Dragon Ash LIVE『DEPARTURE』ライブレポート

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2ヶ月前、ロックシーンを驚かせたDragon AshからダンサーであるATSUSHIとDRI-V(敬称略。これ以降もメンバーの敬称を省略させていただきます。何卒ご容赦ください。)の脱退。

 

Dragon Ashといえば、日本を代表するロックバンドであり、通常のバンド編成に加え、DJとダンサーがいるという、昔から、いや今に至るまでなお、こんなバンドは日本はおろか世界中どこにもおらず、まさに唯一無二というのはこのバンドのためにあるかのような言葉かもしれない。

 

ロックはもちろん、ヒップホップやラテン等、様々な音楽を混ぜた『ミクスチャーロック』はDragon Ashにしか出来ない芸当であり、音楽シーンに彗星のごとく現れ、ロックバンドでありながらも、日本にヒップホップ文化を根付かせた要因の一つになったと間違いなく言えるはずだ。

しかしそれだけに留まらず、常に音楽性を変化させながらも、Dragon Ashというブランドは全く損なわれることはなく、むしろ時代毎に固定のファンがいることや、今のラウドロックメインのサウンドになってもファンが増え続けていくなど、もはや一言で簡単に形容できないバンドだ。

また、90年代後半から日本にフェス文化が生まれだし、そして20年以上が経ち、ロックシーンやフェス文化が日本全国に根付いた今もなお、フェスに出れば昔から今までメインステージに出演することが当たり前であり、かつトリを飾ることも多く、全てをひっくるめて見ても、紛れもなくモンスターバンドと言えるバンドの1つだ。

 

そのDragon AshがDragon Ashたる要因の一つとなっていたのが、他ならないダンサーであるATSUSHIとDRI-Vの存在であり、自分自身も何度もライブに参加してきたからこそ言えることだが、演奏と共に踊る彼らの姿に興奮させられたこともとても多かった。

 

だからこそこれからもずっとこのメンバーでDragon Ashはやっていくものだと思っていたため、この発表は青天の霹靂であり、2人が抜けてしまうことにショックを受けた方も少なくはなかったはずだ。

 

また、昨今の状況下において、7人でのラストライブが出来るのかとも思っていたが、東京の立川ステージガーデンにてラストライブを行う運びとなり、それに伴いライブにおけるガイドラインを順守することと必然的になり、来場者の入場制限やマスク装着の義務化・大声を出すことを禁止するなどの措置が取られた。

 

また、今回は遠方からの来場が出来ず、公式側からも遠方からのご来場はご遠慮くださいというアナウンスがされたこともあり、昨今の主流の一つとなっている配信ライブとして様々な動画配信サービスでライブが見れるため、日本中どこにいても7人のラストライブを見ることが出来るようになった。

ちなみに筆者も配信ライブから今回のライブに参加した。

 

今回は、昨日行われた、ATSUSHIとDRI-VのDragon Ashでの最後のステージ・7人のDragon Ashのラストライブをレポートしていく。

なお、リアルタイム配信は終わったが、6日からアーカイブ配信がされ、チケット自体も9月13日まで3000円で購入が出来るため、気になった方はぜひ購入し、7人の最後のステージを見届けていただければと思う。

19時から配信が始まったが、ガイドラインを順守しなければならない為、会場内は静まりかえっており、これから本当にDragon Ashのライブがやるのか一瞬不安に思うほど、普段のライブとは違った開演前の時間が流れる。

 

15分ほどした後客電が落ち、スクリーンにATSUSHIとDRI-Vの2人のダンス映像が流れ、その映像にグッと来ていた中、スクリーンがゆっくりと上がっていくとATSUSHIとDRI-Vのダンスから始まる。

STREETとフロントに描かれ、後ろに各業界の方の名前が入った袖のないパーカーを2人とも着用し、肉体の内側の心の気持ちを表現し、魂を3次元に表すダンスをするATSUSHIと一つ一つの動作のキレが細かく、緻密に計算されたダンスをするDRI-V。
同じダンサーでありながらも、2人の踊りの違いをじっくり眺められ、その凄さに改めて驚かされると同時に、これで最後なのかとも思わされ、ふと悲しさも襲ってくる。

