleduskのKAITOをステージに招き込んだ新曲を披露し、来月に発表すると2024年のリリースを約束し、そこからメロウな雰囲気の手紙、アッパーサウンドなMessと、ラッパーでありながらも、一人ミクスチャーバンドのような、なんでもありの25分を突っ走っていった。

 

間髪入れずに登場したのは、元Crystal LakeのRyoが、今年新たに始めた音楽プロジェクトであるKNOISIS。

普段はバンド編成が多いのだが、今回は、SPARK!!SOUND!!SHOW!!の頼みということで、普段はKNOSISのバンド編成の際、ベースを務めるkosukeがDJを担当し(本人曰くDJKOOとのこと)、"硬めの四つ打ち曲"セットで挑むことに。

事前にRyoが今日はこれをやるとXでポストし、KNOSISの楽曲をリミックスした楽曲のライブを繰り広げることになった。

神喰REMIXを終えると、すぐに着ていた上着を脱ぎ、上半身裸になりながらも、常に熱いパッションでライブを繰り広げる。
DJセットだからといって、やることは一切変わらず、むしろバンドという後ろ盾がないからこそ、いつも以上に叫び、喉を壊すかの如く絶叫し、時には観客席にダイブもするという、熱いパフォーマンスを繰り広げる。

ライブ中、度々やるしかねぇ、と叫び続けていたが、その通り本気で全員楽しんでおり、事前に用意していた4曲を追えると、ラストには度々ライブでやっている、タイトル不明の楽曲。だが、やるしかねぇ!というワードだけを叫び続ける楽曲(多分、楽曲もやるしかねぇ!ってタイトルだと思うが・・・)でこの曲についてだが、本人のXでポストがあったのだが、このやるしかねぇと叫び続ける楽曲は、FIRE BOYSというテクノユニットのYARUSHIKANEEという楽曲のカバーでした。、この後もやるしかねぇ、と全員の心に火をつけたまま、25分のステージを去っていった。

ただ、今もだが、この日のライブで一番頭に残り、頭から離れていないシーンが、このやるしかねぇ、と叫び続ける楽曲になるとは思ってもみなかった。

 

関係者席のある2階エリアにDJブースがセッティングされており、そこでDragon Ashのドラムである桜井誠のDJがスタートし、テクノを中心とした選曲を揃え、参加者は思い思いに楽しんでいる中で、気付けば時間は丑三つ時。

その次には、本イベントの企画者であるSPARK!!SOUND!!SHOW!!が登場した。

 

今回の主催であるが、本人達はたまたま呼び掛けてみたら皆集まってくれ、先程も書いたが、自分達も主催とかいう偉そうな立場じゃなく、盛り上げる役の一人、と位置付ける。

新しい時代を作っていくために、旧世代に宣戦布告を叩き付けるかのような歌詞のJUNGLE BUN DEMから始めると、それまでとはまた違うフロアの様相を呈す、というよりも、これぞパンク・ラウド・ハードコア等、日本のうるさいロックのお客さんの遊び方で思い思いに楽しむが、これはまだまだ序の口だった。

Wiennersのアサミサエを迎えたSKIMMING ME、PaleduskのKAITOとDAIDAIを迎えたヘビーローテンション、ENTHのダトを迎えたあいどんのう、 DOT.KAIを迎えたDEATHTRUCTIONと、正直彼らのワンマンライブでもここまでのゲストが出るなんて、ほぼないのではないだろうか?そう自然と思ってしまうほど、ゲストが数多く登場し、共に作り上げてきた楽曲で会場を大いに沸かしていく。

しかし、勿論それだけが彼らの全てではないのは、言わずもがな。
南無では仏教用語も交えつつ、サイケデリックなサウンドでカオティックなフロアを作り上げれば、GODSPEEDではわかりやすくコーラスが出来る箇所が数多くあり、そこで皆で歌いながら楽しめる。

中毒性、とはサウンドだけでなく、歌ってもいいし飛んでもいいし踊ってもいいし、なんでもありな楽しみ方をファンだけでなく、本人達もやっている。HAPPY DO BOUNCE、とタイトルに付けたが、それを一番実践しているのは、本人達だなと思いつつ、ラストにはファストでラウドなYELLOWで、他の出演者と同様に、30分の持ち時間を終えた。

 

EMZT(YESBOWY&SIVA)のDJが持ち時間よりやや早く終了すると、次の出演者であるPaleduskはリハから9 SMILESなどを披露し、あっという間に会場の空気を掌握する。リハを終えて本番で、と言いステージから一旦はけ、それから本番で登場したものの、その待ち時間の体感はほぼ1分だった気がしている。その位シームレスな空気のままで、Paleduskのライブはスタートした。

ただこの日、正確に言うと約8時間前の昨日12月9日には、WHILE SHE SLEEPSという、海外のメタルバンドの来日公演にゲストアクトとして出演しており、ダブルヘッダーとなった本日。

もっと正確に言うと、その前日の更に前日の8日には、自身のイベントであるKOBOという、同じくオールナイトイベントを大阪にて行っており、ライブをした時間だけで言えば、9日にライブをしている。このイベントの中には本日出演したENTHもKNOSISも出演しているが、こうして2日、正確に言うと、24時間程度の時間の中で、ライブ3連チャン、というのはPaleduskだけだ。

が、全くそんな疲れなど感じさせない、圧巻のライブを繰り広げた。

 

