1年経ってもなぜウルトラマンオーブはここまで人気なのかを4つの点から考える

2018年11月30日

1月6日から、テレビ東京系列で、ウルトラマンオーブTHE CHRONICLEという、オーブの活躍をウルトラマンオーブ=クレナイ・ガイが紹介する番組が始まりました。
過去に放送されていた、ウルトラマン列伝、細かく言うとウルトラマンゼロ THE CHRONICLETHE。そのオーブ版、とも言えるような内容となっております。
YouTubeでも放送直後の9時半に、円谷プロ公式チャンネルで毎週公開しているので、熱気冷めやらぬまま他の地域の方でも見れるというのも大きなポイントです。

(現在は削除されました。)

おそらく、3月に公開されるウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンジード』の劇場版に出演する事もあって、放送をしているとは思うのですが、個人的にはそれだけではないとも思っているのです。

そもそも、ウルトラマンオーブはジードの1つ前の作品です。2016年の7月から放送が開始されたため、記憶に新しい方も大勢いると思います。また、放送終了後もニコニコ生放送での配信や、最近ではAbemaTVでも放送している等、この放送終了後の期間でも、見ている人は子供大人問わず、結構いると思うのです。
このようなタイミングで、オーブの総集編にも近い内容を放送するということは、やはり人気が高いという証ではないのか、と思うのです。

なので今回は、今あえて、もう一度ウルトラマンオーブがどうして人気なのか。という事を4つの点から改めて考察していきたいと思います。

※以下ネタバレを多く含んだ内容となりますので、まだ見ていないという方で、ネタバレを見たくない方がいましたら、ここでブラウザバックしてもらうのを推奨します。

50周年という節目関係なしに生まれた新しいヒーロー、クレナイ・ガイの存在感

ウルトラマンオーブが始まった2016年は、ウルトラマンシリーズ誕生50周年というメモリアルイヤーでした。

2006年の40周年記念作品となったメビウスは、ウルトラ兄弟の設定がありウルトラ兄弟も客演するなど、原点回帰を目指しつつ、平成ウルトラシリーズの良さも取り入れた作品でした。

ですが、50周年記念作品となったオーブは、これまでにないウルトラシリーズとなりました。

まず、主人公のクレナイ・ガイが風来坊というのは、これまでにないキャラクター設定です。

ウルトラセブンの第1話でモロボシ・ダンが自身の事を風来坊と呼んでいましたが、その後すぐにウルトラ警備隊に入隊したため、本当に風来坊かと言われるとうーん・・・違うよね?となります。
むしろ、ウルトラ警備隊の一員、というイメージの方が強いでしょう。

ですが、クレナイ・ガイは完全に風来坊というキャラです。ストーリーの途中で、SSPのアパートが拠点となりますが、最後はまた旅に出ます。
こういうキャラクターはこれまでのシリーズには間違いなくいなかったでしょう。むしろ、どちらかというと、こういうキャラクターは仮面ライダーにいるようなキャラ、という感じがします。

ですが、ひょうひょうとして物怖じしないスタイルなのに、先輩ウルトラマン達には敬語を使う事や、大好きな銭湯やラムネになると熱くなる等、カッコよさだけではなく、真面目だったりお茶目だったりという様々な表情を見せてくれるのも、子供だけでなく大人、ひいてはオタクにもウケたのではないかと考えております。
これもやはり、演じている石黒英雄さんが、ウルトラマンシリーズの主人公になったという事実を大事に考え、真剣に取り組んだ結果だと思います。

こちらのインタビューでは、より石黒さんのウルトラマンシリーズに対する思いや情熱、クレナイ・ガイの役作りのための意識などがよくわかるインタビューとなっておりますので、ぜひご覧になってください。

個人的には、石黒さんのインタビュー記事であり、”クレナイ・ガイのインタビューではない”にも関わらず、セブンやタロウのことを、さん付けで呼ぶ一文に、石黒さんの本気さが伝わってくる。と感じています。
石黒英雄が『ウルトラマンオーブ』になるために決めた“3つのこと”