一連の踊りが終わり2人が客席に頭を下げ、一度下がった後、ゆっくりと他のメンバーが袖から登場し、ATSUSHIとDRI-Vも違う衣装に着替え改めて7人がステージに揃う。

ボーカルのKjが1人ずつメンバーを紹介していき、今日が7人の最後のライブです。どうぞ見てやってください。Dragon Ashですよろしくお願いします。と客席に挨拶をし、A Hundred Emotionsからスタートする。

音楽は鳴り止まない 感情はやり場がない 日々を音楽が助け出す様に 君の感情が溢れ出す様に

まさに今の状況をこの歌詞は歌っているかのようであり、今だからこそ日々を音楽が助け出し、感情が溢れるための起爆剤になるためのライブが、今は希少価値が上がった結果、感情に訴えかけるパワーが何倍にも膨れ上がっているのは間違いないだろう。

そのままFly Over、Mix it Upと普段なら盛り上がり間違いなしの楽曲からのOde to Joyでは、DRI-Vが特殊な光る棒を持ち、それを手首の力で振り回すとDragon Ashのロゴや今回のライブロゴなどが立て続けに浮かび上がる不思議な仕掛けに釘付けとなる。

2番ではATSUSHIにダンスが交代し、最後のサビの前にATSUSHIが掲げたフラッグの真ん中にはDA CREWと書かれ、かつ周りにはファンからの寄せ書きメッセージが書かれたフラッグを掲げ、これまで築き上げたDragon Ashとファンの絆をステージに掲げ、まるで20年分の感謝を表しているかのようだった。

機材と共に飾られていた赤と青が半分のチェックシャツとベースが飾られ、2012年に急逝したベースの馬場育三に捧げたWalk with DreamsからNeverlandとここまで最新アルバムから順に遡っているためこういう順番でいくのかと思った矢先、次の曲のイントロをKjが口ずさみ出した瞬間、誰もがおおっ!となった。

まさかの陽はまたのぼりくりかえすがこの序盤のタイミングで入ってきた。

誰しもこの曲はセットリストに入ってくると思っていただろうが、まさかこんな序盤に来るとは誰も思っていなかったはずだろう。

この曲が発表されてからすでに20年以上の時が経っているが、今もなお曲に込められたメッセージ性は胸を打ち、個人的には今色々な事が起こり精神的に参っていた部分が知らずのうちにあったのか、途中から嗚咽でまともに見れなくなってしまっていた、

 

こんな状況でライブやるのが正解なのかどうか分からないけど、ライブがないのは嫌だし、やらないよりはやる方がマシだから。最後まで楽しんでいってください。とKjが語りかけ、去年からライブで披露されている新曲のダイアログをプレイした後、ラテンのリズムで客席を沸かすBeautiful、その昔携帯のCMで多くの人が聞いたことがある人生を歌った彼らの代表曲の一つでもあるLife goes on、仲間の事を歌った名曲繋がりSUNSETと彼らの代表曲を次々とプレイしていき、心地よくも心が沸き立つ感情を何度も覚えていると、アルバムTHE FACESのジャケットのお面を着けたDRI-VのダンスからBlow Your Mindが始まると、最近中々聞けなかった楽曲に別の意味でテンションが上がった。

 

しかし、ここからがこのライブ最大のハイライトだったかもしれない。

次に披露されたのはなんと2004年に発表され、その後一切アルバムに収録されることのなかった楽曲であるShade。
これには多くのファンが驚かされ、後でネット上で感想を見てみたところ、長年Dragon Ashのファンでも初めてライブで聞いたという方も数多くいた。

そこからさらにアルバムLILY OF DA VALLYからこれぞミクスチャーロックとも呼ぶべきAim High、2000年に発表し、サビでは全員が同じ振り付けをし声を出せない会場を盛り上げたAmploudと、Instagramでドラムの櫻井がATSUSHIとDRI-Vの2人がやりたい曲を盛り込んだと言っていたが、まさかここが来るか!?とファンを驚かせたレア曲のオンパレードにテンションはすっかり青天井だ。