BLACK ICEからスタートするが、その次にどういう展開になるのか全く読めない、ジェットコースター的な楽曲に、KAITOのスクリームが合わさった楽曲は、Paledusk最大の武器であり、日本のラウドロックシーン、ひいては日本全体で見ても、こんな一曲で何度も色々な展開をして、1粒で2度美味しいではなく、何度も美味しいと思えるバンド、そうそういないだろう。

こういったイベントがどんどん増えていって、ロックとヒップホップの垣根もなくなっていて、どんどんお互いのファンが遊び方がわかっていく。だから、お前が来ない間に、俺達はもっと先に進んでいると、現状の今の最先端のロック・ヒップホップシーンに何が起きているかを説明しつつ、その中でも先に行っているから乗り遅れるなよ、とも言いたいようなニュアンスのMCから、祝福するかのように、高揚感をもたらしてくれるRUMBLEから、この空間を言うならこうだと、AREA PDでもう一段階カオスを作り上げる。

終盤、ファンからのリクエストをとなったが、それを無視して、NO!をプレイする。が、まだ時間が余ったということで演奏したのは、NO!という、まさかのNO!2連発を決めて、ステージを後にした。

 

BOYのTOMMYがDJをし、途中にアンダーグラフや10-FEETなど、日本のロックの曲を立て続けに流してフロアを盛り上げると、04 Limited Sazabyzのswimでは、その後ライブをするENTHが途中から演奏を始めるという、予想外のリハーサルから始まったが、実際、楽しいを通り越して、意味不明です。と、ボーカルのダトはMCで口にしたくらい、あまりにも、いつも通りのライブだった。なおこの時、時間は朝の4時20分。

Get Started Together・"TH"と、ライブでもおなじみの曲から始まり、LOVE ME MOREでは、ナオキボンバイエというコールと共に、スタッフがお酒を持ってきてギターのナオキとダトが飲むのが定番だが、今回はということで、袖で見ていたスサシのベースのチヨが飲むという、このイベントならではの光景に、フロアのテンションは朝の4時半を越えたにも関わらず、まるで夜の7時かと思うほどに、やる気満々で元気100倍だ。
というよりも、イベントがスタートして4時間半も経っているのに、グロッキー状態になっている人がまるでいない。その半端ではない体力に、先程も書いたように、意味不明ですとダトは口にした。

本来想定していたのは、もう少し皆疲れていて眠くて全然盛り上がってないフロアを想定しており、そんな状態を想定していたからこそ、ちょっと盛り上がりと違うかもしれないと話し、夜が明け、太陽が昇るその前だからこその、Before Sunriseは、時間帯に相まってか、よりエモーショナルに響き渡った。

 

この直近、とあるバンドマンが亡くなったこともあるかもしれないが、代表曲のムーンレイカーの前に、少しだけ死に触れたMCをしていたが、だからこそ、この曲の歌詞がより一層響き渡り、ただの愛や恋のような曲ではなく、今日だけは、バンドマンの生き様をそのまま反映したかのような歌詞にグッと来た後、ラストにはショートチューンでありながら、この想いを繋ぐかのようなWillでライブを終えた・・・かと思っていると、スサシのボーカルであるタナカユーキが登場し、5時までに音を止めればいいということで、このままアンコールという流れになり、最後にMAXX THE CAT a.k.a. lil white tigerを決めると、スサシのメンバーも立て続けにステージからダイブをし、当日券含め完全ソールドアウトとなった第1回目のHAPPY DO BOUNCE!!は、大成功に終わった。

 

ラインナップを見てわかると思うが、若いファンが多いバンドも多く、一見すると、ややチャラそうで、マナーもあまりいいイベントではないのかも、と思う方もいるかもしれない。

しかし、個人的な印象だったが、この日は20歳以上しか入れないという年齢制限があったとはいえ、良くも悪くも、素直で、そして、わきまえているお客さんばかりだった気がしている。

どういうことかと言えば、こうしてほしいとバンド側が言えばそれに応える、オールナイトはこういう遊び方をするんだよ、と伝えれば、そうするという、非常に素直なお客さんばかりであった。
(これは良くも悪くもだが、オールナイトイベントのお酒の飲み方をするのはいいが、飲まれすぎるのも良くは無いが・・・)

 

また、今回はかなりフロアにスサシのメンバーをはじめ、多くの出演者や関係者がフロアを常に闊歩していたが、群がることも、何らかのファンサービスを求めることもせず、そのままにし、1歩引いて、横目で見るだけにしておくお客さんばかりだった。そんな適度な距離感を守れるお客さんが非常に多かった気がしていた。
むしろ、正直に言うが、スサシ側はかなりファンサービスも多く、SNSでもファンの意見を拾ったりもするのに、ファンがリアルでは求めないなんて、ネットとリアルの境界線があいまいになっている昨今で、こんなにしっかりわきまえているのが、非常に驚いた。

加えて、バンド側がかなりオシャレだからというのもあるが、ファンも非常にセンスがあるが、だからといって人として逸脱はしすぎておらず、いいファンに恵まれていると素直に感じた。

 

これからもこのイベントは続けていくと宣言をしており、かつ、もっと大きくしていきたいとのことで、次はどこになるかはわからないが、現時点最先端の、イケてるアンダーグラウンドの音楽カルチャーが入り混じる本イベントが、何のトラブルもこれから先開催されても起きることがなく、365日の1日、派手に夜に楽しんで飛び跳ねるパーティーがこれから先も長く続くことを願っている。