SHADOWS x ENTH PRESENTS -EAZY- SUMMER 2026 横浜 BAYHALL ライブレポート

SHADOWSとENTH、パンクシーンにおいてその名を知らないなんて、モグリだ。これはもう、断言していい。

 

筆者も、SHADOWSが始まってから今までの10年間と、ENTHがシーンの階段を少しずつ、着実に上がっていく姿をずっと見てきており、その中でこの2組が、どんどん親交を深めていく様も見てきた。
だからこそ言うが、個人的にこの2組の関係性を表すなら、兄弟バンド。本当に、悪ガキの兄貴と悪ガキの弟、そんな印象を筆者は受ける。

そんな2組が昨年からスタートさせたツーマンツアーが、このEAZYであり、昨年は全国複数箇所回り、今年は横浜と東北の2箇所だけをツアーする、ショートツアーとなっている。

 

ライブが良い、というのは言わずもがなだが、この2組は少しずつ、ライブの仕方を変えつつある。
具体的に言うと、ダイブをしたらセキュリティに受け止めてもらうのではなく、パンク・ハードコアカルチャー界隈特有の「自分で飛んだら戻る」という、ステージダイブを基準とするライブスタイルへと、自分たちの主催公演ではシフトしつつある。
とはいえ、あくまでもそれは自己責任。 ダイブをするのは自由だが、自分も、そして何よりも、受け止めてくれる人にも怪我をさせないよう、愛と思いやりを持って、同じライブを見ているファン・仲間を大切にするスタンスだけは、絶対に忘れてはならない。

もちろん、これには賛否どころか、どちらかと言えば、否の方が多いだろう。
実際、SHADOWSのライブ中、ギターのKazuki(以下、人物名については全て敬称略とさせていただきます)はMCで、そういうライブ来たくないって思ったら来なきゃいいし、それでライブ来るやつが少なくなったら、それはそこまでなんだってことだと、きっぱり言い切った。

しかし、これは馬鹿げた考えではなく、自分達が見てきて、影響を受けてきたカルチャー。それらを現代に残したうえで、この先に繋げていくためにはどうしたらいいか。このカルチャーのライブハウスシーンをどう未来へと繋げていくのかを、本気で考えているからこそである。

 

とはいえ、当然、バンド側がやると言っても、会場のライブハウスがOKを出さなければ出来ないのだが、今回の会場である横浜BAY HALLはOKを出しただけでなく、ステージダイブがしやすいよう、専用の台も作り、ライブが始まるギリギリまで、サポートをしてくれたという。
だからこそ、こんな1000人規模のライブハウスでも、パンクロックショー・ハードコアショーがやれたのだ。

 

さらにこのツアーでは、SHADOWSのツアーでは毎回行われている、その日一番カッコいい遊び方をしたやつに送られる、BMP(Best Mosh Player)という特典もあったため、それを狙う人も多いことも相まってか、今日のライブはより一層、凄まじいものとなった。

 

正直、このカルチャーは、わかってるやつだけわかっていればいい、理解なんてされなくて当然だと、僕は思っている。
加えて、入口に貼られていた注意書きには、『危険な行為及びお客様ご自身の責任により負傷された場合、応急処置はいたしますが、主催者や会場、出演者はその後の責任は一切負いかねます。』という注意書きも貼られていたからこそ、どう遊ぶも見るも、後は自己責任の世界。そんなふうに、わかってるやつだけが集まり、パンク・ハードコアショーを作った2時間半のルールなし、マナーとモラルだけ持ち寄って作ったこの日をレポートしていく。

先攻を務めたのはENTHであり、愛☆醒でメンバーが登場し、いつも通りバニーガールスーツを着た男性スタッフから渡されたテキーラを一気飲みし、『はじまるよ、いくよ?』と、ベースボーカルのダト・ダト・カイキ・カイキ(以下ダトと呼称する)が念押ししたうえで始めたのは、まさかの、SHADOWSのAll I Wantという、このEAZY限定のSHADOWSのカバーでスタートすると、たちまちフロアはクラウドサーフ、ステージダイブの嵐となる。

さらに間髪入れず、When my life is overと、nightの始まりのゆったりとしたイントロを歌ってからのWill、Get Started Togetherと、普段ならばライブの最後に持ってくる曲をスタートから続ける。今日のENTHは、何か違う。

 

