G-FREAK FACTORY × HAWAIIAN6【JUNK REBIRTH!】レポート

個人的に、この日以来のライブとなった。

SCOOBIE DO TOUR「Have A Nice 25周年!Season 1」 スクービーとACIDMAN、初対バンから18年、FLEEZで、再び。ライブレポート

2020年2月24日。

この日のACIDMANとSCOOBIE DOの対バンライブは、唐突にライブ行きてー!と思い立ち急遽行ったものだったが、今思えば行っておいて良かったとしか言えない。

 

この日、いやこのライブから1週間後頃から、ご存知の通り新型コロナウイルスが日本でも流行り出し、ビックリするほどあっという間に日本のほぼ全てのライブやイベントが中止・延期になっていった。

加えて、大阪のライブハウスでクラスターが発生したことがニュースで取り上げられるようになると、たちまちライブハウスはスケープゴートにされ、標的とされた。

 

そこからの日々は、皆さんご存知の通りだろう。

ライブハウスは人も演者も誰も来れなくなり、潰れるライブハウスも少なからずあった。

今年の話だが、あの新木場STUDIO COASTがなくなるというのも、ライブ好きからすればまさか、としか言えない青天の霹靂だった。

 

そこから年が明け、少しずつライブやイベントも行われるようになったが、夏の医療崩壊ともいえるデルタ株の猛威や、某フェスでのルールを守らなかったことが取り上げられると、進んだものがまた振り出しに戻され、結果それでライブやイベントが中止になるなど、進んでは戻るを繰り返し続けてきたライブ業界。

 

個人的な話になるが、今回紹介するこのライブは本来8月に行われる予定であり、この8月のライブと9月に佐久で行われる予定だったNAGANO ANIERA FESTAの2本に参加し、それで今年のライブは終了すると決めていた。

そこに向けて、ワクチン接種の予定を立て、打つなどし、準備は万端であったが、HAWAIIAN6とG-FREAK FACTORYの2バンドともにメンバーにコロナ陽性が発覚し延期となり、かつ、NAGANO ANIERA FESTAも、開催予定だったが某フェスの余波もあり、開催直前に中止となった。

加えて、このライブは本来、長野CLUB JUNK BOXの移転に伴うラストイベントという名目もあったため、その場所でライブを見れるラストチャンスを失ったのだ。

 

そして、これはもう誰が悪いというわけでもないのだが、これは嫌われても仕方ないが、正直にライブ中止・延期というのが発表された当時の気持ちを話す。

SNS上で関東などに住んでいる方がライブやイベントに参加しているのを嬉しそうに投稿しているのを見て、なんで新規感染者がバンバン出てる東京がライブ見れてそれよりも少ない田舎のライブが中止されなきゃなんないんだよ。と、一人不貞腐れ、凹み、一時期冗談抜きでライブに行っている知り合いだろうがそうでない人だろうが誰も彼もをを恨んでいたこともあった。

なので、延期公演が発表された時も、正直気持ちが折れていたところもあり、払い戻しをし行かないという選択肢を考えたことも一度や二度ではなかった。

 

しかし、時が経つにつれ、このまま何もないまま終わりたくないという想いが日を増すごとに募り、かつ、ワクチンの全国的な接種率増加に伴う新規感染者の減少により、今なら行っても問題ないと思え、行くという決断をした。
無論、このことは家族には言わず、自分ひとりで責任を負う事にした。

 

ライブの前日まで、明日どうなるんだろう。音が鳴ったら泣くのかなと思っていたが、正直に言う。全然泣かなかった(笑)

というより、むしろ、気持ちは何も変わっておらず、悲観的になることなど全くなく、最後に行ったライブと同じ、楽しいという気持ちしかなかったのだ。

 

個人的に643日ぶりとなった、ライブハウスに久しぶりに帰れた一夜をレポートする。

HAWAIIAN6

この日の先行はHAWAIIAN6。

まず、始まる前に、新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に減っていることで、ライブをはじめとした公演のルールが少し変わり、大声はまだダメだけど、ちょっとくらいならOKになってるみたいだと、刻一刻と良くも悪くも流動的に変わり続けるライブハウスのルールをドラムのHATANO(敬称略)の口から語られ、彼らが言うところの、中声でファンも応える。

