NOISEMAKER NOISEMANIA Premium 2022 Live at Club CITTA’ レビュー

2023年6月29日

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日本一ぶっ飛ぶショー、という謳い文句は、あながち間違いじゃなかった。

 

日本のロックバンド、NOISEMAKER。
音楽的なジャンルとしては、いわゆるラウドロックと称される音楽にカテゴライズされる。

ただ、ここ近年ではオルタナティブロック(色々意味はあるかと思いますが、個人的には代わりのない、という単語の意味から、新しいロックという意味で捉えております。)と呼べるような、ジャンルレス・ボーダーレスなサウンドを鳴らしており、この界隈では珍しい、縦ノリが主としての基本の楽しみ方のバンドだ。

 

そのNOISEMAKERが元々行っていた、ライブであまりやらない、いわばレア曲が中心のセットリストの自主企画【NOISEMANER】というイベントをパワーアップさせ、自分達のバンドの世界観を打ち出す、ある種コンセプトライブとも言えるスペシャル版が、今回紹介させていただく【NOISEMANER Premium】だ。

 

一昨年に初開催された際はコロナ禍ということもあり、東京国際フォーラムでのホールライブとなったが、去年はライブバンドの主戦場であるライブハウスへと場を移し、大阪、そして神奈川の二か所で開催がされた。

神奈川のCLUB CITTAで開催されたが、一度でも足を運んだことがある人ならわかるかもしれないが、このCLUB CITTAというライブハウスは、他のライブハウスと比べて、かなり遊び心があるというか、飛び道具的なライブ演出も行うことが出来るということもあり、まさに世界観を打ち出すNOISEMANER Premiumにはピッタリな会場だったと言える。

 

今回は、そのNOISEMANER Premiumを、キャリア初となるAmazonでのデジタル配信リリースとなった。

良くも悪くもだが、誰もがお金さえ払えば見れるというのは、本当のファンからしたら実際のパッケージを手に取れないから少しもやっとするかもしれないが、昨今デジタル・サブスクが主流となり、モノで持つ、という文化が少なくなっている。

そうなった時に、今はどこでも見られるものが欲しいという音楽リスナーも多いということや、そうした形でリリースしたとしても、結局のところ熱のあるファンには刺さり、買ってくれるかもしれないが、聞いてはいるけれどパッケージまでは手に取らないというファン。それ以上に、まだNOISEMAKERを知らない、という人にまで届かせる可能性が広がるのではないか?と、個人的には感じたため、このリリース方法は個人的にはアリなのでは、と思っている。

 

そして、実際見て思った。

これは、NOISEMAKERのファンの母数を広げるためには、最良のコンテンツだな、と。

 

では改めて、本作をレビューしていきます。

まず、開演に先立って、いきなり幕で仕切られた向こう、つまり影でのパフォーマンスからスタートする。
ここでまず驚いたのだが、このためにわざわざ、幕の前にスタンドマイクを置き、その影を利用するという、スタンドマイクの斬新な使い方に驚いていると、今回は視覚・聴覚・そして、嗅覚の3つをジャックするライブだが、何よりも一番は、感情をジャックするライブだというアナウンス、いや導入からスタートする。

その導入が終わり、SEが流れると、なんとそこからセッティングが始まり、そしてスクリーンの上から3層の舞台背景が降りてくるという予想だにしていないスタートから、これはただごとじゃないライブが始まると思わされ、画面越しだが、一瞬でその空気に引き込まれる。

そんな中でついにメンバーが登場し、Hunter Or Preyからスタートすると、勢いそのままに、ライブハウスで行われるライブとは、今のNOISEMAKERとはこうだと見せつけんばかりのライブが始まる。

尚、今回は1曲1曲をピックアップして解説するわけではないのだが、それでもいくつかピックアップし、解説させていただく。

 

溢れ出ちまったもんはしょうがねぇ、どころか、溢れ出させるため・溢れちまえ。ロックバンドが夢なんか見させねぇよ、夢よりもはるかにヤバいリアルを見せるためと、堂々と宣言した中でのMAJOR-MINOR、Spineless Blackは、コロナ禍でそれまでのライブの楽しみ方を奪われた中でも、音楽そのものの良さは決して損なわれることはない。
むしろ、NOISEMAKERはその期間でもブレーキを踏むことなく、自身のセンスを研ぎ澄ませていった結果、ラウドという枠組みを通り越したオルタナティブが楽曲が次々と生みされてきた。
そして今、それが目の前で鳴らされているのだ。このフロアにいるファンの感情が溢れ出ない、わけがない。

個人的にだが、NOISEMAKERが一番苦しかったと言える時期に生まれたと勝手に思っている、ライブの定番であり大名曲のSomething New、感情の頂点をファン全員が迎えた中で披露したAPEX、打ち込みや空間系とも呼べる独特なサウンドを展開するFREEZE、生きるということ、を一言一言熱く語り、普段ならばライブのラストで演奏されるTo Live Isでは、これでこの日のライブは終わりかと思うほどの空気が会場全体を包み込む。

 

ここで一度暗転すると、全身、そしてドラムにLEDケーブルを巻いたドラムチームのソロ演奏がスタートする。暗転している中でそのドラムチームのみ、LEDが煌々と光っているため、その姿に近未来感を否が応でも感じる。
だが、その後に改めてNOISEMAKERを交え、共にFlagを演奏する時には、凱歌を鳴らすメンバーの一員として盛り上げる。
ラウドロックなのに、バンドチームも招き入れられ、まるでマーチかと見紛うような光景が見せられるというのは、NOISEMAKERきっての強みだろう。