少しダウナーなサウンドが特徴のSCUM DOG FART、イントロから全員がシンガロングをした"TH"、スカ調のサウンドから一気にフルスロットルでテンションMAXまで突入するGentleman Killと、ライブ中、ステージドリンクとして水と酒両方を飲んでいたが、酒がうめえと、ダトが笑ってこぼすのも無理はない。
目の前で繰り広げられるパンクロックショー・ハードコアショー。その光景を達成するため、フロアと前の柵の間を無くすために作ったベイホールだけの特製ステージと、バンドとライブハウス、両者の熱い想いを汲み取り、このシーンの遊び方を、遠慮なく、けれど思いやりとマナーを忘れずに体現するフロア。自分も我慢できなくなり、途中で酒を買いにバーカウンターへと行きビールを注文したが、この光景を見ながら飲むビール、確かにこれはうまい。どんな炎天下の空の下で飲むよりも、間違いなくうまい。

 

去年もEAZYやってたけど、去年も来た人いる?今年初めての人は?とダトが尋ねると、去年も来た人の方が圧倒的に多く、ほとんど同じメンツでやってるじゃんと笑うも、去年もやってやばかったけど、今年もSHADOWSと一緒にやれるのが嬉しいと言い、このライブの前日も、長野県飯田市で行われた焼來肉ロックフェスというフェスで一緒だったのだが、SHADOWSのライブが凄く、そのライブを見て、俺らあんなカッコいい人達とツアー回んのかと、少しビビったように言うが、すぐさま、選ばれたのは、ENTHでした~と、某CMのように言ったうえで、個人的におそらく、日本一ひどいイントロシンガロングから、一気にドンという光景にへと変わるLOVE ME MOREで、ライブを再開する。

途中、最初に登場したバニーガール姿の男性スタッフがテキーラを持ってくるという、いつもの流れの上で、ステージ袖というより、ほぼ隣でENTHのステージをずっと見ていたSHADOWSのHAYATO・Takahiro・Kazuki(ちなみにフロアがKazukiを呼んでもしばらく来なかったのだが、トイレに行っていたのが理由だったそう)も招集し、全員でテキーラを一気する。
改めて思うが、こうしてライブ中テキーラを何度も飲み、そして周りにいる仲間たちも巻き込むのは、ENTHならではの光景だ。

 

BLESSでは曲の前、ダトとギターのナオキがタイミングを合わせてジャンプをしたのだが、その後のMCで、ちょうど空中で手が触れあってしまったらしく、それに思わず爆笑し、弾けなくなったと笑いながら語る。

そんな中、後方に下がっていくお客さんを見て、ダトが大丈夫?怪我ない?と声をかけると、大丈夫!という声が聞こえ、大したことはなさそうなことに安心してから、MCを再開する。

今の光景を見たうえで、怪我しないのはもちろん大事だけれど、俺はそういう、危ないライブハウスじゃなきゃ憧れなかった。俺はクラスのやつと違うんだって思って、ライブハウスに行ってた。ちょっと重い扉を開けて、危ない空気が漂うこのライブハウスや、バンド達に憧れてた。安心安全なライブハウスだったら、憧れてなかったと、自分がこのライブハウスシーンに憧れた原体験を語ったうえで、冒頭に話した、柵とステージの間、本来ならばセキュリティを入れるところに専用のステージを作ってくれたことを語り、東京のライブハウスだったら挨拶しても返してくれない冷たいところもあるのに、このベイホールは俺たちの考え方に理解を示してくれ、こうしたらできます!ギリギリまで作りますんで!と快諾し、一緒になってどうしたらできるかを考えてくれたことを語ると、ベイホールのスタッフに対しても拍手が送られる。

 

そんなライブをSHADOWSと一緒にやってきて、少しずつ、道になっていって、その後を皆が歩いていってくれて、だんだん道になってきたと、この遊び方、ひいてはカルチャーが少しずつ浸透してきたが、ゆくゆくはZeppのような、柵がたくさんあるところでも面白いことしたいんだけどと、この先の展望を語るが、同時に、けどそれは今はできなそうだからと口にしたが、あくまで自分がそう感じた、という体で話をさせてもらうが、この時のダトの口ぶりは、若干、諦めにも似たような印象を筆者は受けた。

そのうえで、俺らのこと嫌いな音楽好きもいるけど、他のバンドがやってないことを俺らはしたい。俺らのことを好きなやつだけに本気でやる。俺らのこと好きになったのを、絶対に後悔させないからと、多くの人に届けるのではなく、今のENTHを応援している人だけに、全力でやっていくことを宣言する。

 

拳上げろ!と、フロア中の拳を上げさせたうえで、久しぶりにやりますと、Crime in my mindからライブを再開させ、さらに加速させるUrge、ENTH独特のテンポ感と、二転三転するミドルテンポながらも、ヘビーなサウンドが特徴的な"EN"と、レア曲から代表曲まで続けてプレイすれば、フロアのカオス度合いも止まることはない。冷房すらもあてにならないほど、熱気に満ち満ちている。