空風吹きすさぶようなBurnから始まると、演奏中は暴れたい気持ちをこらえつつ、かつ、先ほど出してもいいと言われていた声もしっかり抑え、守るところはしっかり守るHAWAIIAN6のファンの堅気なところにはさすがの信頼感としか言えなかった。

 

4曲目のI Believeまで終わるとMCをし、現在のこの状況下を語り、ソーシャルディスタンスとか言われてるけど、俺はこれを愛情ディスタンスだと思ってる。だって肩がぶつかったくらいで死なないだろ?それなら山手線なんてもうみんな死んでるよ(笑)と冗談めかしながら、フロアに線が引かれている現状について語る。

 

そしてこの新しいJUNK BOXについて話し出し、新しい歴史が始まっていくことを本当に嬉しく思うと、新生JUNK BOXの移転を祝いつつ、本当なら8月公演を行う予定だったところ、YUTAが流行り風邪(新型コロナウイルスのこと)にかかってしまい、それでG-FREAK FACTORYの茂木に電話をし、ワンマンになってごめんと電話越しに話をし、おう任せろ!と言った30分後に、ごめんウチもだと折り返しかかってきたという、今となっては笑い話となった当時の事で会場を湧かせる。

 

でも、今日はジャンクの閉店イベントの振替で場所は変わったけど、ライブへの想いは何にも変わっちゃいねぇからよ!と焚きつけると、そこに更に火を点けるかのようにTHE LIGHTNINGやMAGICなど、コロナ禍になっても全く失われない輝きを持つ曲たちが、普段ならばモッシュダイブでそんな状況ではないが、その場にいることがルールとなっている現在では、改めて曲の持つパワーだけでなく、このコロナ禍で歩みを止めなかったバンドというものがより一枚岩となってさらに曲に磨きをかけている印象があり、正直、アホな言葉かと思うが言わせてもらう。改めて、いい曲だな、と。

 

終盤、HATANOはMCで、バンドの人はかわいそうとか言われるけど、俺は全然そう思ってなくて、そもそもコロナの前からやってらんねぇとかなんでだよとか落ち込む日はあったわけじゃん。で、じゃあ今なんでやってんのか?って言われたらお前らと会いたいからだよ。と、真っすぐぶれずに、コロナ禍になる以前から何も変わらず、ライブハウスでみんなと会えることを心待ちにしており、その信念は1mmも変わっていないことを語る。

そんなHATANOもとい、こんな状況下になってもずっとライブハウスで変わらずに戦い続けてきたHAWAIIAN6だからこそ、心と体を大切に。会いたい人には会いに行け。肩がぶつかってなんだよって思うかもしれないけど、終わった後に握手しろ。その方が絶対に気持ちよく終われる。で、帰ったら思いっきり手を洗え!と、ユーモアを混ぜつつ前向きに、こんな状況になったからこそポジティブに進んでいこうという前向きなメッセージと共に、希望が降ってくるかのようなStar Falls On Our Hands Tonight・明日からまた何かが始まる。という予感を感じさせるBrand New Dawn。悲しみを乗り越えさせてくれるようなRAINBOW,RAINBOWと、彼らなりの前向きなメッセージが詰まりに詰まった楽曲の連打に声は出せなくともライブハウス内に多幸感が充満していく。

 

そして最後に、教師とか医療従事者とかで来れないやつがいたら、よろしく伝えといてくれとメッセージを残し、ラストは再会を誓う約束の歌、Promiseで久しぶりの長野でのライブが終わった。

 

もはや20年以上バンドをし、ベテランと呼ばれるバンドと言える一つでもある。

自分自身、もう何年にも渡りHAWAIIAN6を見続けてきて、どんなライブをやるのか・どんなお客さんがいてどんな雰囲気になるか。というのはわかっていたが、コロナ禍になってからHAWAIIAN6がどうなっているのか。ダイブモッシュがなくなってガラッと雰囲気が変わっているのだろうな。と、ライブを見る前は正直思っていた。

 

