シン・仮面ライダー 感想
【以下、完全なるネタバレとなりますので、まだ観ていない方は鑑賞後にご覧になることをオススメいたします。】
では、ここから改めて。
というわけで、本日、正確に言うと前日の18時から最速公開となった映画【シン・仮面ライダー】。
シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンに続く、第3のシンの名が付く特撮リブート映画。
今回は、監督を庵野秀明さんが務められており、樋口・庵野タッグではない作品となりました。
今回、最速上映で見に行ってまいりましたので、以下、完全なるネタバレでバンバン書いてまいります。
まず、結論から言いましょう。
そんなに仮面ライダー、いや石ノ森章太郎先生作品が好きだったのか、庵野秀明(敬称略)
いやもう・・・恐ろしい程に、原作漫画の仮面ライダーのテイストを落とし込みながら、現代版にアレンジしてきたなと。
一文字隼人が最初はショッカーの改造人間だった設定やルリ子が一文字を助ける。改造手術を受けたが故の顔の傷が出るのは漫画版ならではの設定でしたし、変身時にそれを浮かび上がらせる。漫画版や仮面ライダーSPIRITSでそれは出していましたが、それを映像作品に持ってきたというのは、まさにシンと名のつくシリーズだからこそ出来たなと感じました。
特に、ショッカーライダーが11人出てきた瞬間に、うわぁー!やったー!?これやったー!?と一人興奮しておりました。
もちろんそれだけでなく、テレビ版の仮面ライダーの演出もしっかりなされており、サイクロン号にアクションを起こすと変身だけでなくバイクも変わる、最初の第2号のあのポーズであの効果音が鳴る、ハチオーグの時に鳴るBGMはショッカー基地のBGM等、原作の仮面ライダーを見ていればもうBGMからアクションどれ一つ取ってもニヤリとすること間違いないネタばかりです。
ただ、それだけならただ仮面ライダーが好き、だけなのですが、先程言った石ノ森章太郎先生作品が好きだったのか、というのは、今回のラスボスとも言える森山未來さん演じる緑川イチローに全てが集約されています。
イチロー、という名は『キカイダー01』の主人公の名前であり、革ジャンにマフラーというのは、前作『キカイダー』のヒール、『ハカイダー』の人間の時の姿、サブローの格好。第0号に変身する前に見せたあの頭の触覚と蝶は、『イナズマン』。ベルトに2つのタイフーンがあるのは、『仮面ライダーV3』。
と、もうこれでもかという程、様々な石ノ森章太郎先生作品のヒーローの要素を詰め合わせており、やりすぎだよ(笑)と内心笑っていました。
ちなみに、第0号というと、仮面ライダーのデザイン時、最初に描かれた『クロスファイア』・『スカルマン』も思いましたが、個人的にはそこまでは感じなかったかなぁ、というのが一個人の主観です。
それ以外にも、それを見守るロボット『K』は、もう言わずともがな、『ロボット刑事』でしたし、まさかその声を、シンケンレッド、志葉丈瑠こと、松坂桃李さんがやっていて、内心殿ぉ!となっておりましたよ(笑)
だからこそ、最後に本郷猛がいなくなって一文字隼人だけになるというのも、原作漫画の仮面ライダーそのものでしたし、それはテレビ版とは異なるラストにしたのも、いい意味で、漫画のあれを実写映像化してくれて、ありがとうございます。という想いでした。
ただ、その中でも違ったのは、ああして仮面に魂、いやプラーナを本郷が残して一文字と共に戦っていくという、原作とは違ういい落とし込みだと思いましたし、ああしておけば、ひょっとしたら何かしらで本郷猛が蘇る可能性も原作よりある!と素直に思えるような、期待を持てるラストでした。
個人的には、ああして新2号になって新サイクロン号まで出てきた瞬間にはあーー!!と思わず叫びそうになりました!
その中でも、新2号はラインが1本ですが、2本だったのは新1号のオマージュか、あるいは2人いる、という示唆なのかは個人の判断に委ねるということでしょう。
と、石ノ森章太郎先生作品というところに今はフォーカスしましたが、もちろんそれを知らなくても楽しめますし、池松壮亮さん演じる本郷猛は頭脳明晰スポーツ万能、という原作の設定に加えて、それが故でコミュ障になっているという、他にはない斬新な設定に驚かされ、そのコミュ障な話し方がまた上手いのなんの!
柄本佑さん演じる一文字隼人も、原作ならではの少しニヒルな感じもあり、ビジュアルが公開された当初はどうなのかと思っていましたが、見たらあぁ、この人も仮面ライダーになるべくしてなった人なんだ・・・!となりますし、この2人だからこそ、この作品で、本郷と一文字のダブルライダーになれなかったんだな、と。
そして、浜辺美波さん演じるルリ子さん。
わかってはいましたが・・・もう、あれ見て好きにならない男はいない!
絶対、100人見たら100人惚れる!と断言出来るほど、もう・・・語彙力ない言葉で言いますが、ぐうの音も出ないほど、めちゃくちゃヒロインしてます。
あのビデオメッセージで泣かないやつはいないって・・・泣だからこそカマキリカメレオンオーグぜってぇ許さねぇ!
もちろんそれ以外にもどのキャストさんも素晴らしく、それぞれに魅力があり、良くも悪くもメフィラス構文が生まれるようなキャラはいませんが、それでも全キャストまさにピッタリと言えます。
が、やはり、ネタバレ全開で書いているので、もうここに触れるしかないでしょう。
いや竹野内豊さんと斎藤工さん!?!?そして立花と滝!?!?