静かな日々の階段をやJumpでは普段ならばできるはずのジャンプが出来ない状況を鑑みてか、普段は盛り上げ役に徹するKjも飛ばず歌うことに専念し、ファンと同じ制限を自身にも課すことにより、お互いが制限のある中で今やれる最大限の楽しみを作り出していく。

 

百合の咲く場所でに入る前に、Kjは俺たちの歌にはこんなに皆にシンガロングしてもらう曲があって、そういうので皆とやってきたんだけど、こういう状況になって楽しみが制限されたけど、また前みたいなライブを諦めてないし、その時まで皆も、どうか音楽を好きでいてください。とKjなりのメッセージを放ち、こんな状況が終わり、これまでのようなライブハウスで再開を願えるように百合の咲く場所でをプレイする。

 

そしてお馴染みの電子音が流れ、あの曲が来ると誰もがわかった。

しかしその前にKjがこうやって皆が歌えないから俺が歌うしかなかったんだけどやってみたら俺歌うところ超多いね!とおどけながら改めてこれまで生み出してきた楽曲の事を語り、次にやるFantasistaは、本当ならいつも三密どころじゃない濃密な空間でやってるから、それが戻るまではもう二度と歌わないと衝撃の報告をする。
けど今日がATSUSHIとDRI-Vにとってスペシャルな日だからその日が来るまでの最後にやらせてくださいと、ライブアンセムのFantasistaが始まるが、同時にこれが当たり前のライブに戻る前の最後のFantasistaになってしまった。

また、いつもならば腹の底から声上げろ!とKjが煽るのが定番だが、さすがにそうもいかないため、皆の代わりにBOTSと櫻井が声を出すことになり、普段のみんなの分も2人が出すんだよ!?とKjが言っていたが、2番になるとそうだ俺も歌えばいいんだ!とよくよく考えれば当たり前のことに戻り、普段なかなか見ることの出来ないKjが叫ぶという珍しい1シーンとなった。

もちろん配信で見てる自分も叫んでいたが、おそらく配信で見てる誰もが大声で叫び、会場にいるけど声を出せない方の分も叫んでいたことだろう。

 

本編最後は、これからのDragon Ashと脱退するATSUSHIとDRI-Vそれぞれの未来に幸多からんと言わんばかりに、まさにこの日のためにあるかのような歌でもあった、アルバムMIXTUREからのTIME OF YOUR LIFE。

響け親愛なる人へという歌詞を櫻井がドラムを叩きながら歌っていたのだが、2番の最後に響け親愛なるダンサーと歌詞を変え、完全にサプライズ、あるいは思いつきだったのか驚いたATSUSHIの表情が抜かれていたのが少しチャーミングだった。

 

声が出せないため手拍子でアンコールを求めるしかなかったのだが、それでもアンコールを求める方々が手拍子を続け、まだこの時間を終わらせないように懸命にアンコールを求める姿に、スクリーン越しだが胸を打たれてしまった。

 

アンコールが始まりゆっくりとライトが灯り始めると、シングルHere I Amに収録されていたDance With AppsをBGMとして今一度ATSUSHIとDRI-Vのダンスが始まる。

 

自身の体をまるでキャンバスにし、内面に溢れた感情や心象風景を3次元に可視化し、ダンスというものを通り越しその時間を通して自分自身の体一つだけでアートを作成するようなATSUSHI。

 

一つ一つの動作を極限まで極め、最新技術と共にパフォーマンスをするという、一瞬でもズレたら崩れてしまう中で寸分の狂いもなく完璧にパフォーマンスをし、むしろ技術がDRI-Vに合わせて動いているかのようにも感じるテクニカルなダンス。

 

最初にも言っていたが、ダンサー、と一言で括られてしまう中で、改めて両者それぞれのパフォーマンスがあり、こうして改めてソロのダンスとして見ると両者の違いが本当に色濃く出ており、アンコールで改めてこの2人がいてくれたことがどれだけかけがいのないものであったのか改めて振り返ることができ、そしてもう間もなくこのライブ終わってしまうのだと思うと、寂しさも否応なしに込み上げてくる。