しかし、冗談抜きで言うが、ライブが始まったら、いい意味で何も変わらず、これまでのライブと同じように楽しめ、HAWAIIAN6最高だなと純粋に思えたのだ。

バンドとしてライブハウスに今も在り続け、視覚的に変わったのがだからどうした?と言わんばかりに、こんな状況になっても、いや逆にストレスをファンに与えてしまっているからこそ、100%以上の力でライブを続けてきた彼らだからこその説得力。それを見せつけられた時間だった。

G-FREAK FACTORY

そして後攻は、今週末に自身の主催する山人音楽祭を控える群馬のビジュアル系バンド(本人たちが言ってるから文句は本人たちに)G-FREAK FACTORY。

サポートキーボードの多畠を含めた楽器陣が持ち場につき、ダブを基調としたセッションをSEとし、DOPEな雰囲気が会場を包むと、ゆっくりと茂木が登場し、SOMATOでスタートすると、BE ALL AROUND・REAL SIGNと、潜めた牙を一気に見せつけるかのように序盤から一気に畳みかける。

 

そしてG-FREAK FACTORYもまた、8月のライブについて触れ、珍しくドラムのポンさんにMCを振るなどかなり和気藹々としたMCをしていたが、この後に本人から、久しぶりの対バンライブで浮かれてると言われれば、そりゃ納得である。

さらに珍しく、ギターの原田にも触れ、8月より前に、ヤバいTシャツ屋さんのJUNK公演をヘルニアでキャンセルしたことについて自身の口から語るなど、場所は変わったとはいえ、冗談抜きでG-FREAK FACTORYからすれば、三度目の正直でやっと立てたステージだと思うと、笑いながらも感慨深くなった。

 

その後にFLAREやSO LONGなど、去年出した最新アルバムVINTAGEから立て続けに曲を披露した後、茂木はHAWAIIAN6をもう15年ほど見てるけど、今日が一番健康的だった。そしてこのコロナの中でHAWAIIAN6はまた一段と強くなって、それが悔しくて誇らしい。と、この状況下でバンドとしてより強固になった彼らを褒める。

 

さっきはっちゃんも言ってたけど、なんでやってるんですか?ってあったけど、それはそうで、このコロナ禍になってライブハウスは真っ先に槍玉にされて、色々なレッテル貼られて、それが良くなったと思ったらまた戻ってを繰り返して、そんな中で答えを出せないまま3,4時間HATANOと電話して、結論が出ないまま周りまわってばっかりだった。

そんな中で今回JUNKのイベントに呼ばれた話をし、俺らはいつもJでやることが多くて、なかなか縁がなかったけど記念のイベントで呼んでくれたと、先ほどの言葉以上にG-FREAK FACTORYが長野CLUB JUNK BOXに立つということは、想像以上の意味を持つことがわかった。

 

で、前のJUNK BOXがなくなった時に少し休めばいいじゃんとか誰かしら思ったかもしれない。と切り出し、でもこうしてめちゃくちゃ急造のステージかもしれないけど、照明からステージの高さまで考えて短期間で新しいJUNK BOXを作り上げた。それはなんでかと言うと、この長野を引っ張ってきたシーンを絶やさないため。長野Jや様々なフェスがある中で、縦に長い長野の音楽シーンを引っ張っていくため。前みたいに火を灯すのは難しいかもしれないけど火を付けた。教師とか医療従事者とか来れない人もいて、でもそんな中で今日お前らはひょっとしたら嘘ついてまで来たんだろ?覚悟と責任もって、嘘ついてまで来たやつもいるんだろ?そうやってこの場所を大切にしてくれるアホどものためにこの場所はあるんだよ。と、コロナ禍で我々のようなライブフリークが周りに嘘をついてまで来る覚悟を受け止める場所として、この短期間でJUNK BOXが再始動したことについて茂木は淡々と、熱を込めて話していく。

 

6年もしたらAIが人を越えて、人を支配するようになると言われている。でもそんな中で人が唯一勝っているものが、アナログ。情報が溢れ過ぎて必要でもないのに目に入ってくる情報に振り回される中で、人間に残されたアナログなもの。こうしたライブをはじめとした生の時間こそアナログで素晴らしいものと、ライブをはじめとした生のエンターテインメントの時間の大切さを説きつつ、だから長野のやつ、長野の音楽シーンを守ってくれ。それはお前らがやること。誰も守ってくれないんだ。火を絶やすなと語った後のFire、Too oLD To KNoWの持つメッセージは、先ほどのMCと相まって、改めて現在、人としてどうやって生きるかを問われているかのようだった。

