【ネタバレ注意】シン・ウルトラマン レビュー

その情報が出たのはもう3年近く前になる。

あの庵野秀明監督がウルトラマンを撮る。

そのニュースはたちまち日本全国に広がった。

 

そして2019年の12月、円谷プロの一大イベント『TSUBURAYA CONVENTION 2019』にて、主演の斎藤工さんが登壇し、ついにシン・ウルトラマンに出てくるウルトラマンがお披露目となった。

まず、ハッキリと第一印象を言うと、ウルトラマンを何十年にも渡って見てきた自分が、『不気味だ』と想ったのだ。

 

ウルトラマンのデザインはそのままなのにも関わらず、ただ直立不動で立っているだけなのに、たまたま風景に映り込んでしまった異星人の写真のような構図。

そしてそれを尚のこと増長させるような、ウルトラマンのアイデンティティでもある、カラータイマーがないその姿。

 

正直に言うと、公開延期と何度もなり、何年もシンウルトラマンのデザインを見る機会が結果的にあったわけだが、それでも何年経っても未だに見慣れない自分がいるのだ。

もちろん、この情報が解禁される前から、ウルトラマンのカラータイマーは撮影時に後付けで付けられたものであるということも知っており、ハヤタ隊員がウルトラマンに変身する際に登場するウルトラマンにカラータイマーが付いていないということも知識としては知っていた。

ただ、やはりカラータイマーがない、というのは、何十年にも渡って"あるのが当たり前・ウルトラマンのアイデンティティ"だと、自然と刷り込まれていたため、やはりウルトラマンにカラータイマーが無い、というのは、正直未だに慣れないのだ。

 

ただ、まがいなりにも、20年以上ウルトラマンを見続け、自分を形成してきた中にウルトラマンは欠かせないため、情報公開された時から、見る。以外の選択肢はなかったのだ。

 

 

・・・と、ここまで書いてきたのは、公開前に自分が書いてきた文章だ。

結局、実際のところ見て見ないとわからないというのが正直なところだったので、当然ながら、朝イチで見てきた。

 

ここから、完全なるネタバレを含んだ『シン・ウルトラマン』のレビューとなる。

なので、まだ見ていない方は、見てから読むことをオススメしたい。

 

 

 

ここまでスクロールしてきたということは、読む、ということでいいですね?

というわけでここから、ネタバレありのシン・ウルトラマンレビューをしていきます。

シン・ウルトラマンレビュー

まず、ストーリーをざっくりと、順に追って解説していけば、今回のウルトラマンの禍威獣(かいじゅう)がこの世界に出現する経緯・そしてそれを対処するための禍特対(かとくたい)が結成される経緯がダイジェスト的に流れるのだが、まさかのゴメス・ペギラ・パゴスなどのウルトラQに登場した怪獣達が登場し、それらの禍威獣が現れたことにより禍特対が出来たという、原点であるウルトラマンとウルトラQの世界が繋がっているというのを端的に表しているというのを出しており、ここまで再現するか!と驚きを隠せなかった。

そしてそこから、現在に話が進み、ネロンガ・ガボラ・ザラブ・メフィラスと次々禍威獣・外星人が現れ、それぞれの話が進んでいく・・・というのがざっくりとしたストーリーの流れだ。

 

そして終盤には、ポスターのアイキャッチから、まさか出てくるのでは?と噂されていた、宇宙警備隊のゾフィー・・・ではなく、同じ光の国の外星人のゾーフィというウルトラマンに似た顔のキャラが出てくるというサプライズが。

 

そもそも、ゾーフィというのは、本来ゾフィーに元々付けられる名前だったのだが、雑誌か何かの誤植でゾフィーとなったのが結局今までずっと通っており、ゾフィーが出てくるかもしれないというのは公開前のアイキャッチから出るかと思われていたが、まさかのゾーフィという元の名前が使われると思っておらず、かつ、胸のブツブツであり、ゾフィーのトレードマークであるスターマークもなく、宇宙警備隊とも名乗らない。

加えて、ゾーフィの声は、まさかまさかの山寺宏一さんが担当されており、ウルトラマンの顔をしながら淡々と状況を語るその様に、本当に宇宙からやって来た、正義でも悪でもない宇宙人というのに、若干の怖さを覚えてしまった。

 

そのゾーフィが、これまでの人類の在り方に対し、危機感や文明としての不成熟さから、人類を終わらせるという決定をウルトラマンに伝えにやってきたと思ったら、それだけでなく、まさかまさかの、文明を破壊させるシステムとして、ウルトラマンの最後の怪獣であるゼットンを持ってきたのである。

これには驚きで口があんぐりしてしまった。

 