遠慮すんなよ!BMP、俺が取っちまうぞ!と、フロアを更に煽ったうえで、ムーンレイカーがドロップされれば、今日一の盛り上がりが発生する。さらに曲の途中、ダイブをして上がってきたファンが、ダトのマイクを奪ってサビ前を歌っていくのだが、その時のファンの顔を見るダトの、なんともいえない、嫌そうな顔が忘れられない。

 

しかし曲終了後、ダトとナオキが耳打ちし、ドラムのタクミにも話すと、時間が余ったということと、忘れていたということで、急遽、約1分半の新曲を披露する。
この新曲だが、最初は2ビートのファストチューンだが、途中から、スカやレゲエチックなサウンドにへと急変化する、テンポやリズムに捉われない、ENTHの遊び心が詰まった一曲となっていた。

ちなみにここで撮影をしていた人に対し、SNSにはあげないで、自分だけで見て楽しんでと言っていたため、もしSNSに上げている人がいたら、すぐ削除するように。バンドのお願いは、みんな守りましょう。

しかししかし、新曲終了後、またもやダトとナオキが耳打ちし、ドラムのタクミにも話すと、まだ余ってるからとダメ押し気味に、1.2倍速くらいのスピード感のWHATEVERで、バッチリ?決めきり、SHADOWSにへとバトンをタッチした。

 

怪我すんなよ。怖いヤツは後ろ下がってな。下手くそは飛ぶなってわけじゃないけど、中途半端にやるとケガするし、させっから。ただ、カッコいいステージダイブしたやつには、1回ダイブしただけでも、BMPなれるチャンスあっから。機材のセッティング中、Kazukiはマイクを通して、フロアにそう伝える。それは諸注意なのだが、とはいえこのギラついたフロアからすれば、それはもう、かかってこいと言っているようなものだ。

ただ、実際本当に1回のダイブだけでも、カッコいいダイブをした人がいたら、Kazukiはその人を指差していた。
なので、嘘を言っているわけではないというのはわかってはいたものの、実際に目に見える形で示しているため、本当に1回のステージダイブだけでも、BMPになれる可能性は十分にあると、お伝えをさせていただきたい。

 

そのままゆっくり客電が落とされ、楽器陣全員で音を合わせてから、最後に袖からゆっくりボーカルのHiroが登場する。
また、先程のSHADOWSのメンバー同様、ENTHメンバー全員、ステージの横から、SHADOWSのライブを見ている。

行こうぜという言葉からObeyからスタートし、CLIMBへと続けば、ステージダイブだけでなく、狭いピットを無理矢理こじ開け、テコンドーモッシュをなんとかしようとするファンもいる。

更に声をくれ、そしてもっと盛り上がれと言わんばかりにInto The Line、全員でジャンプをするWALK AWAYと続ける。更に曲の途中、Hiroはマイクをフロアに託して歌わせつつ、自分は指揮者のようにアジテーションしていく。空気を完全に掌握している様は、圧巻としか言えない。

 

EAZY最高、ENTH最高、SHADOWS最高、お前らも最高と、Hiroが端的に言った後、すぐさまKazukiがその後のMCで、怪我だけはしないように。ただ、男はちょっとの怪我は勲章ってことで。と、ちょっとくらいの怪我はしていけと伝えたうえで、今日のライブのヤバさを自らも察したうえで、皆一つだけ言っておきたいことあるんだけど、今日のライブで、不感症になったらごめんね。そのくらい終わった後も余韻が残るから。賢者タイムになれるくらいヤバイからと、茶化して言っているが、とはいえここまで見てきてわかるが、今日、マジでヤバイ。

事実、このMCの後も立て続けにファストでヘビーな楽曲をプレイし、My Directionでは、始まる前に声をくれとHiroが言えば、シンガロングやOiコールでそれに応える。
もちろんそれだけでなく、ステージダイブやモッシュで応えていく。そしてステージダイブをしたファンを受け止めようとしてくれる人も数多くいる。しかし中には、ステージダイブをしたけど落ちる人もいるが、すぐに起こしてあげる。バイオレンスな空間に見えるが、倒れてるやつがいたら起こす。みんなで楽しもうとする。これぞこのカルチャーのライブの遊び方であり、確かにこんなものを体感したら、普通には戻れなくなっても致し方ないし、何よりも、今日のこのEAZYが、リピーターの方が多いライブになっているのが、その証拠だろう。

 

今週、九州→府中→韓国→長野→そして今日この横浜で、バンドマンやってるけど、今俺らがどこいるかわかんないとHiroが愚痴ると、笑いが起こる。けど、今日が一番ヤバイ。マジでヤバいよこれと、普段MCをほぼ全くしない、ギターのTakahiroまでもが思わずMCをしてそう言ってしまうのだから、今日はよほどヤバいのだろう。