 

ソロのダンスが終わり改めてメンバーがステージに揃い、ツアーでも中々披露されることのないHarvestからアンコールが再開する。

ここ数年のDragon Ashのライブでは定番となっており、披露される度に都度名シーンが生まれるLilyでは、歌詞にあるあと少し 咲いて 泣いて 笑っていたいからと、このステージに名残惜しさを感じるかのようにも聞こえ、もう少しでこの時間が終わってしまうことを伝えるかのようにも聞こえ、これまでで一番センチメンタルに聞こえた。

 

最後の曲の前に櫻井のMCからDRI-VとATSUSHIがMCをすることになり、DRI-Vはこのために手紙を書いてきましたといい、その手紙の朗読を感謝とし伝えた。

ATSUSHIはここまで支えてきれてくれた仲間や家族、スタッフやメンバーに感謝を伝える。
また、メンバーへの感謝では、亡くなられた馬場さんはもちろん、正直いい別れとは言えなかった前サポートベースのKenKenにも感謝を伝えており、これまでDragon Ashを作ってきた全員に感謝を伝えるところにATSUSHIの人間性をとてもよく感じ、同時に20年で様々な別れをDragon Ashが経験してきたと感じた瞬間でもあった。

 

このMCに関しては、多くを書くよりかは、ぜひまだ購入が出来るため、2人の口から語られる言葉の熱や空気感、抑揚やトーンを感じながら、一言一言噛み締めて聞いてもらえればと思う。

 

最後に櫻井が悲しい別れが多かったから最後は笑顔で見送りたいというMCから、ラストは彼らのアンセムであり、これからの新しい未来を作っていくための革命の曲Viva la revolutionで、演者と客席にいる全員でピースサインを掲げ、悲しいけれど笑顔で2人を見送ることが出来た。

 

ステージから去る前にATSUSHIとDRI-Vの2人のみになり、右から左全てに頭を下げ感謝を伝え、ATSUSHIは目に涙を浮かべており、そしてついに2人がステージ袖に下がり、7人のDragon Ashのライブが終わった。

 

エンドムービーでは、今回のライブ用に撮られた写真撮影のメイキングや過去のライブ映像、そして最後に作られたアニメーション映像では、7羽の鳥が飛び立っていき、様々な瞬間を過ごした後、最後に5羽と2羽に別れ、2羽はそれぞれ新たな方向へ向かっていく・・・というラストで有終の美を飾った。

言わずともがなだが、この鳥はDragon Ashを表しており、5人でこれからも進んでいくメンバーと、別々の道に別れていくATSUSHIとDRI-Vという、これからの互いの道に幸多かれと感じざるを得ない、この日に相応しいラストムービーだった。

 

 

本来、コロナウイルスがなければこれまで通りのモッシュダイブなんでもありのぐっちゃぐちゃのライブハウスでのライブを望んでいたことだろう。

しかし、こんな状況になり、開催できるのかどうかも不安になっていた方も多かったであろうが、なんとか開催にこぎつけ、結果として7人のラストライブが行えたことは本当にファンとしては嬉しかった意外なかった。

そして、結果として最高のライブであったのは間違いなく、今年のベストライブだったと言っても過言ではなかった会心のライブだった。

 

これから5人になったDragon Ashと、別々の道に進んでいく2人だが、ライブ終了後すぐ、ATSUSHIは来年パリでワンマン公演を2daysで行うことが発表された!

おそらくDRI-Vももちろん、Dragon Ashもまた、これから発表していく活動もあると思われるため、これからの彼らに期待しかないと言えるはずだ!

 

それこそまさにDragon Ashが望んでいることであり、これからもずっとこの7人を応援していきたいと思う。

 


それぞれがまだ夢の途中さ 振り向かず行こうぜ船を漕ぐんだ その先で逢って充実を笑いたい
(TIME OF YOUR LIFE/Dragon Ashより引用)