そこから更に、前回も共に歌ったゴスペルチームと共に歌うYay Yay Yay Yay Yay Yay Yay Yayでは、音源で重ねていたYayのコーラスの部分や一部分をゴスペルチームが共に歌う。ゴスペルとロックの相性ってどうなの?と思うのかもしれないが、これが見事に合う。
間違いなく、この界隈のバンドで、ゴスペルシンガーを招いても問題ないバンドは、日本ではNOISEMAKERだけだろう。

 

NAMEでは、楽曲に入っている打ち込みサウンドの音に対し、スクリーンの映像に心電図モニターを流している。ファンならわかる演出だが、この心電図のモニターはPVを再現しつつも、同時に、このサウンドはひょっとしたら心電図の音をサンプリングしたのでは?と改めて気付かされ、今一度PVを見たくなってしまうこと間違いなしだ。

 

ラストには、この日々は、きっと良くなると、コロナ禍真っ只中の2020年、未来がどうなるか誰もが全く見えなかった中で発表され、そんな絶望的な状況の中でも、希望を高らかに歌ったBetter Daysをゴスペルチーム、ドラムチーム全員を混ぜて演奏する。

当たり前だが、NOISEMAKERだけじゃない。ここに共に立っているゴスペルチームも、ドラムチームも、会場の川崎CLUB CITTAも、そして、この日来ていたファン全員、大変だった。

そんな大変な数年間を乗り越えて、全員がこの場所に集まり、この日々は、きっと良くなるというメッセージが込められたこの曲を最後に持ってくるその構成に、いたく感動してしまった。

 

そんな中、このライブ映像を見ている中で途中から感じていたことなのだが、良くも悪くもかもしれないが、いつも通り、ロックバンドとしてカッコイイNOISEMAKERのライブだなと思っていた。

ただ、途中、AGがMCで語っていたが、置かれている舞台背景もスクリーンもオマケだと話し、ギター、ベース、ドラム、歌、ヤベー曲、と、自身達を指差した。その瞬間に、ハッとさせられてしまった。

 

そう、結局そこなのだ。

どれだけ音が良くても、舞台装置が凄くても、バンドが一番カッコよくなければ意味が無い。その、当たり前が、ここには詰まっているのだ。

 

また、この映像は当たり前な話だが、この映像からは、嗅覚までジャックはされない。

なので、そういった意味ではパッケージ化にでもして、そこに何かしらの香りの元、ではないが、それを付ければ原体験に近いものが味わえるのかもなぁ・・・と思っていたが、その考えは、To Live isの始まる前、AGが生きるということを、声高らかに伝えていた瞬間、謝りだと気付いた。

 

これは、ライブ映像であって、ライブでない。

ライブ=Live、Liveとは、生であるが、同時に、生きるという意味も内包されている。

そう、生きるということは、生なのだ。

 

だから、ここで気になったら、お前らその足でライブハウスまで来い、映像の何倍もヤバいものを見せてやると、そうとは伝えていないのだが、映像からビシビシ、メッセージとして投げつけてきているのだと途中から感じ始めていた。

つまり、これはあくまで広げるための手段の一つであって、結局、この映像の根底にあるのは、これで気になったらライブに来い、という至極当然の、バンドの当たり前を伝えるためなのかもしれない。
筆者はそう感じた。

 

ここから話は逸れるが、このライブを見る少し前、YouTubeで今年のコーチェラフェス(正式名称は長いので省略しております。)が配信されており、ヒップホップやシンガーソングライター、バンドなど、音どころかアーティストそのものを全く知らなくとも、ザッピング(この言葉現代の若い子に伝わるのかしら?)しながら、色々なアーティストを見ていた。

それらのアーティストを見た後に、このNOISEMAKERのライブ映像を見て感じたことなのだが・・・このバンドが世界に出て行っても、普通に世界で戦えるバンドだと素直に感じ、もし仮に、コーチェラに出たとしても、何の謙遜もないと思ったのだ。

 

ヒップホップや打ち込みといったサウンドも入っていれば、わかりやすい縦ノリとシンガロングがこのバンドの楽しみ方のメイン。今回のNOISEMANERだとバックスクリーンがあり、そこに歌詞が投影されていたのだが、それを見ることで誰もが歌える。

加えて、今回であればゴスペルチームやドラムチームが参加していたが、それがいても、バンドに何の問題もない。
むしろ、それがラウドロックという枠組みにいるバンドの、ここまでしかいけない、という見えない柵を打ち壊してくれたような気がしたのだ。

ハッキリ言うが、これを世界に見せたらとてつもなく驚くと思う。それこそ、ロックバンドを知らない層に見せても、間違いなく盛り上がるはずだ。

真面目に言うが、世界で戦えるポテンシャルを、既にNOISEMAKERは持っていると、このライブを見て思った。

 

もし、このブログがNOISEMAKERというバンドを知るきっかけとなって、そして、この映像を見ていただけたら幸いだが、同時に羨ましいと思う。

今からこのバンドにハマれる、という体験は、もう筆者には出来ない。
是非とも、まだ体感していないなら、今回は視覚と聴覚をフル活用していただきたい。

必ず、満足いただける内容になるはずだ。


音楽

Posted by naishybrid