Pay money To my Painを紹介【今も生き続けるバンド】
2012年12月30日
9年前のこの日、1人のボーカリストが、この世から去りました。
ラウドロックバンド
『Pay money To my Pain』。通称PTP
まだ今のように、SiMやcoldrain等、いわゆるその辺りのバンド一帯を総じて『ラウドロック』と呼ばれるジャンル。
そのようにこのジャンルが括られ、この辺り一帯をそう呼ぶ。その前から活躍していたバンドです。
そして、このPTPのボーカルである、『K』こと、後藤慶氏。
Kさんは、2012年の12月30日に、31歳というあまりにも早すぎる年齢であり、PTPがこれからだ!という時に、この世を去りました。
一般にその発表がされたのは、年が明けた2013年の1月10日でした。
その衝撃はあまりにも大きく、今でもその日のことは、とてもよく覚えています。
そのKさんの急逝から早9年。
ロックを取り巻く環境の変化や、PTPがいた頃にはいなかったバンドがどんどん第一線に出るようになり、同時にPTPが活動をしていた頃には、ロックのロの字も知らなかったような、若いロック好きの子も数多く生まれてきました。
それはそれでもちろん素晴らしいのですが、正直こんなことを言ってもしょうがないことではありますが・・・当然PTPのことを知らない。という人も多くなってきたかとは思います。
ただ、せっかくであれば、今のロックシーンに絶大な影響を及ぼしたPTPのことを思い出してほしい・知ってほしいという思いがあり、今回、僭越ながら、Pay money To my Painについて紹介をさせていただきます。
Pay money To my Painとは
Pay money To my Pain。通称PTPは、2004年に結成されたバンドです。
メンバーは
K(ボーカル)
T$UYO$HI(ベース)
PABLO(ギター)
ZAX(ドラム)
の4人からなるバンドです。
なお、2008年まではもう一人、ギターとしてJINさんという方がいました。
JINさんはPTP脱退後、あのGReeeeNのプロデューサーとしても活躍されています。
なので、知らず知らずのうちに、PTPの遺伝子を持ったアーティストの曲を、テレビから聞いていたとも言えるでしょう。
彼らの特徴はなんといっても、ヘビーなサウンドにボーカルのKさんの唯一無二の声が合わさったバンドサウンドでしょう。
激しいシャウトも出来ればしっとりとしたバラードも歌える。
そのKさんのボーカルはどこか悲しみや痛みを帯びつつも、同時に優しい希望を与えてくれるかのような唯一無二の声でした。
このどこにもない、これまでシーンにいなかったサウンドは多くのリスナーやバンドマンから支持されました。
今現在日本のバンドとして世界の最前線で戦っているONE OK ROCKはもちろん、SiMやcoldrain、RIZEやDragon Ash等、ラウドシーンで活躍するバンドから圧倒的な支持を受けていました。
また、今でこそそこまで珍しいことではなくなりましたが、ヴィジュアル系と呼ばれるジャンルのバンドであるlynch.やBUCK-TICK等からも支持され、ある種ラウドシーンとヴィジュアル系を繋げてきた存在だと、振り返ってみると感じます。
2007年、初の1stアルバム『Another day comes』を発表し、アルバムの表題曲でもあるAnother day comesは、特撮作品『ULTRASEVEN X(ウルトラセブンX)』の主題歌として使われていました。
僕自身、PTPを知ったのがまさにこのウルトラセブンXであり、深夜作品のウルトラマンという事に加え、これまでのウルトラマンシリーズにはなかったゴリゴリのサウンドは耳から離れませんでした。
ちなみに、今でもウルトラマンの公式イベントのショーなどで、このAnother day comesはウルトラセブンXが出てくる際に度々使われており、ウルトラマンシリーズにもPTPの遺伝子を感じることが出来ます。
2011年には、東日本大震災を受けた日本のためにと、11年ぶりに復活したHi-STANDARD主催の伝説のフェス『AIR JAM 2011』にも出演するなど、時が経つにつれどんどん規模が大きくなっていき、2012年の年末にかけてツアーも計画されており、ツアーファイナルでは、自身初となるZepp Tokyoでの公演も決まっておりました。
しかし同年、Kさんの精神的な疾患により、この予定していたツアーを全てキャンセルすることになり、2013年はPTP復活の年になる予定だったのですが、最初に述べたように、12月30日にKさんが急性心不全によりこの世を去りました。
そのKさんが亡くなられた1年後の12月30日、PTPが目標とし、同時に去年決まっていたツアーファイナルの場所でもある、Zepp Tokyoでのワンマンライブを、Kさん以外の3人で行い、それを最後にPay money To my Painは活動を停止しました。
しかし、その後も彼らを熱望する声はずっと続いており、活動終了直後は度々グッズの通信販売を行っていました。
また、2016年には、彼らが出した音源と、これまでCSの有料音楽チャンネルでしか放送がされなかった、ライブやインタビュー映像などが収録されたコンプリートBOXともいえるセルフタイトル作品『Pay money To my Pain』を発売し、彼らがずっと達成できなかった、オリコン1位を獲得することが出来ました。
そして、2020年の2月。
Pay money To my Painとずっと親交があり、活動当初からずっと目にかけていたバンド『coldrain』が地元・名古屋で開催した主催フェス『BLARE FEST』で、一日限りの奇跡の復活を遂げました。