そんな中、HiroがKazukiの方を向いたら、今日出ていたEAZY限定マーチの一つである、赤のTシャツを着たKazukiと、同じTシャツを着ていたENTHのナオキを見て、髪型も似てて同じ系統すぎて笑ったわと言うと、ナオキがKazukiの隣に行くが、ここでKazukiから、今日この赤いTシャツ売れてないんだけど、イケてるやつほど、赤着るから。赤だとピンチの時、目立つから助けてもらえるよ。黒だと埋もれっからと、赤のTシャツが売れてないという自虐と宣伝を見事にする。

 

そんな中KazukiとTakahiroが陽気なギターを弾き出したと思っていると、このメロディーに聞き覚えがある人の方が多く、全員が体を横に揺らしだす。
そうしてENTHでも登場したバニーボーイが再び登場するが、その手にはテキーラを持っている。そうして曲の途中、その瞬間が来て全員で叫ぶワードはそう、Tequila。

急遽のTequilaのアドリブから全員でテキーラを飲み終えた後、ヘビーなイントロを弾き始めれば、この後に来るのはそう。dustboxのカバーである、No More Tequilaだ。

更に立て続けにサークルピットを作るよう指示したTIMELINES、SUPERCAR。そしてもうすぐ、リリースから10年になろうとしているBEKと、新旧の代表曲を立て続けに演奏していく。
筆者もSHADOWSの始まりから10年、ずっと追い続けているが、ここで今日BEKを聞いて、もうこれが出てから10年か・・・と少し感慨深い気持ちにもなった。

 

空気感で、もうライブも終盤になったと察するが、ここでKazukiがMCをするが、今回のライブレポートで一番伝えたいのはこの部分となる。
もちろん、一言一句正確に覚えているわけではないが、ここだけはなるべくニュアンスが伝わるよう、書かせていただきたい。

 

こういうライブだけど、俺らはやりたいことをやってる。これをSNSに上げて、現場に来ないやつがあーだこーだ言う。そいつをつまみ出すのも、仲間にすんのもお前ら。けど俺らは、カッコイイ、イケてる音楽をやってくから。お金稼ぐことも大事だけど、俺らはこういうカルチャーを大事にしたいし、こういうライブ来たくないって思ったら来なきゃいいし、それでライブの動員が少なくなったら、それはそこまでなんだってこと。でも俺らはこのスタイル貫いて最後までやってっから、ついてこいよ。

このKazukiのMCを聞いて、少なくとも今日この場に居た全員、ついていくに決まってんだろ。そう思ったはずだ。

 

1113からライブを再開させた後、全員にコーラスを求めるも、もっと声をくれとHiroが煽り、さらに声を張り上げる。全員で、繋がっていけと、連鎖反応を意味するChain Reactionは、このカルチャーが繋がっていくことを願って歌われたかのように、この日は聞こえた。

そしてラストに、ENTHがカバーをしたファストチューンのAll I Wantをプレイし、終了・・・と、本来のライブならばなるが、しかしSHADOWSメンバーはまだステージから下りる気配がない。

そうして本当にラストと宣言をしたうえで、アンコール的に始まったラストの曲をアナウンスすると、全員が驚きと共に、大興奮する。

その曲というのはまさかの、ENTHのムーンレイカー、そのカバーだったからだ。

3ピースのENTHとは違い、5人編成だからこその重厚なムーンレイカーは、このEAZYだけでしか聞けないカバーであり、確かにこれを求めに来ても、おかしくはないというほど、大興奮とこの日一の大カオスで、派手に締めくくった。

 

そして最後に、メンバー全員で話し合った中で、一人BMPを選び、選ばれたファンはステージへと行き、BMPTシャツを手渡されたうえで、その場で着替えをし、全員で記念撮影をしたうえで、今年のEAZY1本目は終わった。

この後、EAZYは残り2本あるため、少なくともあと2人は、BMPが選ばれることとなるため、その人は9月に行われる超PMAMに行けば、何かしらの特典が貰えるのだろう。
とはいえ実際、今日もらえた人だけでなく、ほぼ全員、BMPだと言ってもいい。ダイブする人も支える人も、みんなが愛を持ってたからこそできた空間だ。誰か一人でも騒ぎ立てれば、それこそできない空間だったのは間違いない。
SNS・ネットがこの時だけは全く不要で、ライブ・生でしか味わえない良さが、この時間に全て詰まっていたのは、言うまでもない。

 

来年の開催もあるかどうかは不明だが、ただ、これは確かにリピーターが増えるのはもちろんだが、もし次回初めて行く人がいたら、これに慣れると、他のライブじゃマジでつまんねー、ってなるかもしれないので、そこだけはご注意を。

そして願わくば、このカルチャーが繋がっていくのはもちろんではあるが、最終的に派手な怪我をする人がゼロ。そんなライブになっていけば、より理想だ。