Age Factory presents “twilight 2024” ライブ映像 レビュー

まず、この記事を出している12月10日時点での話にはなるが、筆者はこの週末、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて行われる、Age Factory主催のオールナイトイベント【[AGE UNCOVERS THE TRUTH] SUPPLIER x AgeFactory presents ALL NIGHT PARTY】に参加する予定である。
故に、この日のライブレポートも、当然書くつもりではいる。

だが、その前に、どうしても見ておきたい映像があった。

それが、今回紹介する、今年の9月1日に日比谷野外音楽堂にて行われた、ワンマンライブ【Age Factory presents “twilight 2024″】のライブ映像だ。

 

このライブ映像は、現状、というよりもおそらくこの先もそうだと思うが、彼らの公式有料ファンサイト【AGE APARTMENT】にて独占配信となっている。
そのため、DVDやBlu-rayといった、映像パッケージとして買えるわけでもなければ、どこの映像配信サブスクリプションサービスでも見ることは出来ない。

だが、個人的にそれこそいいと思ったのだが、この公式ファンサイトは、純粋なAge Factoryのファンしかいないサイトであり、ここにお金を払うということは、その人がどれだけの濃いファンなのか、どれだけAge Factoryを知っているのかはわからないし、正直なことを言えば、どうでもいいのかもしれない。
が、少なくとも、これを支払うぞ!ということを決めた人は、腹が決まっている人ばかりだろう。

 

と、少し話が逸れたが、その公式ファンサイトで、大事なライブの一つを配信をするというのは、Age Factoryのファンからすれば、それこそ求めていたもの、とまごうことなく言えるコンテンツであろう。

だからこそ、この直近で、唯一しっかりと映像化された本作を見ておくことこそ、今週末に行われるライブの予習としては最適だと思い、今回見ることにしたのだ。

 

無論、ライブに何本も足を運んでいる人には勝てないことは百も承知であり、かつ、そもそもこのライブ自体、公演終了後に、リアルタイムライブレポートも各音楽サイトで公開されている。
なので、二番煎じ三番煎じどころか、そもそももうそういったものを読んでいるから、中身やどんな公演だったのかをわかっている人も多いだろう。

だが、映像になったからこその見え方や魅せ方、カット一つに対するこだわり等、ライブとはまた違う良さが、映像作品にはあるため、ライブを見た人・ライブレポートを読んだ人にも、是非とも読んでいただきたいと思う。

まず、映像を見て真っ先に筆者が感じたことなのだが、映像自体の画質が、意外と高くない、ということだった。

そんなもの映像を見るのには関係がない、と言われればそうであり、かつ、この日は雨、時々曇り、というような天気であり、お天気に恵まれている、とは決して言えない天候だったため、ただ日光が差していないからそう見えるだけなのかもしれないが、とはいえ全体的に薄暗い印象を受けるが、それこそこの日のライブタイトルであるtwilight・日本語で訳すなれば夕暮れ・黄昏時の暗さを映像で表現をしているのかもしれない。

 

そんな悪天候だからこそ、始まる前まではずっと雨が降っているため、誰もがカッパをフードまで被るのはもちろんのこと、座って待っている・見ている人は誰もいない。

そんな状況の中でAge Factoryのメンバーが登場し、まるでこの悪天候すら、真夏の夢のようだと言わんばかりにParty night in summer dreamからスタートし、この悪天候すら切り裂くShadowに繋げば、ヒリヒリとしつつ、ロックンロールかくあるべき、と言わんばかりの、ストレートなロックサウンドが立て続けに雨の日比谷野外音楽堂に鳴り響いていく。
尚、既にこの日のセットリストは世に出ているため全曲の紹介については割愛をするが、それでも筆者がこのシーンは良いシーンだな、と思った部分を随時この記事ではピックアップをしていければと思う。

 

ここにいるみんなで忘れられない日にしたいです、と、ボーカルの清水英介は語り、日比谷野外音楽堂はなくなるが、雨でも台風でもやれるなら、見に来てくれる人がいるならどうしてもやりたかったと、その言葉の後に語る。その表情は変わらず、淡々としているものの、言葉の端々から、想いや熱意がヒシヒシと伝わってくる。