この設定だが、実は割と公式設定の一説としてあり、ゾーフィとGoogleで検索すれば出てくることだが、その当時、宇宙人ゾーフィがゼットンという怪獣をあやつる。という、ウルトラマンファンからしたらギャグとして今も伝わっている公式ネタがあるのだ。

そもそもこの設定は、当時まだ情報伝達が十分な状況でなかったことが所以で、ゾフィーというキャラがよくわからないから故に生まれてしまった、今となっては炎上してもおかしくはないネタがあったのだ。

 

その設定、いや正直言えば、あほか!と突っ込みたくなるネタを、まさかの現実の作品として提唱し、解釈は変更しているが、ゾーフィがゼットンを持ってきたという、まさかのネタを映像に落とし込みそんな形でゼットンがやってくるのか・・・と驚かされたのだ。
(個人的に、これでここからウルトラマンのファンになった人がゾフィー兄さんに対して悪いイメージを持たなきゃいいなぁ・・・と願うばかりではある笑)

 

そのゼットンは、当時の子供に恐怖を与えたというのを今に伝えるかのような無機質な恐怖を覚えるデザインとなっており、確かにこれじゃウルトラマンが勝てない、と思わされるような、アルファベットのZとひらがなのんという、最後の文字2つが並んだことで、名前の由来通り最後の存在となるゼットンであり、おそらく誰しも恐怖を覚えるはずだと実感している。

事実、最初ウルトラマンも負けたのだが、ある方法により禍特対とウルトラマンが共同で作戦を立て、再びゼットンに立ち向かい、そして・・・というのが、ストーリーの大まかなあらすじだ。

この先については、ぜひとも映画館でその目で確認してほしいと思う。

 

ここからは、細かい作品についての感想となる。

 

まず、シン・ウルトラマンのロゴが出る時には、あのウルトラマンお馴染みの音と演出をモチーフとし始まったのだが、まさかのシン・ゴジラのロゴが飛び出し、その後にシン・ウルトラマンのロゴが出てくるというのは、シン・ゴジラの次の作品だからというのもあったのだほうが、円谷英二さんの作品がゴジラの次がウルトラマンだということを再認識させるためでもあったのでは?と思うと、急激にニヤニヤが止まらなくなったのだ。

 

かつ、ストーリーの中で少し触れた、パゴスとガボラが、作中では同じ放射能を食べ、さらに顔も同じの同族という設定になっているのも、世界観を共有させつつ、新たな設定として再構築している点にただのオマージュや原作再現ではない新機軸を見せていると感じたのだ。

 

ただ、それ以上に何よりも、本映画を見て想ったことはこれだった。

 

 

 

本当に、今ウルトラマンを見ているんだ、と。

 

ネロンガと戦う姿も、ガボラと戦う姿も、ザラブ星人もといにせウルトラマンやメフィラス、そしてゼットンと戦う姿。
その全てが、他ならないウルトラマンだったのだ。

 

今回のウルトラマンは、当時ウルトラマンのスーツアクターであった古谷敏さんを起用しているため、姿形は当時そのものだったのだが、やはり庵野秀明さんと樋口真嗣さんがタッグを組んでいるだけあって、あの時のウルトラマンの戦い方をベースとしつつ、現在に併せた戦い方に構成されており、誰がどう見ても、スクリーンに映る彼は紛れもなく"ウルトラマン"だったのだ。

 

また、カラータイマーがないからどうやってウルトラマンがピンチなのかを表す際には、体の赤のラインの色が変わるという方法によってウルトラマン自身のピンチを表すというのは、元々のアイデアを元にしつつ、様々な円谷作品で取り入れられたアイデアが活きていると、一円谷ファンとしては感じた。

 

そして何よりも、ウルトラマンが斎藤工さん演じる神永新二と融合した理由が、ネロンガが登場した際に取り残された子供を救うために1人飛び出した新二が、地球に飛来したウルトラマンの衝撃波によって命を落としたことが原因で姿を借り、地球のために戦うというその姿勢は、紛れもなくウルトラマン第1話で自らの事故で地球人の命を落としたことを詫び、自分の命を差し出したあの精神性を持ったウルトラマンだということに、ストーリーが進んでいく事に分かっていき、やっぱり彼は僕たちがこれまで愛してきた、『きたぞわれらのウルトラマン』なんだとわかると、安心感を覚えたのだ。

 

ただ、そんなウルトラマンの命と、神永新二という人間の心両方を持ち合わせた存在となったため、それはつまり、人間に外星人の自分を合わせなくならなければなくなったため、人間とのコミュニケーション一つ一つ感嘆し、喋ったことがないのがより顕著に現れるようになり、それが故に哲学書などを読み漁り、人間に触れ、人間の言葉を理解し、人間に寄り添おうとするウルトラマンの姿は新鮮であった。

 

