ホーホケキョとなりの山田くんがいかに凄いか語る│【ジブリの隠れた名作】

2019年9月8日

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今年も夏になり、日本テレビの金曜ロードショーでは必ずといっていいほどにスタジオジブリの作品がテレビでやります。

まぁほぼ、相変わらずなラインナップなのですが。

 

その金曜ロードショーのジブリ作品で、過去たった1度しか放送されず、その後一切再放送されていない作品があるのをご存知でしょうか?

それが

 

『ホーホケキョ となりの山田くん』

です。

ジブリが好き!と言っている方でも、この作品を知らないという方も多いのではないでしょうか?

ただ、僕は数あるジブリ作品の中で、どれが好きかと問われた際、一も二もなくこれが1番好きですと答えます。

その都度人からはえっという反応をされるか、あるいは何それ?という反応をされるのも、もうすっかり慣れました・・・

が、実はこの作品、テレビでは全くと言っていいほどやらないのですが、実は超隠れた名作なのです。

 

今回は、この作品についての紹介。そしてこの作品の良さや凄さを紹介していきます。

作品紹介

ホーホケキョ となりの山田くんは、1999年に公開された映画です。

監督・脚本は、故・高畑勲監督が担当し、主題歌は矢野顕子さんが担当しました。
キャストも益岡徹さんや、高畑監督と同じく今年亡くなられてしまった朝丘雪路さん等、声優さんではない俳優・女優が声優を務めています。

原作は、朝日新聞で現在も連載しているののちゃんと、1991年~1997年まで連載していたとなりの山田くんの2つが原作となっています。

 

ジブリ作品お馴染みの起承転結のある少し不思議な世界観のお話というわけではなく、現実のどこにでもあるような家族の1日を描き、上映時間の中で次々に話が変わっていくのも、本作の特徴です。

内容

「腹へった、なんかないか」と酔って帰宅したたかしに、まつ子はどらやきとバナナを持ってくる。こんなもん食えるか、と怒る亭主に平然と背を向け、妻はテレビを見続ける。だが、妻は栄養を考えてバナナとミルクを夫のために持ってきてやったのだ。やがて、たかしはそのバナナをうまそうに食う。このほか、原作の四コマ漫画を元にしたエピソードが集まって一つの作品を形成している。
(参照:Amazon『ホーホケキョとなりの山田くん DVD』より)

見どころ

内容の通り、この作品には明確な1本のストーリーというのがありません。

先ほども少し触れましたが、何本もの話が集まって1本の作品となっているため、話がどう転がっていくかが分からず、また話ごとに内容が変わるため最後まで新鮮な気持ちで見れます。

その話ごとのストーリーも、雨の日のお迎えついでに父親にお使いを頼む話、結婚式の話、お正月の年賀状の話、受験勉強の話など、季節や時期関係なく、様々なシーンで話が展開していきます。

そのどれもが、本当にいい意味でどこにでもある、普通の家族の話のようなものばかりであり、見ててわかるわかると親近感が湧くものが多いことも、本作の特徴です。

 

また、ジブリではあまり使われることがない、現実の食べ物やジブリ以外の外部の作品のキャラクターが出ることも本作の特徴の一つです。

平成狸合戦ぽんぽこで、マクドナルドのハンバーガーが劇中に少し出てきますが、ホーホケキョとなりの山田くんではその程度ではなく、本当にガッツリと出てきます。

特に、あのヒーローの登場は、子供はおろか親でもわかんねぇよ!と言いたくなるけど、その良さは見て分かるという具合に、しっかりと登場します。

 

そして、この作品の主題歌は、矢野顕子さんが担当しています。
また、矢野顕子さん本人も、先生役として本作に出演しております。

 

その矢野さん演じる先生が言うあるセリフは、ある種この作品のテーマのようでもあり、同時に人生においてとても大事な事を伝えているかのような名シーンとなっています。

この作品の知られていない凄さ

この作品は、1999年に公開されました。

この前に公開されたジブリ作品といえば、ジブリを代表する作品の一つでもあるもののけ姫です。

 

そのため、あの壮絶なメッセージ性の強いストーリーが描かれたもののけ姫の後、期待しているファンが多い中で公開されたものがこれでした。

 

ただ、先ほども少し内容について触れましたが、いわゆるこれまでのジブリのようなワクワクするストーリーというわけではなく、盛り上がるポイントもそんなにない本作に、物足りなさを感じた方も当時多かったかもしれません。

また、この作品、宣伝担当をしていた松竹が様々な戦略などで弱体化しており、かつこの作品を担当した営業が初心者ということもあり、当時西日本で公開されたところがほとんどなかったのです。

そういったこともあり、当時興行収入は15.6億円と、魔女の宅急便以降の平成ジブリ作品で、最も売り上げが悪い作品となってしまったのです。
ただ、あくまで東日本がメインであったため、もしこれが西日本でも東日本と変わらずに公開されていたならば、またこの数字も変わってきたはずだと思います。

 

ただ、この作品ですが、興行収入としてはいまいちでしたが、目に留まる人には留まるものなのです。

この作品、水彩画のような手描き調の絵となっており、1コマにつき、実線、塗り、マスク処理用の線の合計3枚が必要となり、通常のアニメ作品の3倍の量の作画となる、17万枚という当時のアニメとしては超異例の制作過程を経て作られた1本となりました。

これがきっかけで、製作費も膨れ上がったりしたのですがまぁそこは置いておきます。

 

こうして作られた本作を、日本テレビ会長であった氏家 齊一郎は大変気に入り、大赤字こいてもいいから高畑監督の作品がもう一度見たいとジブリ関係者に要請しました。

そして作られた作品が

 

 

『かぐや姫の物語』

 

なのです。

 

つまり

 

ホーホケキョとなりの山田くんがなければ、かぐや姫の物語は生まれなかったのです。

 

これだけでも、黒歴史とする人には考えを改めてほしい点でもあります。

 

 

そしてもう一つ、本作はある偉業を成し遂げました。

 

ニューヨークにある、ニューヨーク近代美術館。通称MoMA。

そこでかつて、ジブリの作品を上映するという企画がありました。

その作品群は、ナウシカやもののけ姫、火垂るの墓、千と千尋の神隠し等、いずれもジブリを代表する作品ばかりでした。
そんな中にホーホケキョ となりの山田くんも入っていました。

そしてその後、唯一ジブリの作品の中で、パーマネントコレクション(永久保存作品)に加えられたものがありました。

 

ここまで書いてきて、読んでいるあなたも予想しているかと思いますが、そうなのです。

 

 

それが、ホーホケキョ となりの山田くんなのです。

 

 

あのもののけ姫や千と千尋の神隠し、果ては火垂るの墓までをも抑えて、この作品だけが唯一、永久保存作品に加えられたのです。

これだけでも、この作品の凄さが十分理解できるのではないのでしょうか?

 

ここまで書いてきましたが、少しは本作の良さや面白さが伝わったでしようか?

テレビでやるジブリだけが本当に面白いわけではないのです。

本当の名作は、隠れているところにあったりするのです。
一回だけしかテレビで放送されていないのが、本作は本当にもったいないです。

特に、今年高畑監督が亡くなってしまったこともあり、かぐや姫の物語と併せてこちらの作品もテレビでやってほしいと本当に僕は思うのです。

なので、この夏はぜひ、定番の作品ではなく、この一見マイナーだけど、世界的に評価されている隠れた本作を見てみるのはいかがでしょうか?

それでは。