 

思うのだが、昨今、ここまでクール、というより、ポーカーフェイスとでも言うべきか。こんなに表情が変わらないバンドのボーカルは、非常に稀有であろう。
加えて、言葉数も、決して多い方とは言えないのだが、その僅かなMCだけで、的確に心を掴み、それでいて、聞いている相手に熱量高く伝わる・届ける話し方をするバンドのボーカルというのは、いるとは思うが、とはいえこの年代で見れば、清水英介以外いるだろうか、と本気で思っている。
これはあくまで一個人として思っていることだが、5年後も10年後も、きっとこのスタイルを崩さない気がしている。

 

そんなことを思いながら、俺等のために作った歌がみんなの歌になって、ここにいてくれることを誇りに思いますと伝え、一緒に歌ってくださいと呼びかけ、ここにいる全員仲間、ではなく、友達、と思い、歌うDance all night my friendsでは、ここに集まったファンの歌声を聞くために、マイクの前、ステージと客席のギリギリまで赴き、その歌声を聞きながらギターを弾く清水英介の表情は、まさにこの映像作品だからこそ収まっている、満悦、と言わんばかりの表情をしているそのシーンは、必見である。

 

見えないところまで繋がりが届けばいいと語り、この景色を焼き付けて帰りますと語った後のBlood in blueでは、これまで使用されなかったライトがこの曲で初めて使用され、青く光るライトは、曲と合わさり、徐々に高揚感やワクワク感が高まっていく印象を増長させていくと同時に、ここから段々、見ていく方でもわかるくらい、空が少しずつ暗くなっていくのがわかっていく。
と同時に、気付けば雨があがり、フードを被っていた人が次々フードを外していく。のだが、この曲からまた数曲後には、雨脚が戻るなど、このライブは本当に、天気が刻々に変わる様を残しており、こんなに雨が降ったり止んだりが繰り返した日比谷野外音楽堂のライブ映像も、珍しいのではないだろうか。

その暗くなり、夏の夕暮れ時特有の、ブルーアワーとでも言わんばかりの時間に鳴り響くEverynight・HIGH WAY BEACHの2曲が終わり、ここから友達を多く招くという時間という触れ込みからの、JUBEEを招いたAXL・yonigeの牛丸ありさを招いたALICE・lil soft tennisを招いたmayと、普段のワンマンライブでも中々見れないであろうゲストとのコラボ曲3連発で、最初で最後の日比谷野外音楽堂のライブをよりレアなものに、そして忘れられないものにしていく。

 

そんなコラボ曲ゾーンとも言える展開の後に、2014年に出したEPからのプールサイドガールという予想外の選曲の中で、それに高まる観客の拳が一様に挙がって様も見どころではあるのだが、本当に一瞬だけ、参加しているファンの一人である男性の表情がアップで一瞬だけ映るシーンがあるのだが、個人的に、あの表情が本当に素晴らしく思う。

一言で言うならば、感情が爆発している。そういう表情なのだが、あれこそ、ライブに行っているからこそ生まれる表情であり、ただ音源を聞いているだけでは絶対にならない表情であると思っているため、あの表情を撮影していたカメラマンも、この映像に入れようと決めた監督のセンスの良さが際立っていると言える。

 

そして、この後に個人的にこのライブ映像で最も好きなシーンが2つ連続で続く曲がある。
君、思ふ頃にて、一度だけ使われた、くもってぼやけた清水英介の後に、おそらくデジタルカメラで撮ったであろう、荒い映像の中でアップで歌うシーンなのだが、このぼやけ具合に加え、荒い映像ながらも感情全てがここに入っているかのような映像となっており、このライブ映像は、良くも悪くも、誰もが見れるようにしない映像だからこそ、ファンならば、とても感情に刺さるものがあるはずだと信じたい。

 

加えて、その次に母に向けて書いたというMotherでは、母への想いを語り、なんか歌いたくなったと言いつつも、歌えることへの喜びが隠せないようである。
そんな中で演奏されたMotherは、ライトに特殊効果が施され、木々が影となって映し出されて歌うのだが、この中で、水たまりに反射するメンバーからカメラがどんどん上がり、メンバーの姿を映し出す、という1シーンがあるのだが、これは雨が降っていれば撮れなかった映像であり、かつ、雨の量も、多くなければ水たまりは出来なかった。