力を取り戻していくというこれまでにないウルトラマン

ウルトラマンオーブは、過去にある事件を引き起こした影響で、歴代のウルトラマンの力を借りなければ当初は戦えない。という設定でした。
それがある意味、オーブをオーブたらしめてる最大の要因だとも感じます。

それまでのシリーズで、過去のウルトラマンが客演するという事は多々ありました。
ニュージェネレーションズシリーズと呼ばれる現在までのシリーズの第1作目であるウルトラマンギンガでは、他のウルトラマンになれること(といっても、テレビ版ではほぼありませんでしたが…)や、パワーアップ形態ではウルトラ兄弟の力を使うという事もできました。

2作目となるウルトラマンエックスでは、過去のウルトラマンの客演があり、エックスと共闘した後、自身の力をカードとして受け渡す。というまるでゴーカイジャーに近い力の渡し方をしていましたが、劇中のエックスはほぼそれらのウルトラマンの力を使いませんでした。(それが後々映画で活かされることになるのですがそれはまた別のお話)

ですが、オーブはウルトラマンの力がなければ変身できません。
この為、手に入れたけどその力を使わない。といったことはありません。

そして、手に入れていく力を使っていき、様々な困難を乗り越えていき、段々自分の力を取り戻していく過程のストーリーともなっております。

ガイとジャグラーの関係性

ガイの宿敵ポジションであるジャグラス・ジャグラーのキャラは、演じる青柳尊哉さんの演技力も相まって、強烈なインパクトとなっております。
当初は、ただのライバル的な悪役という印象ですが、次第に狂気をどんどん顕にしていき、嫉妬にガイをあの手この手で狙っていく様は、ジャグラーだからこそ許される。と言えるような程の強烈な行動と個性を出していきます。
一歩間違えれば、変態レベルですw

しかし、そんなジャグラーが、物語が進むにつれ段々と、狂気の内側にある悲しみや、嫉妬心と劣等感がどんどん見えていき、最初と最後ではジャグラーに対する印象がガラッと変わります。

こうなるに至った原因はAmazonプライムで配信されているウルトラマンオーブの前日談である『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN』でも語られているので、見ていない方はそちらも見ると、ジャグラーがどうしてこうなったかのきっかけが描かれているので、ぜひ見ることをオススメします。

そんなジャグラーを、ガイも敵ではあり、当然ながら怒りの気持ちもあるけれど、なんだかんだで付き合ってしまう。
そんな印象を僕は受けるんです。

過去、悪のウルトラマンというのは多くいました。ですが、大抵は1話か2話程度で完結する話です。

ウルトラマンネクサスはその例外で、物語の影にずっと闇のウルトラマンが暗躍をしているという立ち位置ですが、適能者と闇のウルトラマンに変身する人間自体は、その時点で出会うため、昔からお互いを知っているというわけではないです。

ですが、ガイとジャグラーの因縁というか、腐れ縁とも言えるような仲は、時間の定義がないためはっきりとは言えませんが、おそらく何十年何百年と関係が続いていると考えられます。
先ほど挙げた前例からしても、やはりガイとジャグラーの関係性はただのヒーローと悪役の関係ではない、他のどれにも当てはまらない独自の関係性となっています。

この2人の因縁が、ドラマをより面白くするエッセンスとなっているのは間違いないと思います。

周りにいる人々の立ち位置とその存在感

SSPは、怪奇現象追跡サイトを運営しているという設定であり、ここが物語の中心であり、拠点となる。かつてのシリーズにはなかった設定です。
SSPのメンバーであるナオミ・ジェッタ・シン。
この3人が本当にいい味を出しており、オーブはある意味この3人がいるからこそ成り立っている世界観なのだと思います。
このメンバーがいるから、シリアスな話の中でも適度なゆるい雰囲気が生まれつつ、日常と非日常が交わるきっかけをこの3人が生み出してくれます。

思うのですが、この3人は日常の代表者なのだと思うのです。

全員、特別な力を持っているわけでもないのですが、それでも怪奇現象を必死に追いかけるその姿はなんとも人間臭いです。
自分たちが気になったことを、自分たちの力でとにかく取材してみる・何でもぶつかってみるという姿は見ていてハラハラするのですが、それよりも愛らしさの方が上回ってくるのです。
この3人を見ている気持ちは、仮面ライダーWの鳴海亜樹子を見ている気持ちに似ていると僕は思うのです。