Kさんの代わりに、これまで親交があったバンドのボーカルが入れ替わり立ち代わりPTPの曲を歌い継いでいき、ラスト2曲はKさんのボーカルの音源を流しながら演奏をするという、奇跡の一夜を作ってくれたcoldrainには感謝しかありません。
このBLARE FESTのライブ映像が、YouTubeにて公式配信されており、短い時間ではありますが、この奇跡の一夜を体験できるため、ぜひともご覧になってみてください。
PV
最後に紹介したこのRoom #103は、活動が停止した2013年の1年後の2014年の12月30日、突如公開された未発表曲です。
元々、バラード曲として発表する予定だったものがボツとなったのですが、この歌詞がまさにKさんのいないこの状況に合っているということ等から、このような形で発表されました。
PTPメンバーの現在の活動
ベースのT$UYO$HIさんとZAXさんは、PTPと親交がずっとあったRIZEのボーカルJESSEさんと元RIZEのギタリストのNAKAさんと共に『The BONEZ』というロックバンドとして活動しており、活動5年目となる2018年には、PTPが活動を停止したZepp Tokyoでワンマンライブを行いました。
また、このPVを撮影していたビルの向こうには、そのPTPが活動を停止したZepp Tokyoがあり、いつかPTPがいたあの場所に必ず帰るという信念も感じられるPVになっております。
なお、現在NAKAさんは脱退し、新メンバーとしてTEARS OF THE REBELのギターであるKokiさんを迎え、あの事件があったからこそ、尚のこと精力的ン活動しております。
ZAXさんはThe BONEZ以外にも、元THE MAD CAPSULE MARKETSの上田剛士さんのソロプロジェクトであるAA=でも活躍し、更に2019年からは、The BONEZのボーカルであるJESSEさんの父親であるギタリストのCharさんのバックバンドとしても活躍しています。
個人的におススメなのがAA=のこの楽曲。
TakeshiさんとZAXさんの2人のぶつかり合いのような楽曲となっており、サウンドはもちろん、プレイにも注目です。
一方、ギターのPABLOさんは、バンドのプロデュース業や、もはや誰もが知っている国民的アーティストとなったLiSAさんのバックバンドのギタリスト。
Dragon AshのボーカルのKjさんのソロプロジェクトであるKj and The Ravensのギタリストや、親交のあったRIZEのドラムである金子ノブアキさんの新しいバンドでもあるRED ORCA等、多方面で活躍されております。
更に、PABLOさんとZAXさんの2人からなるオルタナティブロックユニット『POLPO』としても活動しております。
それだけでなく、2020年に、先ほど少し紹介した、元PTPのJINさんとPABLOさんの2人が、かねてより計画をしており、オーディションでバンドメンバーを集め、新しく始めた7人組の大所帯バンド『M.E.D.S』もスタートさせました。
このように、PTPのメンバーは、様々なところで活動をしております。
というよりも、これはおそらく僕の想像なのですが、PTPの周りにいた仲間たちが、絶対にほっとかなかったのでしょうし、絶対に彼らを表舞台から降ろさないという意思もあったはずです。
だからこそ、こうして今でもPTPの遺伝子や音が今でもずっとあり、いつでもPTPを感じることが出来ると思うのです。
個人的なPTPへの想い
これは読んでも読んでいただかなくても構わないのですが、最後に、僕の想いを記させていただきます。
誰しもが思っている事でしょうが、PTPが見たいはずです。
ただ、これはPTPが最後にライブをした時、最後のMCでZAXさんが言った言葉なのですが
「みんなKがこの世を去ってから、心にぽっかりと同じ大きさの穴があいてると思う。
でも、俺は、その穴は埋めなくていいと思うんだよ。
だってこの穴がKそのものだから。
これがK自身だから。」
まさにこれはPTPのファンが思っていることでしょうし、これを聞いて、逆に誰しもがPTPの穴を埋めようとしなくなったのだと思います。
PTPのファンは、その穴が開いたまま生きていく。
後になってからPTPのファンになった子も、その穴の大きさがどれほどか分からないとしても、PTPと生きていく。
そうやって一人一人が、自分の人生の中で、PTPと共に生きていくのだと思います。
そしてこれは、先ほど紹介したコンプリートBOXを買った人なら分かることですが
あのBOXには、2116年12月6日に、別の世界で行われるライブのチケットが入っています。
当たり前ですが、それが本当に行われるか、そんなの誰も知りませんよ。
ただ
棺桶にそのチケットを入れてもらい、それを別の世界に持っていき、信じているやつだけが行ける。
それでいいのだと僕は思っています。
また、そのチケット代は、Free。そして、時間無制限となっています。
それこそ、Pay money To my Pain=俺の痛みに金を払え
というバンド名ですが、そのライブが行われる別の世界は、痛みのあるこの現世とは違い、痛みのない世界だから出来るのだと思いますし、だから金を払わなくてもいいのだと思うのです。
まぁ、Kがファンに与えた痛みを考えたら、フリーライブやって当たり前だ!!と思う方もいるかもしれませんが(笑)
実は、このブログをあげた12月30日というのは、まさにKさんの命日です。
Kさんを思って、PTPの曲を聴きながら、タバコを吸っている方でしたら、線香をあげるように、Kさんが吸っていたハイライトを吸って、思いをはせてみてはいかがでしょうか?
それでは。
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