なので、もちろん参加されていた方は雨で大変だったとは思うが、この映像を見れば、雨も悪いことばかりではなかった、と思うかもしれない。

 

湿気と雨でギターが1本ぶっつぶれたということで、その調整も兼ねての長いMCを取った後、本当に珍しいのだが、ベースの西口直人・ドラムの増子央人のMCが入る。無論、それも映像に収められている。

中でも、ドラムの増子のMCでは、以前好きなバンド(これは本当にどのバンドなのかは語られていないため不明)の日比谷野外音楽堂でのライブを見に来た際、あまりにも良すぎて売店を何往復もしてお酒を買っていたが、その時の売店のおじさんに、俺もバンドやってるからいつかここでワンマンやりますよ!と、酔っていたため覚えていないのだがそう啖呵を切ってしまったらしく、それに対してその売店のおじさんが、改修工事を知ってか知らずかはわからないが、俺等もいつまで待てるかわからんからはよしてなーと言われたそうだ。

そして、その言葉通り、今日やれました、と口にすると、おそらくこの日のMCの中でも一番と言える歓声が沸いたため、ここはぜひとも空気感や言葉の抑揚含め、見ていただきたいところだ。

 

あと2曲と宣言してからの、ライブでも定番曲のTONBOから、ラストには普段のライブでも中々演奏されない、前作アルバムからのSleep under starで締めるという、意外な本編ラストだが、その際、夜空をイメージし、いつの間にかセッティングがされていた2個のミラーボールにライトが当たる。
幻想的な風景となっているのはもちろんそうなのだが、一方、この映像中に本当の空も映っているが、曇りということもあり、東京の街の明るさを反射しているせいもあり、全然暗くなく、正直明るいと言えるくらいの明るい空だが、ミラーボールが回るこの時間だけは、まるでこの日比谷野外音楽堂こそが、本当の夜空と思えてしまうほどだ。

 

無論、このライブ映像はアンコールも収められており、中々聞くことが出来ない真空からでは、それこそ珍しい、ドラムの増子のツーバスを踏む瞬間も見れることや、この日比谷野外音楽堂で見たあるライブに対し、この会場がより特別なものであることを伝える最後のMCからのまた夢で会おうと言わんばかりのSee you in my dreamで終わる、1時間45分程度と、ワンマンライブであるにもかかわらず、2時間もない。しかし、そうとは思えない、濃密過ぎる映像となっている。

 

こうして見どころをいくつかピックアップして書いたが、もちろんこれ以外にも見どころは沢山あるのは言うまでもない。

それはシーンだけでなく、ベースの西口・ドラムの増子のプレイはもちろんのこと、サポートギターとしてAge Factoryに帯同しているBOYのプレイだけでなく、コーラスまでこなすシーンも多く収められている。
仮に、Age Factoryを知らない人が見れば、正式メンバーと思ってもおかしくないほど活躍をしているため、ある意味、一番見方が変わるのは、このサポートギターのBOYかもしれない。

 

そして、この映像の最後にスタッフロールが流れるのだが、そこで気付かされたことなのだが、このライブの映像ディレクター兼撮影を務めたのは、小林一真という方であり、肩書には、UUWorksという映像制作チーム名の後に、Bearwear、というワードが書かれていた。

このBearwearなのだが、これはバンド名であり、そしてまさに、冒頭触れたこの週末に行われるイベントにて、OAとして出演が発表されている。

小林一真自体が、Age Factoryの映像だけでなく、カメラマンとしてもライブを何度も撮影をしているため、カメラマンとしてその姿を撮り続けてきたバンドと、今度はステージの上でぶつかるというのだから、ロマンがあるとしか言えない。

現状、まだチケットも買えるため、20歳以上しか入れないのだが、それでも、何か刺激が足りない、という方は、この週末に行われる、Party nightに足を運んでみてはいかがだろうか。

音楽

Posted by naishybrid