そんなある意味では、不安定な存在となっているが故に、原作のウルトラマンのメフィラス星人の回でメフィラス星人がウルトラマンに問うた『君は人間なのか?それとも宇宙人なのか?』という問いが、すでに予告編でも流れているセリフだが、本作でもこの問いを求められるシーンがある。

しかし、ウルトラマンの命を持ち、同時に神永新二という人間の心も持った、半分人間半分宇宙人と呼べるような存在となった自身だからこそ言える、原作である上記問いかけのアンサーとは違うアンサーが出てくるのだが、ここはぜひ、本編を見て、このウルトラマンが出した答えを見てほしい。

 

また、ザラブならではのにせウルトラマンが本作でも登場するのだが、おそらくウルトラマン本編でもにせウルトラマンが出た際に、なんでにせウルトラマンこんなパッと見悪い目付きしてるのに誰も気づかないの?と視聴者として思う疑問についても、これなら誰も気付くのは難しいと感じ、これなら誰も気づかないよな・・・と誰もが思うはずだろう。

ちなみに、今作のウルトラマンVSにせウルトラマンでは、あのシーンも再現されているため、ぜひとも見れる人は『遊星より来た兄弟』を見てから本作を見ることをオススメしたい。

 

そんなザラブの後に、いよいよ山本耕史さん演じるメフィラスが登場してくるのだが、まず最初にウルトラマン本編のメフィラス星人がやったあれを、まさかのあの人でやる・・・というのは、話の展開からしてまさか・・・と思ったら、そのまさかをやっていてただただ驚くばかりであった。

 

そんなメフィラスが、なぜウルトラマンがどうしてあんなカプセル1個で大きくなるのかという質量問題についても触れ、それをメフィラス自身で再現したシステムを日本政府に提供していたのは、原作でホシノ君に地球をくださいと言わせようとしていた小物っ・・・巧妙な作戦になっていることに当時なんでこんな紳士的で頭良さそうなのに地球征服する際に子供に言わせようとしたの、これおかしいやろ?と思わざるを得ない部分のフォローを見事にしてくれたと思う。

そんなメフィラスの作戦を現代の世界情勢に合わせより緻密にし、外星人や禍威獣の脅威から守るためのシステムを武器に交渉し、日本政府を掌握しつつも、明らかにオーバーテクノロジーなシステムを持ちかけ、より防衛に特化させつつも、同時に破滅へともたらすよう人心を掌握し、さらにウルトラマンにも交渉を持ちかけるシーンは、山本耕史さんの演技含めもし現実にメフィラスがいたらこういう戦術を取るのだと思わされ、不思議と悪くないのかも・・・と思えてしまったのだ。

ただ、飲み屋で人間体同士で語らうシーンがあるのだが、その最期でウルトラマンこと新二にあることを問うシーンで、あっやっぱこいつ奥の方じゃ変わってねぇ・・・となり、思わず笑ってしまうこと間違いなしである。

 

そんな地球人にとっては明らかに自滅への道を大きく進めるシステムを止めるため、ウルトラマンこと新二が、ウルトラマンという存在として禍特対に依頼をするというのは、原作では絶対に描かれなかったシーンであり、ウルトラマンは万能の神ではない、というのを描きつつ、少しずつ友情が育まれていくのを端的に表しており、人間が完璧じゃないからウルトラマンが必要、と同時に、ウルトラマンも完璧じゃないから助けてくれる人が必要というのを表しており、そこは新しい解釈であり、おそらくウルトラマンを知らない人ほど驚くかもしれない。

ただ、その中でウルトラマンがメフィラスのシステムを見つけるための方法が、当人は100パーセント真面目なんだけど傍目から見たらシュールな映像であり、ついうっかりなところがあるウルトラマンの気質が出ているというかなんというか・・・笑

 

そして日本政府とメフィラスによる調停式が行われるのだが、ここでまさかまさかのサプライズが。

ネタバレ有と銘打って書いているため、はっきり言う。

 

日本政府の1人として、なんと、出演発表が一切告知されていなかった、竹野内豊さんが登場したのだ。

 

竹野内豊さんといえば、シン・ゴジラでも赤坂秀樹として出演し、長谷川博己さん演じる矢口と共に事件解決にあたった人物の1人だ。

キャスト名は明かされなかったため、はっきり同一人物とは言えないが、ただ、その立ち回りからしても、赤坂内閣総理大臣担当補佐官と同一人物だと見てもいいのだと、個人的には感じている。

 

そんな驚きで頭がついていかない中で、ウルトラマンがメフィラスのシステムを見事に発見・野望を打ち崩し、ついにメフィラスも正体を明かし、ウルトラマンVSメフィラスの戦いが始まる。

正直、メフィラスが有利な状況だったのだが、ある人物が現れたことにより戦いをやめ、自分のシステムを持って立ち去ることとなったのは、ウルトラマンの実力ではなく、もうこの星は終わる。という見切りをつけ立ち去ったというのは、メフィラス星人というより、メトロン星人のような印象を覚えたのだ。

 

そして最後のゼットンとの戦いでは、まさかの形でウルトラマンと人間との共闘が描かれ、ボルテージMAXのまま、クライマックスに突入していけること間違いなしであり、そしてまさかのラストが待っているため、一分一秒も目も耳も離せなくなること間違いなしです!