これはもう・・・見ながらどぅえぇっ!?となりました。マスクがなかったら叫んでた・・・
まさかまさかの、竹野内豊さんが3連続シンと名のつく作品に登場しただけでなく、前作『シン・ウルトラマン』の主人公である神永新二を演じた斎藤工さんも一緒に出てくるという。それも、序盤から。
加えて、政府のアンチショッカー同盟という、原作でもあった設定を取り入れて登場させるその上手さにやられた!と思っていたら、味方としてとても頻繁に登場しており、ほぼ準レギュラーな位置付けのキャラにさせていたことも非常に驚いていました。
そしたらまさかの最後の最後で、一文字隼人が名前を名乗れということで自己紹介をした時に、竹野内豊さんが立花、斎藤工さんが滝、と自らを名乗った瞬間に、うわぁー!じゃあ一文字隼人のパートナーとおやっさんにお前達がなるんかーい!?と一人大興奮しました!
これはもう、またもやなサプライズだと思っていたら・・・更にまさかのサソリオーグが浅見く・・・長澤まさみさん!?イチローの母親が尾頭さ・・・市川実日子さん!?と、もうこれまで話題を集めてきたシン作品の話題の中心にいたキャストを役は違えど集結させており、もう豪華すぎて若干目が回ってきましたし、シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースってキャンペーンやってるのにもうこの映画だけでやらんでも・・・と一人内心笑しておりました(笑)
そして、特撮作品には欠かせないアクションシーン。
今回はシン、名のつく作品の中では初めてスーツが作られたので、実写の特撮アクションがありましたが・・・まぁたった数分で、ここまで血が出るかと驚きましたし、最初は若干引きましたが、それこそ人間とは異なる、異形の力を得た改造人間、いやオーグの力を端的に表現していると思えば、アリだと思えました。
個人的には、あの最後のマスク越しの吐血のシーンは、仮面ライダーSPIRITS意識したのかな・・・?と、一瞬考えました。
もちろん、ライダーキックやサイクロン号のところでCGを使っているところもまぁそれは全然良しと思っていましたが、ただ、第1号と第2号が戦うあの工場は・・・見てておい嘘だろ(笑)と頭を抱えました。
まさかまさかの、ウルトラマンとメフィラスが戦ったいたあの工場そのままで驚きました。
メタい話をすれば使い回して予算を浮かせる、という名目はあったかもしれませんが、ただ、特撮でもこれとこれ場所同じ!ということ、往々にありますので、そういったニュアンスと取れば個人的には全然ありだと思っております。
そして、主題歌情報が公開されておらず、まさか・・・?と思っていたのですが、エンドロールで個人的にその予想が当たりました。
クラシックが途中で切れた矢先、レッツゴー!ライダーキックが流れた瞬間笑いましたし、その後にまさかのロンリー仮面ライダー、そしてさらにかえってくるライダーと、仮面ライダーの主題歌欲張りセットかよ!?と思わず笑ってしまいましたが、あの内容を見れば、この3曲しかエンディングには持ってこれないよな・・・と思いましたとも。
特に、あのビデオメッセージの後の本郷猛のあのシーンを見ながら、脳内で一人ロンリー仮面ライダーを再生していたらそれが流れてきたので、あぁ、本当にこれは、悲しみを乗り越えて一人一人戦う、守る守る俺は、仮面ライダー・・・だと。
ただまさかかえってくるライダーまで流れてきた時にはマジか!?となりましたし、どこまでこれは原典の仮面ライダーを蘇らせようとしてるんだ・・・と。
だからこそこの映画は、日本全土を恐怖のドン底に叩き込んだゴジラとも、光の星からやって来て人間を理解し、人間を愛したウルトラマンとも違う、ある日突然人間なのに人間ではない力を得て、人間の姿をしているのに常人離れした力を持ち、孤独で仮面の下では泣いている。けれどそれでも人間の自由のために戦うヒーロー、仮面ライダーの姿を現代に蘇らせたと、間違いなく言えます。
なので、石ノ森章太郎先生という、仮面ライダーの生みの親であり、神様が最初に描いたのは、こういう仮面ライダー、いやこういう等身大ヒーローなんだよ、というのを知る入門編としては最も素晴らしい映画だと思いました。
2時間でテンポ感も良く、ドラマ性だけでなくライダー特有の悲しみ、そしてグロテスクな部分も他とは違い明確に描かれている。
だからこそ、これまでのどのシン映画とも全く違うベクトルを目指した作品とも言えます。
ですが、仮面ライダー、という根底にあるものをリマインドさせる映画としては、本作品はとても意義のあるものと思いますし、これをきっかけで最初の仮面ライダーだけでなく、石ノ森章太郎先生が生み出した、ヒーローだけれど悲しみもある。という他のヒーロー作品に触れてみてもいいのではないかと、個人的には思いました。
そして、時間が経ってゆっくり考えて思ったこととして、このシン・仮面ライダーという映画は、最後にも使われていたロンリー仮面ライダーという曲を体現、いや映像化させましたとも言わんべき内容であり、正直、これを聞くのは最大の予習になると同時に、最大のネタバレになってしまう・・・と、この映画を思う中で辿り着いた、個人の総評です。
正直、日が経てば経つほどどんどんネタバレが出てきますので、見るなら早めに見ることを本当にオススメいたします!!
それでは!
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