 

そこから先ほどのHAWAIIAN6のMCで言っていた、かわいそうという事に茂木も触れ、自身が現在地元の小学校にヘルメットを配っている活動を行っている中で、修学旅行などの学校行事がなくなってかわいそうにと思っていたそうだったのだが、当の本人たちは全然悲しんでおらず、かわいそうと思う事自体時には邪魔になるのかもしれない。と子供たちの姿勢から教えられたことを話した。

そこからG-FREAK FACTORYの代名詞とも言える名曲ダディ・ダーリン。そして最後には、こんな状況下になっても愛を持つこと、ここに集まったバカ共にそのままでいてほしいというメッセージも込められているような気持ちにすらなる、らしくあれとで本編は終了した。

 

アンコールに呼ばれ登場すると、来週に迫った山人音楽祭の話となり、詳細は来た人だけの秘密にしておきたいため伏せるが、1日目に出るバンドと2日目に出るバンド。その両方ともにG-FREAK FACTORY、いや茂木が交渉し、全バンドとんでもないスケジュールの中で出演することになった経緯は胸が思わず熱くなった。

 

中でも、今日も対バンしたHAWAIIAN6は、詳細は伏せるが、この後のブログを読む前に、彼らのホームページへ飛び、HAWAIIAN6のライブスケジュールを見てほしい。

その日程を踏まえた上で、出演をOKしたということはどういうことなのか。

はっきり言って、断ることも出来た中で首を縦に振ったHAWAIIAN6の漢気には感服しかなく、同時に、このバンドは今も昔もバンドマンとして第一線を走り続けているから、今もかっこいいのだと改めて思わされた。

 

そして最後に、限りない故郷に愛をと叫ぶ日はまだ高くでその場にいる全員が現在許される行為であるジャンプをここぞとばかりにし、ピースフルな気持ちでアンコールが終了した。

(ちなみにこの後、ダブルアンコールもあったそうだが、残念ながら時間の都合で自分がいたのはここまでだった。)

 

今日のG-FREAK FACTORYのライブを見て、あの場にいた誰もが何も思わなかったわけはない。

茂木はHAWAIIAN6はこのコロナ禍でより一層カッコよくなったと話していたが、それはG-FREAK FACTORYもそうだ。

かつ、G-FREAK FACTORYはカッコよさに加え、先見性や言葉に対し説得力が前以上に増し、バンドマンでありながらも、その言葉の重み(とあの素敵なビジュアル)から、茂木がまるでシャーマンではないかと錯覚する場面もあった。

生のライブという、参加する側からすれば生身と生身の人間の感情が入り混じったアナログなものが今では必要とされず、人によってはいまだにコロナの温床と思うかもしれないが、しかしその愚直なまでに汗をかいて人間にとって不必要と切り捨てられるかもしれないが、逆にこんな状況だからこそ、アナログが出せる必要な成分がギュッと濃縮し、それが必要な時や、必要な人もいるのが確かだ。

今回参加してみて、改めてライブという生の時間は本当に贅沢な時間だと自分自身感じさせられた。

それは、ライブが素晴らしい・音楽が素晴らしいなど、一言では言い表せない、様々な感情や想いが入り混じった時間を共有し、体感しているというのは、デジタルや配信ライブが多くなってきた中でも、この感情は味わえないと感じたのだ。

もちろん、現状まだ行くことが難しいのも重々承知しており、かつ、現在南アフリカで新型コロナの新たな変異種が生まれた中で、今後また振り出しに戻る可能性も大いにあり得る未来だ。

しかし、こうして参加してみて、やはり自分はライブが好きだと感じた。

なので、無理にとは言わないが、茂木が言ったように、再び灯った火を消さないように、サポートできるのであれば、ぜひサポートをし、火を消さないようにしてほしい。

それが何年後・何十年後に、あんなこともあったねと笑いあいながらアホみたいに酒を飲み、ひとたびライブが始まればぎゅうぎゅう汗びちゃびちゃの大声出しまくり。

そんなライブにもう一度戻すために、少しずつ、少しずつ、取り戻していくために、今は出来る事をしたいと、改めて思わされた一夜だった。