個人的には、ぜひともエンドクレジットまで目を離すべきではなく、ぜひとも主題歌であるM八七と共に、流れるキャストたちを眺めてほしいと思う。
きっと、いいことありますよ。

 

ここまでは、ストーリーについて主に触れてきましたが、キャストの方々も素晴らしい方ばかりである。

 

ウルトラマンになる斎藤工さんが演じる神永をはじめ、班長の田村を演じる西島秀俊さんは頼れるリーダーという雰囲気がピッタリであり、長澤まさみさん演じる分析官の浅見は、もういい意味でウルトラヒロインであり、強さも今どきの女性の雰囲気もあり、長澤まさみさんのファンであれば、ウルトラマンを1mmも知らなくても見るだけの価値は大いにあると言える。

 

ただ、やはり個人的には、早見あかりさん演じる船縁と、Hey! Say! JUMPの有岡大貴さん演じる滝がいい意味で人間くさく好きであった。

生物学者と物理学者という、分野は違えど同じ科学者という立場だからこそ、共通するところがあるのか、言葉には出なかったがバディ感・先輩後輩のような関係にあり、この2人がただの禍特対の一員、にならず、むしろ、この2人がいたからこそ、ウルトラマンが信頼し、結果、ゼットン打倒のための大きなキーマンとなったと言えるだろう。

 

特に有岡大貴さん演じる滝の演技や気持ちは、ウルトラマンのイデ隊員に通ずるようなところがあり、ウルトラマンがいればなんとかしてくれる・そのウルトラマンが負けたら人間がどうすることも出来ないだろと自暴自棄にもなりかけない中で、あることがきっかけで再度目に火が灯るシーンが素晴らしく、かと思いきやそのあとにVRゴーグルをつけてリモート会議をするシーンがあるのだが、いい意味で熱さとゆるさのギャップがあり、この滝というキャラクターがいなければ、シン・ウルトラマンはここまでよくはならなかった、と断言できるほど素晴らしいキャラクターなので、ジャニーズの人でしょ・・・となっているほど、その演技を見てほしいと心から思う。

 

禍特対の主要メンバー以外にも、田中哲司さん演じる禍特対の室長(上長)でもある宗像(むなかた)や、神永の元同僚でもある公安の加賀美を演じる桃井陣和田聰宏さん、先ほども紹介したメフィラス役の山本耕史さんなど、脇を固めるキャストの演技もどれも素晴らしく、一つ一つの演技から目が離せないこと間違いなしだ。

 

そして何よりも、ウルトラマンを愛してやまない庵野秀明さんが脚本を書き、同じく帰ってきたウルトラマンから強い影響を受けた樋口真嗣さんが監督を務め、ウルトラマン愛に溢れ、ウルトラマンリスペクトが満ち溢れ、ウルトラマン小ネタをこれでもかと拾い集めた本作は、ウルトラマンが好きな人であれば100%満足できる作品であり、かつ、これがウルトラマンの初めてという人でも、きっと満足できること間違いなしだと、胸を張って言える作品だと、一ウルトラマンファンとして言いたいところです。

 

個人的に心の中で何度、ウルトラマンがんばれー!と言っており、なぜヒーローショーでヒーローに向けてがんばれと言いたくなるのか。その意味を改めて再認識できた気もしていた。

おわりに

というわけで今回は、シン・ウルトラマンのネタバレなしのレビューをしてきました。

 

正直に言えば、シン・ゴジラのような作品を求めている人からしたら、若干期待外れになるかもしれません。

 

ただ、長年ウルトラマンシリーズを見てきた側からいえば、いい意味でシリアスとコメディ的なゆるさが相混ざる。

それがウルトラマンという作品の良さだと認識しており、もともとがそういう作りとなっているため、これぞウルトラマン!といえる作品になっています。

 

正直、何年も待ち続け、期待外れだったらどうしよう。とも思っていたのですが、その期待はいい意味で裏切られ、ウルトラマンが大好きな人が作ったウルトラマンなので、汚れるはずがないだろうとは頭ではわかっていたのですが、それでも見終えて改めて、ウルトラマンって本当にいいなと素直に思いましたし、やっぱりこの作品が大好きでよかったと、心底思えました。

ぜひともお金を払ってでも映画館に行き、ウルトラマンに会いに行ってみてください。

最高のヒーローエンターテインメント映画がここにありますよ!

それでは!

特撮

Posted by naishybrid