思うのですが、このとにかくやってみる。あきらめずに向かっていくこの姿勢は、かつてウルトラマンティガで映写した、人として出来ることを最後までやる。というスタイルを、ウルトラマンではないただの人間がやったらどうなるか。というのを見せているような気もするのです。(あくまで僕の想像ですが・・・)

また、過去にギンガ(無印)で、防衛軍が一切出てこないという事はありましたが、オーブはビートル隊という、これまでのウルトラマンの防衛チームと防衛軍をニコイチにしたような組織が出てきます。
ですが、オーブとこのビートル隊という組織はほぼ絡みません。
このビートル隊では唯一、隊員である渋川さんがSSPと絡みます。

この渋川さんも、ビートル隊という組織の一員ですが、そんなにキッチリとした人間というわけではなく、町のおまわりさんのような親しみのあるキャラクターとなっております。
ですが、キメる時はバッチリキメる時もあり、その時のカッコよさはオーブでも屈指の名シーンだと個人的に思っています!

また、渋川さんが怪獣がいるところに一緒にいる時に、オーブが怪獣を倒した後に、渋川さんがいなくてSSPのメンバーが探しているとおーい!って言いながら渋川さんがやってくる・・・ん?ちょっと待って。
いやなんかあなたがウルトラマンオーブみたいな映写になってるけど!?

って観ながら思わずツッコミたくなる映写があり、それで実際にSSPメンバーからも渋川さんがオーブじゃないの~?みたいに疑われるシーンもありますwまぁ、そうなりますよね・・・
こんな風に、オーブ、クレナイ・ガイの周りにいる面々も非常に個性的であるため、絵が非常にアクティブになり、ウルトラマンシリーズというよりも、平成仮面ライダーシリーズや、以前の記事で紹介した、リュウケンドーに近い雰囲気を感じる作品になっていると感じます。

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おわりに

ウルトラマンオーブの良さが少しは伝わったでしょうか?

その良さを生み出しているのが、こうした伝統を壊した新しい設定や新しい変身方法を取り入れたこと。演技力のある俳優をメインに持ってくることなどが、ウルトラマンオーブが最高傑作だ!と言いたくなる理由につながるのだと思います。

個人的な話をさせていただくと、実は僕は最初オーブをうまく消化できていなかったです。

というのも、僕は前作のエックスがとても好きであり、あれは怪獣と地球の共存という、ウルトラマンコスモスで提起したテーマに1つの答えを出したような作品だと思っています。

また、これまで客演してこなかったウルトラマン達を客演させるというアイデアや出し方も非常に素晴らしく、ウルトラシリーズの傑作だ!と思っておりました。

なので、これまでとは全く雰囲気が違うオーブに、最初はうまく入り込めなかったのです。

ですが、物語が進むにつれ、隠されていた謎が明らかになったり力が増えていくという点などの平成ライダーのようなストーリーの進み方に、こうやって観ればいいのか!と自分のオーブの捉え方が定まると、どんどん面白くなっていき、気づけば最高傑作、とまではいかないのですが、オーブを、これまでのシリーズにはない作品。だけど間違いなく名作!と言えるほど好きな作品になりました。

もし、今からウルトラマンシリーズを見ていくなら、どれから見るのがいい?と言われたら、間違いなくオーブだと自信をもって言えます!
だからこそ、つい数日前から始まったオーブTHE CHRONICLEは、オーブを見た人はもちろん、オーブを見たことがない。また、ウルトラマンは当時見ていた作品以降は見ていない、という人もぜひ見るべき作品だと思います!
何気なく見始めたら意外と面白かった。そんな意見が増える事を願っています!

それではまた!


ウルトラマンオーブ

© 円谷プロ  © ウルトラマンオーブ製作委員会・テレビ東京  © 劇場版ウルトラマンオーブ製作委員会

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Posted by naishybrid