【景気が良い指標ではない】有効求人倍率について解説

2021年8月2日

ニュースを観ていると、ほぼ月に一度、有効求人倍率についてのニュースを聞いたことがあると思います。

ほぼほぼ、そのニュースの内容では有効求人倍率がほとんど1倍以上~という数値になっていると伝えているため、パッと聞くとなんかいいのかな?と思うかもしれません。

 

ですが、そもそも有効求人倍率とはいったい何なのかを、はっきりとわかっている方はどれだけいるでしょうか?

 

有効求人倍率が上がっていると言いつつも、どうして身近な暮らしや経済が良くなっているような雰囲気があまり感じられないのでしょうか?

 

そのため今回は、この有効求人倍率について説明していきます。

有効求人倍率とは?

いきなりですが、有効求人倍率について紹介します。

有効求人倍率とは、企業が出している求人数を、ハローワークに登録している求職者の数で割った値のことです。

 

つまり、ハローワークの求人の数字”だけ”を元に出しているものが、有効求人倍率なのです。

 

そこに来た人と仕事の件数でしか出していないので、就活生や転職活動の方の多くが使っている、マイナビやリクナビ・indeedなどの求人サイト等は、この有効求人倍率に一切入っていないのです。

 

なので、知らなければ上がっているんだ景気がいいんだ!と思いがちかもしれませんが、その実、上記の方法で表しているため、ハッキリ言えばこれだけじゃ景気がいいのかどうかわからないのです。

 

また、有効求人倍率はそれだけでなく、いくつかの問題点もあります。

次の項目から、有効求人倍率の問題点をいくつか取り上げて紹介していきます。

有効求人倍率の問題点

ハローワーク求人の問題

ハローワークを利用した事がある人でもない人でも、空求人というのを聞いたことはないでしょうか?

 

空求人とは、その名の通り、採用する意欲もないのに求人だけは出している求人のことです。

 

これは実際にありえることで、こうして書いている僕もまさに、その空求人に当たったことがありました。

 

いざ面接をしに会社へ行ったら、その求人に書かれていた職種の応募を今はしておらず、一年半違う部署で働いた後にこっちへ行ける可能性もある。と面接で言われたことがありました。
(その時には、心の中でお前求人出しといてこれとかふざけんな!詐欺やんけ!って大声で言いながら中指立ててましたとも(笑))

 

なので、こういった空求人や、ブラック企業の求人がハローワークには昔から多いと言われています。

なぜハローワークにはやばい求人が出てしまうのか

ただ、そこで疑問に思う方もいるかもしれませんが、なぜハローワークにこういったやばい求人が多いのか。と疑問に思われる方もいるかと思います。

 

事実、ハローワークへ求人を出す際には、以下リンクから確認いただければわかりますが、それ相応のステップを踏む必要がある為、求人を出すこと自体は、企業側からしてみても、なかなかに骨が折れる面倒な作業となります。

 

では、そのようなステップを踏んでいるにも関わらず、なぜやばい求人が出るのかというと、ハローワークへ求人を出す際にかかる広告掲載費用は、一切かからないです。

 

マイナビやリクナビなどの大手求人サイトは、民間のサービスであるため、当然ではありますが、売上を立てなければなりません。

そのため、求人を出すのに加え、広告など様々なものも掲載するためのオプションとして含まれるため、このようなサイトに出すのはそれ相応の売り上げがある大手企業。ということがほとんどです。
(もちろん、そのような企業を決して悪く言うつもりは毛頭ございません。)

 

一方、ハローワークは厚生労働省が運営しているサービスという事もあるため、無料で求人を出すことが出来るのです。

かつ、インターネットで求人を探すことに慣れていない高齢の方や、いわゆる求人を探す場所。となった際に、真っ先に思いつくのがハローワークでもあるため、そのようなイメージも相まって未だに強い影響力を誇る為、今もなおここに求人を出す企業がずっとある。ということです。

 

また、条件はありますが、ハローワークから採用が生まれた場合、企業側は助成金をもらえるという事もあります。

更に言うと、求人を出す際に複数の求人を出せることや、掲載期間が終了したとしても、番号さえ控えて再度申請すれば、再度求人を出すことも出来るのです。

 

これらのことから、求人にかける広告費用があまりない中小企業にとって、ハローワークというのはとても便利なサービスなのです。

ただ、そのデメリットとして、期間中複数の求人が出せるため、こちらで応募した人採用したけど他の求人を取り消すのを忘れ、その結果空求人のようになってしまった・・・ということもあるため、良い面もあれば悪い面もあるということがあります。

仕事の問題点

昨今、介護業界での人手不足をちょいちょい耳にする機会があるかと思います。

ハローワークで求人を検索すると、かなりの割合で介護の仕事の求人が出てくるため、見かけたことも多いはず。

これは都心部と地方、そのどちらにも当てはまることと言えます。

 

介護の仕事をやりたいという方ならば良いとは思いますが、おそらく多くの方ができればやりたくない。と答えるような仕事でしょう。

 

ハローワークには、先ほど紹介した、無料で求人を出せるという事や、求人にかける費用も少ないため、そういったあまり人がやりたがらない仕事の求人が多くあります。

かつ、そんな地方の仕事の状況を見て、都心などへ稼ぎに出よう!と決心したとしても、昨今の情勢により、仕事を探す以前に、そもそもそちらへ住むことそのものが難しい、都心の方もまた、決していいとは言えない状況でしょう。

 

また、昨今では、ハローワークを使わずマイナビやリクナビ・indeed等で仕事を決める方も多くなっています。

ですが、上に挙げたような事柄から、そこに求人を出せない。出したとしても、地方によってはそこを見て応募をしない方も多数いるような地域も多いはず。

加えて、広告にお金を打てない企業や、助成金をもらいたい企業は数多くおり、結果ハローワークに求人を出すけれども、様々な事柄からハローワークに来る求職者は少なくなっていく。

そうなれば、必然的に分母(求人数)が分子(求職者)の数より大きくなってくる・・・

 

これが、今の有効求人倍率の実態なのです。

終わりに

元々、僕自身今回これを取り上げたきっかけとして、この有効求人倍率が上がったというニュースを嬉しそうに報告するテレビに疑問を感じたからです。

 

そして、調べていくうちに、段々とこの数字はたいして我々の生活に影響がなく、むしろこんなのバンバン報道してるのは正直よくないんじゃないのか?という疑問の方が大きくなっていきました。

ただ、ここで僕が言いたいのは、制度の見直しなどではなく

 

疑問を持ってほしい

 

ということです。

 

ニュースというのは、本当の事を言っているように見えて、調べていくとそうではないという事が多々あります。

フェイクニュースもあれば、今こんな事をニュースでやるよりももっと報道すべき事柄がある、と感じることは本当に多いです。

 

なので、ぜひ情報に対して受け身にならず、その一歩先、どうしてこんな事が起こっているのかという要因まで考えてみる、というのをしていってほしいと思っています。

難しいかもしれませんが、今の情報社会でサバイブするための技の一つとしてスキルを磨いていってほしいと願います。

 

それではまた。

生活

Posted by naishybrid